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シュプリームに新クリエイティブディレクターが就任!トレマイン・エモリーってどんなデザイナー?

ストリートファッション、スケーターファッションの絶対王者「シュプリーム(Supreme)」
世界にわずか十数店舗しか持たないながら、年間6億ドル(約660億円)以上の収益を生み出すその人気はまさしくモンスターブランドだと言えるでしょう。

また、1億総転売ヤー時代と言われる現代のはるか前から、シュプリームは商品がその希少性からつねに争奪戦。
そんなシュプリームですがなかなかそのデザイナーやクリエイティブディレクターにフォーカスが当たることはありませんでした。

今回の記事では、2022年2月にその加入が発表されたばかりのシュプリーム新クリエイティブディレクター、トレマイン・エモリー(Tremaine Emory)について解説致します。

出典:hypebeast

■シュプリームのこれまでのデザイナーやディレクター

先ほど冒頭で「シュプリームはなかなかデザイナーやクリエイティブディレクターにフォーカスが当たらない」と述べましたが、トレイマン・エモリーについて述べる前に、その理由から説明した方がいいかもしれません。

古くよりファッション業界ではブランドを語る上でデザイナーやディレクターにもフォーカスが当たることが多く、その就任や移籍は常にブランドの売上の増減にも直結していた過去があります
近年ではルイ・ヴィトンがストリートブランド出身の故ヴァージル・アブローを起用したことや、バーバリーがリカルド・ティッシを起用したことで大きくブランドの売上を高めたことは記憶に新しいでしょう。

※リカルド・ティッシ手がける新生バーバリー

出典:numero

また、エルメスのアーカイブ品の中ではやはりマルタン・マルジェラがデザインを手がけていた時期「通称:マルジェラ期」のアイテムが特に人気なのもいい例です。
そんな中、シュプリームは実際の商品・アイテムにフォーカスが当たることはあっても、ディレクターやデザイナーにスポットが当たる機会は少なかったように思います

勿論、過去にシュプリームのデザインを手がけていた人物が「元シュプリーム」の実績を引っ提げ自身のブランドや、他ブランドのデザイナーに就任するケースは多々あります。
本ブログでも元シュプリームのデザイナーが手がけるブランドについて、詳しくこちらの記事で解説しております。

そんな歴代の「元シュプリーム」の中でも顕著な例がルーク・メイヤーでしょう。
日本でも人気の高いブランド「ジルサンダー」のデザインを妻とともに手がけ、自身のブランド「OAMC」も人気抜群の彼は、シュプリームで培ったストリートのセンスをうまくハイファッションに昇華しています。

■なぜシュプリームのデザイナーはあまり知られていないのか

ここまでをまとめると、シュプリームのデザイナーやディレクターは、「退任後のキャリア」についてフォーカスが当たることは多くても、「在任中」に大きな話題を集めることは少ない、というお話をしました

その理由を紐解いてみると、シュプリームの商品の作り方、すなわちOEM生産にあると考えられるのではないでしょうか。
ファッションブランドの中には、シルエットやデザインをこだわり抜いて商品を作り上げる生産方法ではなく、OEM (Original Equipment Manufacturing)と呼ばれる手法を用いるブランドも数多く存在します。

OEMはブランドが受託者に商品の設計など詳細な情報を提供し、その商品の製作や組み立てを依頼して自社商品として販売する手法。
シュプリームも、アメリカやカナダのOEM会社から買い付けたTシャツやスウェットにプリントなどを施し、シュプリームの商品として販売する手法を主としています。
こうしたOEMでは1枚あたりのアイテムの生産コストは下げられる一方、こだわり抜いたシルエットやデザインのアイテム制作には向かないという弱点があります。
つまり、ファッションにおけるデザイニング、クリエイションに重きをおく人物であればあるほど、「シュプリームのデザイナー」というポジションはもしかすると役不足に感じるのかもしれません。

こうした経緯を踏まえると、前述のルーク・メイヤーが現在ジルサンダーやOAMCで自身のデザインに関するパッションを思う存分発揮している状況。

※ジルサンダーのコレクションでのルーク・メイヤーとルーシー・メイヤー夫妻

出典:wacoca

そして2006年から2015年にかけて、シュプリームのクリエイティブディレクターを務めたブレンドン・バベンジンが現在「ノア(NOAH NYC)」でサスティナブルファッションに注力している状況がこの仮説に真実味を与えているようにも思います。

※ノアのブレンドン・バベンジン

出典:perfectday

また、シュプリームの商品の良さは様々なサブカルチャーやアートとのミックスや他ブランドとのコラボレーション。
すなわちデザイナー/ディレクター就任の要件として求められる技能が他ブランドとは違います。
シュプリーム側もそもそも高度なデザイン技術よりも、ストリート・スケーター文化への理解やサブカルチャーとのミックスへの知見を優先するため、著名なデザイナーが就任しにくい状況があるかもしれません。


出典:supremenewyork

■トレマイン・エモリーとはどんな人物?


出典:ebony

ここまで長々とシュプリームのデザイナーやディレクターの立ち位置について述べましたが、ここからがようやく本題。
このたびシュプリームの新クリエイティブディレクターに就任したトレマイン・エモリーとはどんな人物なのでしょうか。
トレマイン・エモリーのこれまでのキャリアでとくに著名なものを挙げるとすれば、マークジェイコブスとステューシー。
前者は過去にルイヴィトンのディレクターを務めたこともあるマーク・ジェイコブスが自身の名を冠するハイブランド。
しかし、この9年間のキャリアはデザイニングよりもリテールに寄ったものでした。

その後トレマインがアート&ブランドディレクターとして就任したステューシーの方は、より彼の現在に大きく影響を与えている可能性が高いと言えるでしょう。


出典:complex

シュプリームの創業者ジェームズ・ジェビアも元はと言えばカリフォルニア発のステューシーを東海岸ニューヨークに広げるために尽力した人物。
現在は「東のシュプリームと西のステューシー」とも評されるストリートブランドの2大巨塔。
ステューシーでの経験はジェームズ・ジェビアがそうであったように、必ずやシュプリームの成長に寄与することでしょう。

ちなみに、著名ストリートブランド「アンチソーシャルソーシャルクラブ」の創業者ニーク・ラークも元はステューシーのマーケティングマネージャー。同ブランドでの経験はのちに大きなストリートブランドを作るために最適なのかもしれません。

トレマイン・エモリー自身の立ち上げた活動という点で言えば、クリエイティブレーベル 「ノーバカンシーイン(NO VACANCY INN)」とブランド 「デニムティアーズ(DENIM TEARS)」が著名でしょう。

ノーバカンシーインは音楽やアート、ファッションなど幅広いカルチャーへのミキシングが得意なクリエイティブレーベル。
昨年11月に早逝し世界が悲しんだオフホワイト創業者兼ルイヴィトン メンズアーティスティックディレクター、ヴァージル・アブローは過去にノーバカンシーインを「現代で最も優れた視点を持ち合わせている」とまで評しています。

※故ヴァージル・アブローとトレマイン・エモリー

出典:pinterest

同レーベルはこれまでオフホワイトやステューシー、コンバースやニューバランスといったビッグブランドともたびたびコラボレーションを果たしています。
そんなトレマインが2019年に立ち上げたブランド「デニムティアーズ」はそのメッセージ性から立ち上げ当初よりファッション界では大きな話題を呼びました。
自身のルーツでもあるアフリカ系アメリカ人にフォーカスしたアイテムをリリースし続けているデニムティアーズ。2021年秋冬シーズンでは奴隷制度の象徴である綿花摘み労働にスポットを当てたアイテムが話題を集めました。

出典:sobump

こうしたメッセージ性を洋服に落としこんだデザイニングはシュプリームの十八番。
トレマイン・エモリーがシュプリームのクリエイションをさらに上に引き上げてくれる期待が持てそうです。

■さいごに

今回の記事ではシュプリームのデザイナーやディレクターに関する分析、そして新クリエイティブディレクターに就任したトレマイン・エモリーについて解説しました。
2017年に退任し「アウェイク NY(AWAKE NY)」を立ち上げたアンジェロ・パク以降、クリエイティブディレクターが不在だったシュプリーム。
デザインだけでなく店舗の外観や内装、広告戦略に至るまで全てを統括するクリエイティブディレクターの久々の就任はシュプリームに新しい風をきっと吹き入れてくれることでしょう。

しゅー

投稿者の記事一覧

2022年まで約6年間にわたって大手IT系企業に在籍。ファッションブランドやゲーム会社のマーケティング、カスタマーエクスペリエンス強化、海外進出を支援。Supreme、スニーカー、ラグジュアリーストリートが大好物。

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