近年ジワジワと知名度が上昇しているブランド、OAMC(オーエーエムシー)。
通常のストリートファッションほど派手ではない、高級感のある装飾性が人気を集めています。
また、OAMCのデザイナーは最強のストリートブランドと大人気メゾンブランドの両方を経験した稀有な人物。
年齢を重ね、自分のストリートファッションを次のレベルへ持っていきたい人にOAMCはピッタリなブランドとなっています。
本記事ではデザイナー、ルーク・メイヤーの来歴やブランドの歴史をどこよりもわかりやすく解説。
「OAMC」というブランド名に込められた意味など、意外と知られていない情報も盛りだくさん。
この記事さえ読めば貴方がOAMCについて詳しくなれること間違いなしです!
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目次
- ■OAMCのデザイナー、ルーク・メイヤーとはどんな人物?
- ■OAMCの共同創業者はCarhartt WIPのディレクター?!
- ■OAMCとはどんなブランド?
- ■OAMCのアイテム
- ■有名人によるOAMC着用
- ■さいごに
■OAMCのデザイナー、ルーク・メイヤーとはどんな人物?
・シュプリームのデザインを長年経験
出典:antenna
OAMCを手がけるルーク・メイヤー(Luke Meier)はカナダ生まれのデザイナー。
彼のキャリアの中で最も著名なものといえば、シュプリームのヘッドデザイナーを務めていたことでしょう。
幼少期からスケートボードやヒップホップに親しみ、オックスフォード大学を卒業後就職活動のタイミングでニューヨークへとやってきたルーク・メイヤー。
当初は金融系の仕事に就くことを考えていたようですが、就職活動をしていても面白いと感じられず、次第にストリートでスケボーなどをする毎日に。
そんな中、シュプリーム(Supreme)の創業者ジェームズ・ジェビアと出会い、彼のもとで働くこととなります。
出典:
1990年代後半からシュプリームに携わったルーク・メイヤーは、チーム・シュプリームの中でもかなりの古株。
ルークはブレンドン・バベンジンやジェフ・ヒース、そしてオーギー・ギャランに続いて4番目にシュプリームに採用された人間でした。
シュプリームでは2004年よりヘッドデザイナーに昇格し、2010年まで同職を担当。
2010年にシュプリームを卒業すると、2014年の秋冬シーズンからアルノー・ファー(Arnaud Faeh)とOAMCをスタート。
つまり、OAMCとはシュプリームのヘッドデザイナーという輝かしいキャリアを捨ててでもルーク・メイヤーが始めたかった念願のブランドなのです。
・ハイブランド畑の妻とジルサンダーをディレクション
出典:ft
OAMCに続くルーク・メイヤーの2度目の転機は、メゾンブランド「ジルサンダー(Jil Sander)」のクリエイティブディレクター就任。
この起用は妻であるルーシー・メイヤー(Lucie Meier)と共同ディレクターという、珍しい体制だったこともあり大きな話題に。
ルーシー・メイヤーはクリスチャンディオールやバレンシアガ、ルイヴィトンといったハイブランドのデザインチームでキャリアを積んでいた人物。
そんな彼女とシュプリームのようなストリートファッション出身のルークが、共にジルサンダーを担当したことでブランドは大きく変化。
出典:ssense
メイヤー夫妻はジルサンダーが大切にしてきた素材へのこだわりやテーラリング技術はそのままに、時代に即したアイコニックなアイテムを次々と発表。
ブランドは一躍大人気となりました。
もちろん、ジルサンダーで得た経験はOAMCにも逆輸入。
近年のOAMCはそれまでの機能性と大人ストリートを重視した雰囲気に加え、一部同じ生産背景を使っているからかジルサンダーらしいラグジュアリー感も多分にエッセンスとして加えられています。
なお、2024年春夏コレクションを最後にルーク・メイヤーはOAMCから退任。
特定のプロジェクトには残りつつも、ブランド全体のディレクションはデザインチームが行うことが発表されました。
・豆知識:テーラリング技術取得のきっかけはビザ?!
出典:yutakono
スケーターファッションの世界に身を起きながら、メゾンブランドのディレクターとして通用するレベルのテーラリング技術を身につけていたルーク・メイヤー。
そのきっかけはカナダ出身のルークがシュプリームで働く上で、ビザが問題となったこと。
最初にニューヨークに来た際にはファッション系のビザ取得をしていなかったため、彼はシュプリームでデザインをするかたわら、FIT (Fashion Institute of Technology、ニューヨーク州立ファッション工科大学)でデザインの勉強をすることに。
そのカリキュラムの一環として1年間イタリアでテーラリングを学んだことが、のちのルークのキャリアを決定づけることとなったのです。
■OAMCの共同創業者はCarhartt WIPのディレクター?!
出典:dazeddigital
共同創業者としてルーク・メイヤーと共にOAMCを立ち上げたもう一人の人物、それがアルノー・ファー(Arnaud Faeh)。
歴史的なワークウェアブランドとして名高いカーハートが100周年の節目に作ったライン「Carhartt Work in Progress (通称Carhartt WIP)」にて、クリエイティブディレクターを務めていた人物です。
伝統的なワークウェアであるカーハートをヨーロッパで作り、そこにストリートのエッセンスを加えたCarhartt WIPは、今や大人気ブランドに成長。
OAMCを手がける上でのルーク・メイヤーのパートナーとして、これ以上にふさわしい人間はいないでしょう。
■OAMCとはどんなブランド?
・OAMCは何の略? 意味が毎シーズン変わるブランド名
出典:ronherman
OAMCを初めて知った人がまず気になるのは、この4文字が何の略称なのかということ。
実はこのブランド、略称は「OAMC」のままにシーズンによって打ち出すブランドコンセプトに合わせて、4文字が何を意味するのかを変えているのです。
例えば、ビビッドな色使いや極端なシルエットのアイテムが特徴的だった2019年秋冬コレクションにおいては、OAMCを「Overtly Aggressive Manic Culture(あからさまに攻撃的な躁状態のカルチャー)」の略称として定義。
2021年秋冬コレクションでは「One Approach, Myriad Collages(一つのアプローチ、無数のコラージュ)」というコンセプトで、様々なコラージュアイテムを作成していました。
※参考:OAMC FALL/WINTER 2021 LOOKBOOK
出典:oamc
・OAMCが人気を集める理由
OAMCがストリートファッションの文脈を意識しつつも極上の素材感と上品なシルエットを作り上げていることは、間違いなく同ブランドが人気を集める理由のひとつだと言えるでしょう。
かつてルーク・メイヤーがデザインを手がけていたシュプリームはOEM生産が主流。
OEMの場合プリントデザインや型は選べても、洋服の素材やシルエットの細かな部分まではコントロールが非常に困難。
ルークは当時のこうしたフラストレーションをOAMCやジルサンダーにぶつけていたのかもしれません。
■OAMCのアイテム
・名作アイテム
出典:hypebeast
OAMCの顔とも言えるアイテムはこの「Peacemaker」のロゴがプリントされたライナージャケット。
2016年秋冬からスタートしたこのシリーズは、売上金の一部を慈善団体「Immigration Families Together」に寄付しています。
・コラボアイテム
シュプリーム時代に数々のコラボレーションを行ってきたルーク・メイヤーは、当時の人脈を活かし、OAMCでも様々なコラボレーションを実施。
2019年には古巣シュプリームとコラボを行ったり、ストリートの重鎮藤原ヒロシ手がけるfragment designともマッチアップ。
また、かつてシュプリーム時代にコラボを行ったWTAPSとも2022年にコラボレーション。
WTAPSコラボではヴィンテージアイテムのカスタムという「Peacemaker」シリーズの特性ゆえ、製作点数はたったの121着。
全てにシリアルナンバーが付与されていました。
■有名人によるOAMC着用
・OAMCを着用する芸能人①:米津玄師
・OAMCを着用する芸能人②:菅田将暉
出典:neowing
・OAMCを着用する芸能人③:Ye(カニエ・ウェスト)
出典:gq
■さいごに
最後までお読みいただきありがとうございます。
今回は人気ブランド、 OAMC(オーエーエムシー)の歴史や豆知識をご紹介致しました。
シュプリームやジルサンダーといった大人気ブランドでの経験を活かし、人気ブランドへと成長したOAMC。
毎シーズン打ち出される新しいコンセプトと、それを体現した魅力的なアイテムは要チェックです。
FashionArchive.comではこうしたブランド解説やお役立ち情報を多数掲載中。
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