あなたは近年知名度や人気が年々高まっているファッションブランド「OAMC」をご存知でしょうか。
本ブランドは2010年代を席巻したストリート/スニーカーファッションとノームコア(ミニマルでシンプルなスタイル)の文脈を取り入れ、ラグジュアリーな素材感を掛け合わせたブランドとなっています。
2023年現在、Y2Kファッションに代表されるようなビビッドな色使いやミリタリーライクなファッションが人気を集めている一方で、まだまだこのトレンドに乗り切れていない人も多いはず。
そんな人たちにぜひオススメしたいのがこのOAMC。
「ストリートファッションほど派手ではない」「ノームコアほど地味ではない」OAMCのスタイルは、今の雰囲気にもバッチリハマるはずです。
今回の記事では、そんなOAMCの魅力を余すところなくご紹介。
かつてあのシュプリームのデザインを手がけ、今はOAMCと合わせてジルサンダーをも率いるルーク・メイヤーについても解説致します!
OAMC とは?:■シュプリームとジルサンダーのデザイナー、ルークメイヤーとは
出典:hypebeast
・シュプリームからの卒業とOAMCのスタート
ブランドOAMCを手がけるのはルーク・メイヤー(Luke Meier)はカナダ生まれのデザイナー。
そんな彼のキャリアの中で最も著名なものといえば、シュプリームのヘッドデザイナーを務めていたことでしょう。
出典:almooond
ストリートファッションの雄であるシュプリームといえば、複数名のデザインチームで春夏、秋冬の2シーズンにわたって大量のアイテムを制作。
それを小分けにして毎週土曜日に(海外は木曜日)ドロップすることで知られています。
シュプリームのこれまでのデザイナーについてはこちらの記事で詳しくご紹介していますが、ルーク・メイヤーは長年ストリートファッションの頂点に君臨してきたシュプリームのヘッドデザイナーを2006年から2014年に渡って務めてきた傑物です。
シュプリームを卒業した2014年、秋冬シーズンからスタートした彼自身のブランドこそがOAMC。
つまり、OAMCとはシュプリームのヘッドデザイナーという輝かしいキャリアを捨ててでもルーク・メイヤーが始めたかった念願のブランドなのです。
・妻とともにジルサンダーを率いる
そんなルーク・メイヤーのキャリアをさらに確固たるものにしたのが2017年のジルサンダーのクリエイティブディレクター就任です。
それも、彼自身の就任のみならず、彼の妻ルーシー・メイヤーと2人体制でのジルサンダーへの参画は、業界内で大きな話題を集めました。
出典:wsj
ルーシー・メイヤーはDiorのヘッドデザイナーや、ラフシモンズのデザインスタジオといったラグジュアリー畑出身のデザイナー。
そんなルーシーとストリートファッションに深い造詣を持つルークの二人三脚によって作られるジルサンダーのクリエイションは、歴代最高との呼び声も高く、大きな人気を博しています。
もちろん、ジルサンダーで得た経験はOAMCにも生かされており、近年のOAMCはそれまでの機能性と大人ストリートを重視した雰囲気に加え、ジルサンダーらしいラグジュアリー感も多分にエッセンスとして加えられています。
OAMC とは?:■OAMCの特徴
では、そんなルーク・メイヤーが手がけるOAMCとは具体的にどんなブランドなのでしょうか。
スケートボードに勤しんでいたことから創業者ジェームズ・ジェビアに見染められ、シュプリームへ参画することとなったルーク・メイヤーは、当然自身のブランドOAMCにおいてもストリート/スケーターファッションのエッセンスを取り込んでいます。
しかし、何よりも特徴的なのは徹底的な機能性やシルエット、素材にこだわるとことで、OAMCがストリートでありながらシックで高級感あるデザインに落とし込まれている点です。
OEM生産が主流となっているシュプリームでは、プリントデザインや型は選べても、洋服の素材やシルエットの細かな部分まではコントロールできません。
ルーク・メイヤーにとっては、シュプリームのそんな部分にフラストレーションを感じていたのかもしれません。
出典:highsnobiety
また、シーズンによってブランドコンセプトを変え、それをブランド名に落とし込んでいるのもOAMCの大きな特徴だと言えるでしょう。
例えば、ビビッドな色使いや極端なシルエットのアイテムが特徴的だった2019年秋冬コレクションにおいては、OAMCを「Overtly Aggressive Manic Culture(あからさまに攻撃的な躁状態のカルチャー)」の略称として定義し、2021年秋冬コレクションでは「One Approach, Myriad Collages(一つのアプローチ、無数のコラージュ)」というコンセプトで様々なコラージュアイテムを作成していました。
※参考:OAMC FALL/WINTER 2021 LOOKBOOK
出典:wwdjapan
■OAMCのコラボレーション
今やファッション業界は猫も杓子もコラボレーションの時代となりましたが、かつてルーク・メイヤーが所属していたシュプリームは遥か昔から他ブランドとのコラボを長きにわたって行ってきました。
そんなシュプリーム出身のルークが「ただモノを売るためだけにコラボレーションをやっているわけじゃない」と語るOAMCのコラボプロダクトには、確かな説得力があるように感じます。
出典:oamc
例えば、2022年に日本のWTAPS (ダブルタップス)とコラボした際にリリースされたアイテムはたったの121着。
OAMCがヴィンテージアイテムをカスタムし再構築する人気シリーズ“PEACEMAKER“の一環として作られたこちらのキルティングジャケットは全てシリアルナンバーが付与されていました。
ちなみに、WTAPSとのコラボはルークがシュプリーム時代に生まれたWTAPSの西山徹との親交から生まれたとのことです。
OAMC とは?:■さいごに
毎シーズン「OAMC」の名を様々な形で解釈し、それを確かなクリエイションに落とし込むこのブランドは、一度追いかければ毎シーズンの新作発表が楽しみになること間違いなしのブランドだと言えるでしょう。
ぜひ、シュプリームやストリートファッションが好きな方にも、ジルサンダーやマルジェラのようなシックな高級ブランドが好きな方にもオススメしたいブランドです。