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Off-Whiteの人気を支える5つの理由!ストリートシーンで圧倒的支持を受けるブランドの戦略とは

2013年の立ち上げ以来、驚異的なスピードで成長を遂げ、ストリートシーンを中心に圧倒的な人気を誇るオフホワイト(OFF-WHITE C/O VIRGIL ABLOH)。
オフホワイトとは何なのか、そしてオフホワイトはなぜ人気なのかを今回は徹底解説。デザイナーの来歴や有名人の着用、そしてマーケティング戦略に至るまで人気の理由を5つの視点から探ってゆきます。

■オフホワイトがなぜ人気なのか①
-ブランド/製品の特長-


出典:pinterest
オフホワイトの代表的なデザインと言えば、斜めストライププリントや、アローロゴと呼ばれる交差した太い矢印プリント、短い英文を引用符で飾ったプロダクトなどが有名です。
こうした象徴的なデザインは、Instagramの台頭と共に大きくなった、一目でどこのブランドか分かりやすいデザインが人気を博す近年のトレンドとマッチし、若者を中心にオフホワイトの人気をけん引しています。

また、オフホワイトの前身であるPYREX VISION時代から受け継がれる、ルネサンスや近代アートをフィーチャーしたアイテムも特徴的と言えるでしょう。
オフホワイトのデザイナーであるヴァージル・アブローは、これを2017年のハーバード大学での講演会において「独自の思想や美学を切り開いた作家や作品にコネクトして、それを土台に自分を築き上げていく」と表現しています。

近年では、ヴァージルのルーツである建築デザインやインテリアコーディネートを落とし込んだ食器セットやタオル、ルームウェアなど、生活雑貨も発表。ファッションアイテム同様人気を博しています。

■オフホワイトがなぜ人気なのか② -ブランドの歴史-


出典:youtube
バレンシアガやグッチ、ナイキといったブランドを抑え、3期連続(2020年第1四半期現在)で「最もホットなブランド」に輝いているオフホワイトですが、実はオフホワイトは2013年の立ち上げから10年にも満たない、非常に若いブランドです。

2010年代のファッションシーンを振り返ってみると、90年代リバイバルによるビッグシルエットやハイテクスニーカー、スケーターブランドなどを始めとするストリートファッションが一大トレンドとして世界を席巻していたことが思い出されます。

そんなストリート最盛期の2013年、マイケル・ジョーダンの背番号や、ルネサンス期の絵画をスウェットやパーカーにプリントしたヴァージルの最初のブランド「パイレックスビジョン(PYREX VISION)」が登場。PYREX VISIONはあっという間にストリートキッズの人気を博します。

翌年、ヴァージルがPYREX VISIONを元にオフホワイトを立ち上げると、歌手のジャスティン・ビーバーやG-DRAGON、ラッパーのカニエ・ウエストといったファッションアイコン達がこぞってオフホワイトのアイテムを着用し、知名度が向上します。

人気を博したオフホワイトは2017年11月に、エアジョーダン1やブレーザー、エアプレアストといったナイキの手掛けた名作スニーカー10種(うち1種は米ナイキの子会社であるコンバース社のチャックテイラー)をオフホワイト流に再構築した「THE TEN」コレクションを発表。
各アイテムは争奪戦となり、転売価格も高騰。今日まで続くスニーカーブームをけん引する象徴的なコレクションとなりました。

■オフホワイトがなぜ人気なのか③ -デザイナーの来歴-


出典:edition
オフホワイトの創設者であるヴァージル・アブローのデザイナーとしてのキャリアは、アメリカのヒップホップ歌手のカニエ・ウエストとの交友から始まりました。

イリノイ工科大学大学院で建築学を学び、修士号を取得したヴァージルは卒業後、建築関係の会社に就職。
建築とグラフィックデザインを巧みに融合させる建築物を得意とするレム・コールハースの影響を受け、ファッションデザインに興味を持ったヴァージルは、シカゴのプリントショップでTシャツのデザインを手掛けているときにカニエと出会います。

同じシカゴ出身ということもありヴァージルと意気投合したカニエは、2002年より彼のツアーの物販、アルバムカバー、ステージデザインなどをヴァージルに依頼するようになります。

2009年にカニエと共にフェンディでインターンを務め、2012年にはカニエの設立したクリエイティブエージェンシーであるDONDAのクリエイティブディレクターに就任しました。

同年12月、プシャ・Tの音楽やチャンピオンの体育着、マイケル・ジョーダンへの敬愛など、自身の高校時代の思い出をトリビュートした映像作品を「PYREX VISION」と題してYouTubeで公開すると、作品に登場したアイテムが注目され、パリのセレクトショップなどから「この動画に映っている服は買えるのか?」といった問合せを受けます。

反響を受けヴァージルは2013年1月、ブランドPYREX VISIONを立ち上げ。ナンバリングや絵画のモチーフをストリートファッションに落とし込んだアイテムは今日のオフホワイトにも受け継がれています。

PYREX VISIONのデザインをブラッシュアップし2014年1月にオフホワイトをリリースすると、その人気は爆発。
16年SSにはパリコレクションでランウェイデビューを果たします。

2017年11月にはナイキとコラボした「THE TEN」コレクションを発表。同コレクションの爆発的な人気も含め、ヴァージルの知名度はますます上がってゆきます。

ヴァージルのキャリアを決定的な物にしたのは18年のルイヴィトン メンズ部門のアーティスティックディレクターへの就任と言えるでしょう。

前任のルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターとして、シュプリームやフラグメントデザインといったストリートブランドとのコラボレーションを通じて、「ラグジュアリーストリート」というニュージャンルを確立したキム・ジョーンズは、2018年3月にディレクターを退任。
彼の後任として発表されたヴァージルは、アパレルデザイナーとしてのキャリアが5年にも満たず、なおかつルイヴィトンの170年の歴史の中で初めての黒人アーティスティックディレクターであることから、業界から驚きを持って迎えられます。
ルイヴィトンの伝統的なデザインやモノ作りにストリートカルチャーや多様性を組み込んだアイテムは好評を博し、その世界観は直近のオフホワイトのコレクションにも逆輸入されています。

■オフホワイトがなぜ人気なのか④ -マーケティング戦略-


出典:hypebeast
オフホワイトが若者を中心に絶大な人気を集める理由の一つに、SNSを巧みに活用したマーケティング戦略が存在します。

ファッションブランドにおいては、「インスタグラム映え」を意識してアイコニックなデザインの多用やブランドロゴの変更などを行う動きが活発化していますが、オフホワイトではそれをさらに昇華したプロダクトをInstagram上で発表しています。

例えば、わざと穴を開けて使い物にならなくしたバッグや、フーディーの背中にチャックをつけることで空いたチャックの隙間から下に着ているTシャツのバックプリントが見えるようにしたデザインの服の写真など、時には服そのものの既成概念を壊し、「映え」に特化した服を投稿することで注目を集めています。
また、熾烈な争奪戦を起こした「THE TEN」スニーカーの発売時は、オフホワイトの路面店でのスニーカー販売に際し、店舗が指定したハッシュタグを付けて公式アカウントの写真をリポストしたユーザーの中から抽選で販売する、という戦略をとるなどインスタ上での露出UPを図った販売施策を多数行っています。

最近では、外出自粛下において海外セレブリティを中心に流行したインスタグラムのトレンドである「ピローチャレンジ」もいち早く取り入れ、公式Iインスタグラム上でオフホワイトのインダストリアルベルトを使った「#offwhitepillowchallenge」に参加するよう、ファンに呼びかけました。

この様に、オフホワイトはインスタグラムを中心に様々なマーケティング施策を実行することで、広告に頼らない販売促進を実施しています。

■オフホワイトがなぜ人気なのか⑤ -著名人の着用-


出典:ssmagazine
今日で人気を集める他のストリートブランドと同様に、オフホワイトは立ち上げ当初から様々な著名人やセレブリティが着用することでブランド価値を高めています。
カニエ・ウエスト、ジャスティン・ビーバー、G-DRAGON、国内で言えば三代目J soul brothersの登坂広臣、タレントのローラ、俳優の三浦翔平らがいち早くファッションに取り入れ、オフホワイトの知名度や人気を強固なものにしました。

近年では、アメリカを代表するビッグカップルであるジャスティン・ビーバーとヘイリー・ビーバーが2019年に挙式した際、ヘイリーのウェディングドレスをオフホワイトが特注でデザイン。
ドレスには「TILL DEATH DO AS PART(死が二人を分かつまで)」の文字をオフホワイトの特徴である引用符で囲ったデザインを落とし込み、ヘイリーが公開した写真はInstagram上で420万以上のいいねを獲得しました。

※実際にヘイリーが公開した写真はこちらから

■さいごに

ここまで、オフホワイトが人気を博す理由を5つの視点から探ってみました。オフホワイトはまだまだ10年にも満たない若いブランド。きっとこれからも長きにわたって我々を驚かせ、魅了し続けてくれることでしょう。

ABOUT ME
しゅー
2022年まで約6年間にわたって大手IT系企業に在籍。ファッションブランドやゲーム会社のマーケティング、カスタマーエクスペリエンス強化、海外進出を支援。Supreme、スニーカー、ラグジュアリーストリートが大好物。