ここ数年、新作モデルが発売するたびに争奪戦が巻き起こり、リセール価格の高騰が著しいナイキSBのダンクのローカットモデルは、近年、特に2019年以降注目コラボが数多く投下され、ストリートシーンを賑わせています。
今回の記事では、そんなナイキSBダンクが誕生するまでの歴史と、直近で発売された人気モデルをいくつかご紹介致します。
■ナイキSBからダンクが発売されるまで
世界のスポーツブランドの頂点といっても過言では無いナイキ。
陸上競技やバスケットボールなど、様々なスポーツにおいてその存在感を確固たるものにしてきたナイキ社は、1997年についにスケートボード市場に参入し、いくつかのシューズモデルをリリースしますが、その売り上げは残念ながらどれも芳しいものではありませんでした。
そんな折、1983年に登場し絶大な人気を誇りながらも彗星のように消え去ってしまった「ダンク」の復刻の声が、日本を中心に高まっていました。
1999年春、日本主導で復刻がなされたダンクや、同年秋にアッパーの配色が反転された「裏ダンク」はストリートシーンをメインに大ヒット。
翌2000年には、新モデルとしてタン部分が分厚く緩衝剤のように膨らんだアップデートモデル、「ダンクロー プロ」が発売されました。
これに目をつけたナイキスケートボーディング(ナイキSB)は、分厚いシュータンのダンクロー プロに、ズームエアと呼ばれる厚さ4ミリのエアユニットを搭載。
「ダンク プロ SB」として足への衝撃負担が大きいスケートボード専用のダンクが開発されたのです。
2002年に初登場したダンク プロ SBのうち、日本国内での初めての正式販売がなされたモデルは、なんと2002年11月に発売されたシュプリームとのコラボレーションモデル。
初コラボレーションで大成功を収めたナイキとシュプリームの蜜月関係は今日に至るまで継続しており、2020年現在まで計30回ものスニーカーコラボレーションを行っています。
ナイキとシュプリームの歴代コラボレーションスニーカーについては、こちらの記事にて詳しくご紹介しております。
■STAPLE × NIKE DUNK SB LOW PRO OG “PANDA PIGEON”
ニューバランス、ソニー、マイクロソフトなど、名だたる企業のデザインコンサルティングやコラボレーションを行ってきた代理店「ステイプルデザイン」の創業者でありデザイナーのジェフ・ステイプル(JEFF STAPLE)は、2005年にニューヨークの象徴とも言える”PIGEON(鳩)”をモチーフにした、限定202足の「ダンク SB ピジョン」を発表しました。
発売時の店舗での暴動や警官隊の出動がニューヨークポスト紙に報道されたことで、世界中大きな話題を呼んだこの鳩マークのダンクSBは、2017年に黒いアッパーとオレンジ色のソールにリニューアルされて再発売。
こちらのモデルも争奪戦を巻き起こしました。
そんなジェフ・ステイプルとナイキSBのコラボレーションダンクの第三弾は、2019年1月にリリース。パンダ ピジョン(PANDA PIGEON)と名付けられ、以前からインスタグラム等でサンプルモデルとしてその存在が噂されていたこのモデルは、白のレザーと黒のヌバック素材でモノクロに構築。
ヒールサイドにはおなじみの鳩の刺繍が入っています。
靴の履き口には「SAMPLE (サンプル)」の文字が「STAPLE」に修正されたグラフィックが入り、ソール部分にはこのダンクシリーズを一躍有名にした新聞の見出しを転写しています。
■Girls Don’t Cry × Nike SB Dunk Low Pro QS
出典:leak.tokyo
大阪出身のグラフィックデザイナーVERDY(ヴェルディ)の手掛けるガールズドントクライ(Girls Don’t Cry)は、不定期に開催されるポップアップストアやオンラインショップのみで購入可能なブランドゆえか、近年のストリートシーンにおいて凄まじい人気を誇っているブランドの一つです。
VERDYが妻に向けて「泣かないで」の意を込めて作ったプリントTシャツから始まったこのブランドは、ポップアップショップや他ブランドとのコラボがリリースされるごとに熱狂的な争奪戦が繰り広げられております。
そんなガールズドントクライと、ナイキSBのコラボレーションモデルは、2019年2月にVERDYの出身地である大阪のポップアップイベントにて発売。
1,000人以上が長蛇の列となり大きな話題を呼んだ他、その後3月にSNKRSで行われた限定発売の数も非常に少なかったことから、その後も繰り返し再販を求める声が上がっている一足です。
アッパーと靴底は鮮やかなレッドで統一し、ソールの白のアクセントとヒールサイドのロゴマークがワンポイントとなったこのモデルは、履けばストリートで注目されること必至です。
なお、当初はオールホワイトモデルとオールレッドモデルの2種類のリリースが噂されていましたが、最終的にはレッドモデルのみの発売となりました。
■TRAVIS SCOTT × NIKE DUNK SB LOW PRM QS
アメリカの人気ヒップホップアーティストであるトラヴィス・スコットは、2018年に鮮やかなライトブルーのエアジョーダン4のコラボモデルをリリース以来、名作スニーカー「エアフォースワン」の生誕35周年記念に発表したホワイトキャンバス地のコラボモデルや、ナイキのスウッシュを逆サイドに取り付けた挑戦的なエアジョーダン1など、次々とコラボレーションモデルをリリースしてきました。
2017年から18年にかけて、スニーカーシーンを盛り上げたオフホワイトとナイキの名作コラボ「The TENコレクション」の終了に伴い、スニーカーヘッズたちの熱意はこのトラヴィス・スコットとのコラボレーションにそっくり移ったと言っても過言では無いでしょう。
そんなトラヴィス・スコットと遂にナイキSBがコラボレーションした本作は、これまで以上にディテールの凝った、至高の逸品とも言えるスニーカーになっていました。
ライトブラウンのボディーに紺色のペイズリー柄と、チェック柄が重ね合わさり、両サイドのスウッシュは外側が黒、内側が薄ピンク色で構成された、レトロ感あふれる仕様になっています。
シューレースは八ツ打ちロープを思わせる太い白の紐と、通常の黒とピンク紐が付属。
そしてペイズリー柄のアッパー表面の生地は、剥がすとブラウンの別デザインが施されるギミックまで用意されていました。
■Grateful Dead × Nike SB Dunk Low Pro QS
1965年にアメリカ カリフォルニア州で結成されたロックバンド「グレイトフル デッド(GRATEFUL DEAD)」は、カントリー、フォーク、ブルース、レゲエ、ロック、はては即興のジャズに至るまで、ありとあらゆる音楽ジャンルをミックスした独自のサウンドを奏で、ヒットチャートに乗ることはほとんど無いにも関わらず、年間のライブ収益は米国内でも1、2を争う、伝説的バンドとして知られています。
グレイトフル デッドが1973年にリリースしたCD「HISTORY OF THE GRATEFUL DEAD, VOLUME ONE」で登場したキャラクター「ダンシング・ベア(DANCING BEAR)」をモチーフに、今回ナイキSBは3種類のダンク ロー プロをリリースしました。
黄色×青色、緑色×青色、そして国内での販売がなかったオレンジ色×緑色の3種類のダンクはそれぞれつま革、クォーター、そしてフォクシング部分はフワフワとした手触りの良い起毛素材が使われ、その他チップなどはスウェード素材とメッシュ素材で構成されています。
また、その他にもナイキのスウッシュをギザギザにした大胆なアレンジや、ダンク プロ特有の大きく膨らんだシュータンにチャックポケットがついているなど、ギミックに溢れた一足となっています。
本品については下記の記事で実物を購入しレビュー記事を描かせて頂きましたので、是非ご覧ください。
■さいごに
今スニーカー界は空前のダンクブーム。
中でもストリートを中心に愛されてきたナイキSBのダンク ロー プロは、今回ご紹介したような遊び心溢れたプレミアモデルを多数リリースし、その多くがリセール市場でも驚異の価格高騰を起こしています。
今後も編集部では人気のスニーカーの購入レビューや、アーカイブアイテムのご紹介などを実施してゆければと考えております。