2010年代後半の熱狂からは少し冷めたものの、未だ多くのファンが新作モデルを日々追い求めているスニーカー市場。
ナイキ一強だった時期はとうに越え、多くのファッショニスタはニューバランスなどのナイキ以外のブランドにも手を出し始めています。
そんな中、2022年にアディダス(adidas)から「アディマティック(ADIMATIC)」が久々に復刻。
多くの注目を集めています。
今回の記事では、このアディマティック復刻の経緯や歴史をご紹介。
発売当時を知る人も、この復刻のタイミングで存在を知った人も是非本記事をご覧ください。
■アディマティック(ADIMATIC)とはどんなスニーカー?
1996年、裏原系浸透しストリートカルチャーが日本でも浸透し出した頃、アディマティックは誕生しました。
アディマティックは当時アディダスが注力を始めたスケートボードやBMXなどのエクストリームスポーツ向けモデルとして登場。
現在のように「アディダススケートボーディング」として正式にスケートボードラインを作る前の「アーバンスポーツモデル」としてリリースされました。
アッパーは上品なスウェード素材、極太のスリーストライプスとシューレースが目を引きます。
ミッドソールはスケートやBMXの激しい動きに耐えうる厚みがあり、ギザギザとしたパターンがアクセント。
ヒールには大きなアディダスのパフォーマンスロゴ(旧エキップメントロゴ)が搭載されていました。
出典:kickslab
当時は全8色が展開されましたが、特にグリーンはアディダスらしいカラーリング、そして限定2000足という噂もあり人気が爆発。
多くのリセールショップや中古買取価格も高騰しました。
また、同じタイミングでローカットモデルと共にMidモデルも登場。
こちらは現在もあまり知られていないディープなモデルとなっています。
出典:adi-files
■アディマティック(ADIMATIC)復刻の経緯
出典:atmos-tokyo
そんなアディマティックはスニーカーショップ大手「アトモス(atmos)」によって2022年に復活。
アトモスとアディダス公式でのみ限定発売がなされました。
アディマティックは1996年のリリース以降、長らく復刻がなかった伝説のモデル。
復刻はアトモスのディレクター小島奉文氏によるアディダス側への粘り強い交渉によるものです。
日本においては当時カルト的な人気を誇ったアディマティックでしたが、世界全体で見るとその人気は限定的でした。
こうした経緯からアディダスからは「こんなモデルが売れるのか」という声もあり、なんと小島氏はアディダスとの交渉を3年以上行い、その熱意によって復刻がなされたと後日語っています。
また、当時のモデルを正確に復刻するという部分にも小島氏はこだわり。
ヒール部分のロゴを「トレフォイルロゴにしてもいいか」というアディダスに対し、徹底してオリジナルモデル同様のパフォーマンスロゴ(旧エキップメントロゴ)に準拠して欲しいと要請したそうです。
※トレフォイルロゴ
出典:adi-files
※パフォーマンスロゴ
出典:adi-files
こうした小島氏の熱意によって復刻したこともあり、アトモス社内ではアディマティックを「コジマティック」などとも呼ばれているそうです。
そんなアディマティックは2022年3月26日についに復刻。
1996年当時もっとも人気を集めたグリーンに加え、使いやすさ抜群のブラック、そしてアトモス別注となるブルーがリリースされました。
その後もアディダスからは不定期にニューカラーがリリース。
先日はNIGO氏率いるストリートブランド「ヒューマン メイド(HUMAN MADE)」とのコラボモデルも発表されました。
■さいごに
今回の記事では、ついに復刻したアディダスの名作モデル「アディマティック」の歴史や復刻の経緯を解説いたしました。
以前アトモス代表の本明氏は「これまでのスニーカーブームの波を振り返ると、ナイキ ダンクのブームが終わるとスニーカーブームが終焉を迎える」と発言。
業界内でも多くの反響を集めていました。
このタイミングでのアディマティックの復刻にアトモスが注力したのは、スニーカー界のトップランナーであるアトモスが、ブーム終焉を防ぐための新たなアイコニックなモデルを求めたからかもしれません。
アトモスの小島氏、そして代表の本明氏はアディマティック発売に際し、YouTubeチャンネルで「生産数を絞り、大事に売っていきたいモデル」と宣言。今後もコアなスニーカーファンに求められ続けるよう、供給量を調整しつつリリースが続いてゆきそうです。