Supreme

シュプリームとルイ・ヴィトンのコラボは何故凄かったのか?両者の歴史背景から考察!

2010年代後半のファッション史において最大のイベントは何だったのか、と問われたとして、
2017年に起こったシュプリームとルイ・ヴィトンのコラボレーションだと答える人は少なく無いでしょう。

ストリートカルチャーの雄であるシュプリームと、世界のラグジュアリーブランドを代表するルイ・ヴィトンの衝撃的なコラボレーションを求め、コラボ当時は日々行列やBotと格闘するストリートキッズから、転売利益による一攫千金を狙うバイヤーまで、数多くの人々が超倍率の入店抽選に参加しました。

今回の記事では、今や当然のトレンドとなったストリートとラグジュアリーの融合を決定付けたこのイベントを振り返り、何がそこまで彼らを引きつけたのかを解説します。

■コラボレーションプロジェクトの始まり

この伝説的なコラボレーションを最初に思いついた人物は、ルイ・ヴィトンの会長兼CEOのマイケル・バーグ。

今やファッションの帝王として名高いLVMHグループ総帥、ベルナール・アルノーが設立したアルノーグループに1980年代に入社した彼は、入社後に同グループ傘下のクリスチャン・ディオールの米国法人CEOを、次いで1992年から1997年まではルイ・ヴィトン北米地区のCEOを務めました。

1997年にはクリスチャン・ディオール クチュール (ワールドワイド) のマネージング・ディレクターになり、2003年にはフェンディの会長兼CEO、2012年にブルガリのCEOを経てルイ・ヴィトンの会長兼CEOに任命されました。

グループに入って以来一貫してラグジュアリーブランドを渡り歩いてきたマイケル・バーグは、2010年代後半より俄かにその存在感を増し始めていたストリートとラグジュアリーの融合についても当然気付いていました。

コラボ実現より1年以上前のある日、当時のルイ・ヴィトンのアーティスティックディレクターであるキム・ジョーンズ(現ディオール)に電話を掛けたマイケル・バーグはキム・ジョーンズに「シュプリームというブランドについて興味がある。ブランドの創業者の番号を知らないか?」と尋ねました。

キムは、「シュプリームとのコラボレーションが出来るのであれば創設者であるジェームズ・ジェビアの電話番号を教える」とマイケルに伝え、そこからこのコラボレーションのプロジェクトはスタートしました。

ちなみにキム・ジョーンズは大学時代、ロンドンの会社で当時ブランドが始まったばかりの頃のシュプリームの商品をニューヨークから輸入し販売する仕事をしていたそうです。

■シュプリームとルイ・ヴィトンの確執

1994年にニューヨークの小さなスケートボードショップから始まったシュプリームは、創設者であるジェームズ・ジェビアの巧みなマーケティング戦略によって大きくなったストリートブランドです。

立ち上げ当初はブランドの認知を上げるために、赤で塗りつぶされた横長の長方形にFuturaフォントでシンプルに「Supreme」と書かれたロゴステッカーを19×6cmサイズにしたステッカーを1万枚刷り、部下に「ニューヨークじゅうに貼りまくれ」と指示したのは有名なエピソード。

町中の壁や手すり、カルバンクライン(Calvin Klein)のモノクロポスターなどにステッカーが貼られると、翌日には雑誌「New York TIMES」に取り上げられ、大きな話題となりました。

町のスケーターたちが数多く店を訪れる様になると、ジェビアは店に訪れるスケーターたちが、リーバイスやカーハートといったスケーターブランドと、グッチやルイ・ヴィトンといった高級ブランドとを、組み合わせて着ていることに気が付きます。

高級ブランドとシュプリームのマッシュアップを始めたジェビアは、グッチ、バーバリー、そしてルイ・ヴィトンといった超有名ブランドのロゴやデザインとボックスロゴ掛け合わせたプロダクトを次々と(一部ブランドに無許可で)発表し話題を集めます。

2000年のシュプリームのルックではルイ・ヴィトンのモノグラムロゴをあしらったTシャツ、ビーニー、そしてスケートデッキが発表されましたが、これにルイ・ヴィトン側が猛反発。

知的財産権の侵害として即座に中止を勧告する書簡をシュプリームに送りつけました。
また、合わせて、既に生産されていた商品が流出することを防ぐために、商品を燃やすことも指示。

立ち上げ間も無い弱小ブランドであるシュプリームが、大企業LVMHグループから訴えられればひとたまりもありません。

訴訟を避けたシュプリームはコレクションの発売を取りやめることとなりました。

■ストリートの地位向上と正式なコラボレーション

2000年においてはまだ一部でカルト的な人気を誇るのみだったシュプリームは、その後15年の歳月を経て世界中で毎週争奪戦を巻き起こすストリートブランドの雄となりました。

また、2005年よりジバンシィを率いたリカルド・ティッシは、ジバンシィでのコレクションや、彼がステージ衣装を手掛けたラッパー、カニエ・ウエストのファッションなどを通し、ラグジュアリーファッションとストリートファッションの融合を提案し続けました。

ストリート特有の着こなしであるレイヤードスタイルを一枚数万円するハイブランドのTシャツで行うファッショニスタや、ラグジュアリーブランド側が今まで顧客層として見てこなかったストリートキッズたちがハイブランドに対する熱視線をにわかに向ける様になったことを受け、ラグジュアリーとストリートの垣根は少しずつ埋まってゆきます。

また、2013年に立ち上がったばかりのストリートファッションブランド「オフホワイト」が、僅か3年後にはその確かな物作りが評価されラグジュアリーブランドひしめくパリコレクションのランウェイを飾ったことも大きな話題となりました。

こうした大きなファッション業界全体の流れや、シュプリームのブランドとしての成長が、遂にはラグジュアリーブランドの最高峰たるルイ・ヴィトンのCEOをもってして、彼らとのコラボレーションを打診するまでになったのです。

過去の確執を乗り越え、正式なコラボレーションを提案したルイ・ヴィトンの懐の深さとトレンドを読み取る先見性、そして20年の歳月を経て町のスケーターショップからストリートファッションにおけるトップブランドに成り上がったシュプリーム。

そんな両ブランドの歴史とロマンがコラボレーションの大成功を牽引したのかもしれません。

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