服好きでなくとも誰もが知っている名コラボ、シュプリーム × ルイヴィトン。
世界中が熱狂した本コラボですが、実はシュプリームを昔から知るファンからすれば絶対にあり得なかったはずの大事件だったのです。
今回の記事ではこのシュプリーム × ルイヴィトンコラボにフォーカスし、2000年に起きた両ブランドの確執と、それを乗り越え正式なコラボを実現したきっかけをどこよりもわかりやすく解説。
ぜひ最後までご覧ください。
■伝説的コラボの立役者は誰だったのか?
・ルイヴィトンの会長がシュプリームに目をつけた
出典:lvmh
この伝説的なコラボレーションを最初に思いついた人物は、ルイヴィトンの会長兼CEOのマイケル・バーク。
今やファッションの帝王として名高いLVMHグループ総帥、ベルナール・アルノーが設立したアルノーグループに1980年代に入社したマイケル・バーグ。
彼は入社後に同グループ傘下のクリスチャンディオールの米国法人CEOを、次いで1992年から1997年まではルイヴィトン北米地区のCEOを務めました。
1997年にはクリスチャンディオール クチュール (ワールドワイド) のマネージング・ディレクターになり、2003年にはフェンディの会長兼CEO、2012年にブルガリのCEOを経てルイヴィトンの会長兼CEOに任命されました。
グループに入って以来一貫してラグジュアリーブランドを渡り歩いてきたマイケル・バーク。
彼は2010年代後半より俄かにその存在感を増し始めていたストリートとラグジュアリーの融合についても当然気付いていました。
コラボ実現より1年以上前のある日、マイケル・バークは当時のルイヴィトンのアーティスティックディレクターであるキム・ジョーンズ(現ディオール)に電話。
キムに「シュプリームというブランドについて興味がある。ブランドの創業者の番号を知らないか?」と尋ねます。
出典:highsnobiety
この瞬間、キムはマイケルの意図に気づいたのでしょう。
「シュプリームとのコラボレーションが出来るのであれば創設者であるジェームズ・ジェビアの電話番号を教える」とマイケルに伝え、ファッション史に残るビッグコラボは産声を上げたのです。
・かつてシュプリームと関わっていたキム・ジョーンズ
出典:numero
キム・ジョーンズといえば、ハイブランドのディレクターながら裏原宿文化やストリートスタイルに多大なるリスペクトを持った人物。
なんと彼は、ファッション業界で名を馳せる前の大学時代にシュプリームとの関わりを持っていたのです。
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当時ニューヨークから世界に羽ばたき、イギリスはロンドンでの販売も開始していたシュプリーム。
今と異なり様々なショップにアイテムを卸していたシュプリームですが、キムはなんと学生時代にシュプリームを取り扱うロンドンのセレクトショップで勤務していたのです。
棚卸しの際などにシュプリームに触れていたキム青年は、十数年後にルイヴィトンのデザインディレクターに就任。
シュプリームとのコラボレーションを主導することになったのは数奇さをも感じさせます。
しかし、再び時を巻き戻しキムがシュプリームの商品をロンドンで棚卸ししていた頃、ルイヴィトンとシュプリームの関係性は決して良いものではなかったのです。
■シュプリームとルイヴィトンの確執
・ヤンチャすぎたシュプリーム
出典:vogue
1994年にニューヨークの小さなスケートボードショップから始まったシュプリームは、創設者であるジェームズ・ジェビアの巧みなマーケティング戦略によって大きくなったストリートブランドです。
立ち上げ当初はブランドの認知を上げるために、赤で塗りつぶされた横長の長方形にFuturaフォントでシンプルに「Supreme」と書かれたロゴステッカーを19×6cmサイズにし、1万枚制作。
これを「ニューヨークじゅうに貼りまくれ」と部下に指示したのは有名なエピソード。
出典:fashion
町中の壁や手すり、カルバンクライン(Calvin Klein)のモノクロポスターなどにステッカーが貼られると、翌日にはNew York TIMESにも取り上げられ、大きな話題となりました。
・ハイブランドとシュプリームを勝手にコラボ
町のスケーターたちが数多く店を訪れる様になると、ジェビアは彼らがリーバイスやカーハートといったワーク系やストリートファッションと、グッチやルイヴィトンといった高級ブランドとを組み合わせて着ていることに気が付きます。
高級ブランドとシュプリームのマッシュアップを始めたジェビアは、グッチ、バーバリー、そしてルイヴィトンといった超有名ブランドのロゴやデザインとボックスロゴ掛け合わせたプロダクトを次々と無許可で発表。
・勝手にコラボされたルイヴィトンは激怒
出典:youbetterfly
2000年のシュプリームのルックではルイヴィトンのモノグラムロゴをあしらったTシャツ、ビーニー、そしてスケートデッキが発表されましたが、これにルイヴィトン側が猛反発。
知的財産権の侵害として即座に中止を勧告する書簡をシュプリームに送りつけました。
また、合わせて、既に生産されていた商品が流出することを防ぐために、商品を燃やすことも指示。
立ち上げ間も無い弱小ブランドであるシュプリームが、大企業LVMHグループから訴えられればひとたまりもありません。
訴訟を避けたシュプリームはコレクションの発売を取りやめることとなりました。
なお、イケイケ集団だったシュプリームクルーたちが素直にアイテムを全て燃やすはずもありません。
こっそり保管され焼却を免れた一部のアイテムたちは時折オークションに出品され、高値で落札されています。
■確執を乗り越え、正式なコラボレーションに
・ストリートファッションの地位向上
出典:gqjapan
2000年においてはまだ一部でカルト的な人気を誇るのみだったシュプリームは、その後15年の歳月を経て世界中で毎週争奪戦を巻き起こすストリートブランドの雄となりました。
また、その少し前からファッショントレンドの中にストリートファッションとラグジュアリーファッションの融合が登場。
出典:mag
代表的なのが2005年よりジバンシィを率いたデザイナー リカルド・ティッシ。
リカルドはコレクションや彼がステージ衣装を手掛けたラッパー、Yeことカニエ・ウエストのファッションなどを通し、ラグジュアリーとストリートの融合を提案し続けました。
こうしたトレンドセッターの活躍によって、ストリート特有の着こなしであるレイヤードスタイルを一枚数万円するハイブランドのTシャツで行うファッショニスタなどが登場。
出典:scmp
また、2013年に立ち上がったばかりのストリートファッションブランドオフホワイト(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)が、僅か3年後にはその確かな物作りが評価されラグジュアリーブランドひしめくパリコレクションのランウェイを飾ったことも大きな話題となりました。
・シュプリームがルイヴィトンに認められる
出典:ft
こうしたファッション業界全体の大きな流れや、シュプリームのブランドとしての成長は、遂にはラグジュアリーブランドの最高峰たるルイヴィトンとしても無視できないレベルに。
過去のトラブルを水に流し、正式なコラボレーションを提案したルイヴィトンの懐の深さとトレンドを読み取る先見性。
出典:ft
そして歳月を経て町のスケーターショップからストリート界のトップブランドに成り上がったシュプリーム。
そんな両ブランドの歴史とロマンがコラボレーションの大成功を牽引したのかもしれません。
■さいごに
今回の記事では、歴史的なコラボレーション、シュプリーム × ルイヴィトンについて解説致しました。
FashionArchive.comではこうしたブランド解説やお役立ち情報を多数掲載中。
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