ボックスロゴアイテムと並び、毎年注目を集めるシュプリーム(Supreme)のフォトT。
著名人にボックスロゴTを着せたスナップをプリントしたこのアイテム。次にどんな人物にスポットが当たるのかがファンの間で例年の話題となっています。
今回の記事では、このシュプリームのフォトTにフォーカスし、歴代のアイテムを発売順に総まとめ。
ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- ■2005年:Raekwon(レイクウォン)
- ■2006年:Dipset(ディプセット)
- ■2007年:Mike Tyson(マイク・タイソン)
- ■2007年:Tera Patrick(テラ・パトリック)
- ■2008年:Kermit(カーミット)
- ■2009年:Lou Reed(ルー・リード)
- ■2010年:Lee “Scratch” Perry(リー・ペリー)
- ■2011年:Prodigy(プロディジー)
- ■2012年:Kate Moss(ケイト・モス)
- ■2012年:Three 6 Mafia(スリー・6・マフィア)
- ■2013年:Shane MacGowan(シェイン・マガウアン)
- ■2015年:Neil Young(ニール・ヤング)
- ■2016年:Morrissey(モリッシー)
- ■2016年:Gucci Mane(グッチ・メイン)
- ■2017年:Nas(ナズ)
- ■2019年:Buju Banton(ブジュ・バントン)
- ■2020年:RAMMELLZEE(ラメルジー)
- ■2020年:Pharoah Sanders(ファラオ・サンダース)
- ■2021年:Rick Rubin(リック・ルービン)
- ■2022年:ANDRÉ 3000(アンドレ・3000)
- ■2023年:NBA YOUNGBOY(ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン)
- ■2024年:Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)
- ■おまけ:Lady Gaga
- ■さいごに
■2005年:Raekwon(レイクウォン)
シリーズ最初のフォトTに選ばれたのはウータン・クランの一員として知られるラッパーのレイクウォン(Raekwon)でした。
NYスラングを多用し、スピード感あふれるリリックで知られるレイクウォンは、武装したボディーガードを携えてスナップに登場。
なぜか腕にはエルモ人形を携えていたことから、セサミストリートの弁護士はエルモと自動小銃という地獄のような組み合わせに卒倒。
Tシャツの発売中止を求めました。
■2006年:Dipset(ディプセット)
The Diplomats(ディプロマッツ)とも呼ばれるヒップホップユニット、ディプセット(Dipset)。
メンバーの中から撮影にはジュエルズ・サンタナとジム・ジョーンズが参加。
ディプセットの中では、リーダー格だったキャムロンの人気が圧倒的だったものの、あえてジュエルズとジムの2人を招聘したのはシュプリームらしいと言えるでしょう。
撮影を行ったフォトグラファーのケネス・ カペロによれば、現場は「沢山のウィード(大麻)と沢山のエゴ」で溢れていたとのこと。
ジム・ジョーンズが撮影時にギャラの前払いを要求したとの話もあり、中々異質なフォトシューティングだったようです。
■2007年:Mike Tyson(マイク・タイソン)
前年のディプセットに続き、フォトグラファーのケネス・カペロの受難は終わりません。
シュプリームが2007年の顔に選んだのは元ヘビー級統一王者にしてボクシング界の問題児、マイク・タイソン(Mike Tyson)。
この日のタイソンはどうやら写真を撮られる気分ではなかったようで、フォトシューティングは終始彼が撮影メンバーを威嚇したり罵倒する中で行われたとのこと。
タイソンが事実上の引退をした直後だったこの撮影、20年のキャリアに終止符を打ったハードパンチャーの燻る思いが写真からも発せられているように感じます。
■2007年:Tera Patrick(テラ・パトリック)
次にシュプリームが目をつけたのは、2000年代を代表するポルノスター、テラ・パトリック(Tera Patrick)。
彼女がボックスロゴTを大胆にカットして身につけたこの写真。
それまでのポートレート風の撮り方ではなく、カートゥーンのようなデザインが特徴的です。
緊迫した撮影が続いたケネス・カペロにとって、久々に気の休まるフォトシューティングだったに違いありません。
■2008年:Kermit(カーミット)
レイクウォンの撮影で勝手にエルモ人形を使ったシュプリーム。
しかし、その3年後にはセサミストリートと和解し、カーミット(Kermit)をフォトTに招聘することに成功します。
ちなみにこの撮影のためにシュプリームは、カーミット用の小さなボックスロゴTを特注で製作したとのこと。
フォトTシリーズの中でもトップクラスに人気の高いアイテムとなっています。
■2009年:Lou Reed(ルー・リード)
2009年の顔として選ばれたのは、ロックミュージックに多大なる影響を与えたレジェンド、ルー・リード(Lou Reed)。
ヒップホップやストリートカルチャー寄りだったこれまでの人選からは少し外れたこのチョイスに、若いシュプリームファンは困惑。
現地では「誰やねん」という声も多かったと聞きますが、振り返ってみれば古今東西の文化に分け隔てなく手を伸ばすシュプリームらしさも感じます。
なお、このフォトシューティングからわずか4年後となる2013年、ルーは肝臓疾患の関連病のため71歳でこの世を去っています。
■2010年:Lee “Scratch” Perry(リー・ペリー)
レゲエやダブの重鎮、リー・ペリー(Lee “Scratch” Perry)がシュプリームのフォトTに登場。
2010年SSでは、黒いシュプリームのボックスロゴTにパッチがついたジャケットを羽織った彼のポートレートがTシャツとなりました。
ちなみにリー・ペリーは音楽のみならず、現代アート作品も数多く製作。
2020年FWシーズンには、彼のアートをボディに落とし込んだフーディーやスウェットパンツもリリースされました。
■2011年:Prodigy(プロディジー)
2011年SSシーズンでは、ヒップホップデュオMobb Deepの片割れとしても知られたプロディジー(Prodigy)にフォーカス。
ニューヨーク、クイーンズで活躍した彼は、ライトアップされたマンハッタンブリッジをバックに、シュプリームのボックスロゴTを着てポーズをとっています。
NYヒップホップの代表格としてますますの活躍を期待されていたプロディジーでしたが、鎌状赤血球症による合併症で2017年に42歳の若さで死去しています。
■2012年:Kate Moss(ケイト・モス)
シュプリームが2012年にフォトTの被写体に選んだのは、ブランドと深い因縁を持ったスーパーモデル、ケイト・モス(Kate Moss)。
それもそのはず、シュプリームは1994年にニューヨークで店舗をオープンした当時、プロモーションのためにボックスロゴステッカーを町中に貼り付け。
当時カルバンクラインのミューズだったケイト・モスは、自身のモノクロポスターの上から無許可でボックスロゴステッカーを貼られているのです。
そんなケイト・モスですが、すでに3度のコラボレーションをシュプリームと行っており、4度目にしてついにフォトTデビューを果たすこととなりました。
本Tシャツはマイク・タイソンやカーミットと並び、フォトTの中でも抜群の人気と知名度を誇っています。
■2012年:Three 6 Mafia(スリー・6・マフィア)
スリー・6・マフィア(Three 6 Mafia)のメンバー、DJポールとジューシー・JがスナップされたこのフォトT。
今までとは異なり2枚の写真を横に並べたデザインとなっているほか、着用しているボックスロゴが紫という珍しいカラーなのも特徴的です。
テネシー州メンフィスを代表するグループである、スリー・6・マフィア。
シュプリームのこれまでの人選はニューヨークのヒップホップアクトに集中していたこともあり、異例づくしの1枚となりました。
■2013年:Shane MacGowan(シェイン・マガウアン)
アイリッシュ・パンク(ケルト音楽とパンクロックの融合)の先駆者的バンド、ザ・ポーグズのフロントマンであるシェイン・マガウアン(Shane MacGowan)。
5歳から飲酒/タバコを嗜み(!!)、その素行の悪さから音楽業界を度々仰天させる愛すべきロクデナシがシュプリームとまさかのコラボレーション。
撮影を担当したシャニクワ・ジャービスによれば、アイルランドのダブリンで行われたフォトシューティングにおいて、シェインは彼女を盛大にもてなしたそう。
大量の食事と酒を振る舞い、歌まで歌ってくれたとの話をきくと、フォトTの撮影は当たり外れが非常に大きいことが改めて分かります(笑)
■2015年:Neil Young(ニール・ヤング)
前年2014年は、フォトTをリリースしなかったシュプリーム。
2015年の顔となったのはフォーク・ロックの伝説、ニール・ヤング(Neil Young)でした。
シュプリームのコアファン層である若い世代があえてピンとこないレジェンドを起用するセンスがここでも爆発。
あり得なさすぎる組み合わせに見えたシュプリームとニール・ヤングでしたが、彼がボックスロゴTを着用しこちらを見つめている写真は、何故だかしっくりくるものがあります。
■2016年:Morrissey(モリッシー)
ザ・スミスの元フロントマンにして偉大なシンガーソングライターであるモリッシー(Morrissey)。
彼の大ファンだった当時のシュプリームのディレクター、アンジェロ・バクは2016年のフォトTにモリッシーをチョイス。
しかし、撮影終了後にシュプリームがチョイスした写真はモリッシーのお気に召すものではなかったようで、彼はフォトTに自らが撮影したスナップを使うよう要求。
シュプリーム側はこれを拒否し、カメラマンによって撮影された他の写真を使うか、再撮影、もしくはギャラの返還を要求しました。
話は拗れに拗れ、最終的にはシュプリームとモリッシーのビーフのような状態にまで発展。
モリッシー側との話し合いが今後も平行線になると分かったシュプリームは、アイテムの発売を強行しました。
■2016年:Gucci Mane(グッチ・メイン)
KIDSやガンモといった作品で知られ、シュプリームと縁の深い映画監督、ハーモニー・コリン。
彼が撮影を担当した2016年のフォトTではアラバマ出身のラッパー、グッチ・メイン(Gucci Mane)が被写体に。
彼の自宅兼スタジオで撮影されたフォトセッションの一部は、動画としてシュプリームの公式サイトで閲覧可能です。
■2017年:Nas(ナズ)
ニューヨークのブルックリンで生まれたナズ(Nas)は、奇しくもファーストアルバムである名盤「イルマティック(Illmatic)」をシュプリーム誕生と同じ1994年にリリース。
そんな数奇な巡り合わせも影響してか、本アイテムは近年リリースされたフォトTの中でもかなり評価の高い1枚となっています。
■2019年:Buju Banton(ブジュ・バントン)
2018年にフォトTのリリースが無かったシュプリーム。
2019年では、ジャマイカ出身のレゲエアーティスト、ブジュ・バントン(Buju Banton)が被写体に選ばれました。
ジャングルを思わせる緑をバックに、ボックスロゴTを着てカメラを睨め付けるブジュ・バントン。
アフリカ回帰主義的なラスタファリ運動に傾倒するブジュが、同様の思想を持つトレマイン・エモリーが就任する前である2019年にチョイスされたのは、少し不思議に感じます。
■2020年:RAMMELLZEE(ラメルジー)
これまでのフォトTと違い、既存画像へのボックスロゴのコラージュによって作られたこのアイテム。
2010年に亡くなった彼の死後10周年の節目としてリリースされました。
生前、シュプリームとラメルジー(RAMMELLZEE)の関係は深く、シュプリームが初めてコラボした現代アーティストがラメルジーだったことはあまり知られていません。
コラボのみならず、ラメルジーのアートワークがシュプリームの店舗の内装に使われたりと、その関係は今も継続。
2023年にはナイキとラメルジー、そしてシュプリームのトリプルコラボのダンクもリリースされました。
■2020年:Pharoah Sanders(ファラオ・サンダース)
2020年FWシーズンでは、クラブジャズ界のレジェンドとも呼ばれるサックス奏者、ファラオ・サンダース(Pharoah Sanders)にフィーチャーしたフォトTが発売。
歴代最高齢のフォトTメンバーとなったファラオがシュプリームのボックスロゴTを着込んでサクソフォーンを演奏するこちらのTシャツは、シリーズの中でも際立って渋い1着。
撮影から2年後の2022年に、彼は81歳で死去。
亡くなる直前まで精力的に活動した、生涯音楽家でした。
■2021年:Rick Rubin(リック・ルービン)
2021年のフォトTでは、アメリカの伝説的音楽プロデューサー、リック・ルービン(Rick Rubin)が登場。
泰然と座禅を組みカメラを見据えるリックの姿は、彼のあだ名であるグル(導師)そのもの。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズやメタリカを世に押し上げた天才プロデューサーは、まさしくシュプリームらしい人選だと言えるでしょう。
■2022年:ANDRÉ 3000(アンドレ・3000)
ヒップホップデュオOutKastのメンバーにして、ソロ活動や映画俳優としても精力的に活動するアンドレ・3000(ANDRÉ 3000)。
シュプリームにおける黒人初のディレクターとしてブランドに参画したトレマイン・エモリーにとって、彼とのコラボレーションは最初の仕事の一つとなりました。
■2023年:NBA YOUNGBOY(ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン)
一世を風靡したレジェンドを起用しがちなフォトTですが、2023年にトレマイン・エモリーがチョイスしたのは今まさにブレイクしているアーティスト、ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン(NBA YOUNGBOY)でした。
YouTubeに投稿されるMVが1億回再生を連発する大人気アーティストですが、銃撃事件を伴う他のラッパーとのビーフや、奔放な性生活によって既に10人以上の子供の父親であるNBA YoungBoy。
2023年FWシーズンのキャンペーンフォトが公開されると、彼の娘が極小サイズのボックスロゴTを着用している写真も話題となりました。
■2024年:Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)
2024年、シュプリーム創業30周年の顔に選ばれたのは、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, The Creator)。
ラッパーとして活躍する彼は、これまで幾度となくシュプリームのアイテムを公私で着用してきた人物。
ファッションセンスの高さも注目されており、今回のフォトTeeへの起用は満を持してといったところでしょうか。
ちなみに、2011年より自身のファッションブランド、GOLF WANGも運営しています。
■おまけ:Lady Gaga
これまで様々な著名人にボックスロゴTを着せ、そのスナップをフォトTとしてリリースしてきたシュプリーム。
しかし中にはキャンペーンフォトとして撮影をしつつも、Tシャツとしてはリリースしなかった有名人も多数存在します。
レディーガガや菊地凛子、RZAといった著名人によるボックスロゴTの着用は、多くのファンからフォトTとしてのリリースを待望されましたが、実現することはありませんでした。
■さいごに
今回の記事では、シュプリームの歴代フォトTについてご紹介しました。
毎年リリースされるこのフォトTシリーズ。来年はどんな人がボックスロゴTを着用するのか、今から楽しみでなりません。
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