近年、世界ではAIの発展やメタバース、そしてNFTといった単語が飛び交い、素人目に見ても何か世界が大きく変わりつつあることを感じさせます。
そしてこの流れはIT業界の枠を飛び越え、ファッションの世界においても全く新しいブランドの誕生に寄与しています。
本記事でご紹介するのは、NFTの技術を使い「デジタルスニーカー」を販売するブランド、RTFKT(アーティファクト)。
RTFKTは2021年にはスニーカー業界の王様であるナイキに買収され、ますます大きな注目を集めています。
本記事ではRTFKTが急成長した背景や今後の戦略などを、どこよりもわかりやすく解説。
難しい用語を使わずにご紹介しますので、スニーカー好きやNFTに興味がある方は必見です。
この記事さえ読めば貴方がRTFKTについて詳しくなれること間違いなしです!
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目次
- ■RTFKT誕生前のスニーカー業界の状況
- ■RTFKTが手がけるバーチャルスニーカーってそもそも何だ?!
- ■デジタル世界のシュプリーム:RTFKTとはどんなブランド?
- ■まとめ:RTFKTは何故すごいのか?現状と今後を分析
- ■さいごに
■RTFKT誕生前のスニーカー業界の状況
バーチャルスニーカーブランド「RTFKT」についてご紹介する上で、前提としておさらいしておきたいのがスニーカー業界の状況。
2010年代のファッション市場を振り返ってみると、「スニーカー」というファッションアイテムは1つのトレンドと呼んで良いほどの存在感を示したと言えるでしょう。
その理由はナイキをはじめとするビッグブランドによる積極的な名作モデルのリリースや、スニーカーと親和性の高い「コラボレーション文化」の発展。
出典:snkrdunk
また、スニーカー市場を加熱させた大きな要因のひとつに、メルカリやStock X、スニダンといった、個人間取引サービスの登場があったのを忘れてはなりません。
少量ロットで生産されたレアスニーカーは様々なリセールマーケットで高額転売がなされ、その様子に目をつけた転売ヤーの増加や、フェイク品の横行は社会問題にまで発展しました。
しかし、こうした爆発的なスニーカーブームは2021年ごろから一定の落ち着きを見せ、定価の数倍〜数十倍もの値付けがなされるようなアイテムは、なかなか登場することが少なくなりました。
しかし、現実世界でスニーカーブームがダウントレンドに入り始めた頃、バーチャル世界(Web内)におけるアバターとしてのスニーカーが登場。
出典:moguravr
こうしたバーチャルスニーカーは時に数十〜数百万円という価格帯で取引がなされ、大きな注目を集めることとなったのです。
■RTFKTが手がけるバーチャルスニーカーってそもそも何だ?!
・バーチャルスニーカーとは
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では、「バーチャルスニーカー」とは一体なんでしょうか?
バーチャルスニーカーとは、その名の通りバーチャル上、つまりオンラインの世界で着用可能なスニーカーのことを指します。
オープンワールドのゲームやメタバース世界でユーザーが操作するアバターに着用させるスキン、と考えれば分かりやすいかもしれません。
また、現在世に出ているバーチャルスニーカーの多くは、NFT(非代替性トークン)化されている、という点も忘れてはいけません。
・NFTによる転売/偽物問題の解決
出典:value-domain
NFTとは簡単にいえば、「ブロックチェーンの技術を使い、コピーや複製を出来なくしたデジタル上のデータ」のこと。
このNFT技術をバーチャルスニーカーに搭載することで、従来のスニーカー市場の課題だったコピー品、フェイク品問題が解決。
また、NFTの技術によって転売問題も同時解決。
なんとNFTは転売されるたびに製作者に一定のマージンが入るように設定することも可能なのです。
こうした画期的な技術によって、バーチャルスニーカーと、それを着用できる場所、すなわちメタバースはにわかに盛り上がりを見せています。
なお、バーチャルスニーカーとNFT、メタバースの関係性についてより詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧下さい。
■デジタル世界のシュプリーム:RTFKTとはどんなブランド?
・新興ブランドが7分で3億円の売上
前置きが長くなりましたが、ここからはRTFKT(アーティファクト)について詳しくご紹介。
RTFKTは、直近のNFT/メタバース市場の広がりをいちはやくキャッチしスタートした新進気鋭のブランド。
創業者のひとりであるスティーブン・ヴァジリーは、多くの人が転売を目的に一度も履かずにスニーカーを流通させている状況を見て、「フィジカルな靴は不要じゃないか、デジタル上での取引でもいいんじゃないか」との考えからブランドを作ったと語っています。
RTFKTの名が多くのファッショニスタに知れ渡る結果となったのは2021年3月。
RTFKTがブロックチェーン上で行ったバーチャルスニーカーのオークションにて、なんと7分で600足、約3億3,200万円もの売上を叩き出したのです。
出典:realsound
デジタルアートFEWOCiOUSとのコラボレーションで制作されたこちらのバーチャルスニーカーはメタバース世界でのアバターとしての利用を想定。
また、Snapchatの拡張現実フィルターを通せば、スマホを通してではあるものの自身が現実世界で履いているかのように見せることも可能です。
出典:twitter
また、直近ではスニーカー好きなら誰しも一度は聞いたことのある伝説のファッションレーベル「STAPLE(ステイプル)」とのコラボレーションも実施。
現実世界ではかつて、STAPLEとナイキのコラボスニーカーの発売時に暴動が起きたことで有名ですが、STAPLE×RTFKTも即完売。
エアフォース1を思わせるボディが特徴的な2種類のスニーカーと、STAPLEのアイコンとも言える鳩のバーチャルフィギュアがリリースされました。
・RTFKTは持っているだけで価値を生み続ける?
なお、この鳩のNFTは2022年に大きな話題に。
なんとRTFKTはこの鳩のNFTのホルダーに対し、それぞれ3つのMintvial (ガチャ)をエアドロップ(無料配布)。
一般販売もされているこのMintvialを所有者が任意のタイミングで開封すると、中にはなんと現代アーティストの巨匠、村上隆監修の3D NFTアバターがランダムで封入。
CLONE Xと呼ばれるこの NFTアバターはあっという間に世界一有名なNFTプロジェクトとなりました。
出典:zhuanlan
さらに、今度はCLONE Xの所有者向けにサイバー空間の部屋が2つと、なんとナイキのロゴが入ったボックス(ガチャ)がエアドロップ。
この時RTFKTはすでにナイキに買収されており、このエアドロップはナイキ傘下にRTFKTが参画してから初めてのプロジェクトとなりました。
出典:nftcalendar
MNLTH(モノリス)と呼ばれるこのプロジェクト。
箱を開封できるようになると、なんとそこにはナイキの名作シューズ「ダンク」をベースとしたバーチャルスニーカーが封入。
所有者はこれらのバーチャルスニーカーを8種のスキンでカスタマイズが可能となっています。
なお、このバーチャルダンクには2019年12月にナイキが特許を取得した、イーサリアムブロックチェーンでスニーカーをトークン化する技術を活用。
この特許には所有者にスニーカーを同じ模様で生産したり、デザインコラボを行う権利を与える「繁殖権」とよばれる機能もあり、ますます注目を集めています。
こうしたRTFKTが仕掛けるエアドロップは、すでにNFTを所有しているユーザーの保持欲を満たすと同時にその価値を高め、まだ所有していないユーザーへの強烈な射幸心を煽っています。
今後もこのエアドロップの連鎖は続くことがRTFKT公式から発表されており、樹系図の上段アイテムであればあるほど、その所有者は恩恵を受けることができるでしょう。
出典:twitter.com
■まとめ:RTFKTは何故すごいのか?現状と今後を分析
現在、RTFKTのスニーカーやスキンは高額で販売され、人気を博しています。
ここからはまとめとして、どうして実在しないスニーカーをめぐってここまで大きなお金がやり取りされるのか、いくつかの理由を解説してゆきます。
・まとめ①:メタバースの盛り上がりへの期待
出典:hypebeast
まずひとつめの理由として、メタバース世界の発展が今後大きく期待できる、というものがあるでしょう。
そもそもメタバースは拡張現実の世界でゲームをするだけでなく、現実世界のありとあらゆるイベントやコミュニケーションを行うという構想。
あるいみ「無限に拡大可能な地球」が突然発見された、と言って良いほどの出来事であり、現在先行者利益をめぐって多くのIT企業が資本投入を行なっています。
2021年10月にはFacebookが社名を「メタ(Meta)」に変更したこともご存知の方が多いかもしれません。
そんなメタバース世界では、人間の形を模したアバターを操作して一連のコミュニケーションが図られます。
こうなるとユーザーは自身の分身とも言えるアバターを着飾りたいと、ファッションに気を使い出すのは当然だと言えるでしょう。
むしろ、現実世界ではファッションに気を使わない方でも、ゲームなどのバーチャル世界では様々なスキンやアイコンに課金をしている、と言う方もすでに数多く存在しています。
こうした状況もあり、いち早く「バーチャルスニーカー」に目をつけたRTFKTに多くのユーザーが注目しているのです。
・まとめ②:コピーや偽造の可能性がなく、資産価値を担保できる
出典:twitter
ふたつめに、RTFKTのバーチャルスニーカーにはNFTの技術が組み込まれていることが挙げられるでしょう。
前述の通り、NFTは複製や偽造ができず、転売した際にも過去の持ち主がトレースできるしくみ。
これによってRTFKTが作ったバーチャルスニーカーが無限にコピーされたり、ほぼ同一のバーチャルスニーカーが偽造されて、本物と見分けがつかなくなることはありません。
こうした現実世界のスニーカー愛好家たちから見ても画期的な技術は、RTFKTのアイテムに対する信頼性を大きく高めています。
そんなスニーカーが数量限定で販売されると言う状況が、RTFKTのアイテムに資産価値を見出す人の続出を生んでいるのです。
・まとめ③:購入したバーチャルスニーカーを使用できる場所が今後増えていく?
3つめの理由として、RTFKTの主戦場であるメタバース世界は、今後メタバース同士が繋がることでより大きく広がってゆくことが予想されています。
「オープン・メタバース」と呼ばれるこの世界観の中では、Aというメタバース内で入手したスキンやアバターを、Bというメタバースに移動した際にも引き継ぐことが想定されています。
ゲーム「フォートナイト」やゲームエンジン「アンリアルエンジン」を手がけるエピックゲームズ社は、このオープンメタバースの構想に注力。
権利問題さえクリアできれば、複数のメタバースでクローゼットを共有できる世界はそう遠くないかもしれません。
そして、RTFKTのバーチャルスニーカーはこのアンリアルエンジンによって制作。
これゆえに、ホルダーたちはRTFKTのスニーカーを履いていける場所が増えてゆくことを期待しているのです。
また、現在バーチャルスニーカーを入手したユーザーは、現実世界で同デザインのものを作成してもらえる、という動きも広がっています。
出典:fashnerd
こうした形でバーチャルスニーカーを「着用できる場所」が次々と増えていることが、RTFKTの価値をより一層高めていると言えるでしょう。
■さいごに
今回の記事では、バーチャルスニーカーブランド、RTFKTにフォーカスして解説を行いました。
「デジタル世界のシュプリーム」とも呼ばれるこのブランドは、ナイキによる買収もあって、今後のスニーカー業界で確実に中心的な存在となってゆくことでしょう。
現在RTFKTはスニーカーだけでなく、全身のアバターや洋服のスキンも手がけています。
クルクルと宙に浮いているネックレスなど、現実世界では表現不可能なデザインであっても自由に作れるのがバーチャル世界のいいところ。
これから多くのデザイナーが参入することで、これまで存在し得なかったデザインやアイテムが次々と登場してくるはずです。
今後もRTFKTやバーチャルスニーカーの動きに注視してゆこうと思います。