一時の狂騒とも言うべき大ブームは落ち着いたものの、未だ多数のファンが日々争奪戦を繰り広げるスニーカー市場。
そんな状況において2021年上半期に発売予定のスニーカーたちの中でも一際異彩を放っていたのがナイキ(NIKE)とレディメイド(READY MADE)によるコラボレーションスニーカー、ブレーザー ミッド(Blazer Mid)です。
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歪んだスウッシュや凸凹したソールが目を引くこのブレーザーはナイキの超定番スニーカー「ブレーザー」をベースにしているものの、これまで発売されたどのスニーカーとも違う独特の存在感を持っています。
クロット (CLOT)やピースマイナスワン(peaceminusone)のように、近年のナイキとのコラボレーションによって、それまで一部の愛好家たちからのみ知られていたブランドが世界中にその認知を広げる事例は枚挙にいとまがありません。
今回のナイキとのコラボレーションをきっかけに、レディメイドもその道を辿ることは間違いありません。
ぜひ本記事にてその歴史や歴代アイテムについて知っておきましょう!
■レディメイドの歴史 -反戦をテーマにしたリメイクアイテムの成功-
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レディメイド(READY MADE)がブランドとしてスタートしたのは2013年。
同ブランドのデザイナーを務める細川雄太氏は、2003年に大阪モード学園のスタイリスト科を卒業した後に、2004年にメンズファッションブランド「セクスプリメ(S’exprimer)」を設立します。
伝統的なテーラリング技法によってスタイリッシュなレザージャケットやデニムシャツをリリースし、人気を集めました。
その後、細川氏は2013年に満を辞して彼の2番目のブランド、レディメイドをスタート。
コンセプトに「反戦」を掲げたレディメイドの大きな特徴は、使われなくなったテントやダッフルバッグといった既存のミリタリーアイテムを解体し、ボストンバッグや服を作ると言うところ。
世界中の軍隊で実際に使われたアイテムの再構築ゆえ、作られた洋服や鞄の随所には、軍の所属番号や元の所有者の名前なども残っており、ひとつひとつが唯一無二のリメイクアイテムとなっています。
1950〜60年代の軍ものを手作業で解体、再構築してゆくレディメイドのアイテムたちは、そのクオリティの高さからインスタグラムや展示会を通じてあっという間に世界中のセレブリティやデザイナーによって買い占められてゆきました。
レディメイドを愛するデザイナーたちの中には自身のブランドとのコラボレーションを熱望する人達も多数登場。以降の記事では歴代のコラボレーションアイテムをご紹介させていただきます。
■READY MADEコラボ① オフホワイト(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)
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レディメイドの存続と発展のきっかけとなったのがこのオフホワイトとのコラボレーションバックパックです。
オフホワイトの創業者ヴァージル・アブローが本コラボを承諾したとき、細川氏はレディメイドとセクスプリメをたたむことを考えていたと言います。
細川氏は周囲の後押しもあり2015年にこのバックパックを発表。
本アイテムをきっかけに世界中のハイファッショニスタにレディメイドの名は浸透しました。
■READY MADEコラボ② ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)
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コムデギャルソン(COMME des GARCONS)と並び、日本を代表するファッションブランドであるヨウジヤマモトとレディメイドのコラボレーションが2016年に登場。
ロング丈のジャケットと、ショート丈のブルゾンがリリースされました。
■READY MADEコラボ③ フィアオブゴッド(Fear of God)
2016年にはラグジュアリーストリートとして人気の高いフィアオブゴッドとのコラボコレクションも登場。
レディメイドのお家芸である軍モノの加工技術にフィアオブゴッドの意匠が花を添えたリミテッドコレクションは多くの人が熱狂。
大阪のWhy are you here?などでの発売時には大きな行列が出来ました。
■READY MADEコラボ④ クロムハーツ(Chrome Hearts)
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伝説的なジュエリーブランドクロムハーツとレディメイドのコラボレーションジャケットは、現在においてもリセール市場にて60万円台で取引される人気ぶり。
一目でクロムハーツとわかる背中のラージクロスパッチもさることながら、リベットやボタンなど随所にクロムハーツの意匠を感じることが出来るアイテムです。
なお、クロムハーツとオフホワイト、そしてレディメイドのトリプルコラボの鞄もリリース。
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こちらは一点ものとして2015年に約140万円で米ケンタッキー州在住のブルック・スミス氏が購入。
その後2020年に新型コロナウイルス抑制のチャリティーイベントにてStock Xを通して再出品されました。
■READY MADEコラボ⑤ ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)
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レディメイドは裏原宿カルチャーを代表するア ベイシング エイプともコラボレーションプロダクトをリリース。
軍モノのビンテージ品をベースにア ベイシング エイプ特有の頭頂部までジップのついたフーディダウンを発売し人気を集めました。
なお、世界中に熱狂的なコレクターがいるトイブランドBE@RBRICKを含んだトリプルコラボもリリース。
こちらも現在リセール市場にて高値で取引されています。
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なお、2021年2月27日、ナイキとのコラボレーションと同日、ア ベイシング エイプとレディメイドは2度目のコラボレーションを発売予定。パックTやフーディなど5型をリリース予定です。
■READY MADEコラボ⑥ ア ラブ ムーブメント(A LOVE MOVEMENT)
レディメイドはポップなワッペンが特徴的なロサンゼルス発のア ラブ ムーブメント(A LOVE MOVEMENT)とのコラボレーションによって、2018年に新ブランド「ALREADYMADE」をスタート。
その初お披露目の際にはポップアップストアを立ち上げ、ワッペンのカスタマイズなどを店舗限定にて実施し話題を集めました。
■READY MADEコラボ⑦ ジャストドン(JUST DON)
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往年のNBAオールスターゲームから着想を経て作られたのがこのジャストドン(JUST DON)とのコラボアイテム。
腕時計から流用したと思われるサイズ調節ベルトが特徴的なキャップと、傷やアタリが素材の歴史を物語るハーフパンツが2018年にリリースされました。
■READY MADEコラボ⑧ 村上隆
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世界トップクラスの知名度とカリスマ的人気を誇る日本の現代アーティスト、村上隆。
彼のアイコンとも言える「お花」の意匠を落とし込んだラグジュアリーなハーフパンツとクッションが2019年に登場。
そして、2022年にはモッズコートも発売。
村上隆氏にとってもお気に入りなのか、イベントやInstagram上などでも度々着用している姿が見受けられています。
■さいごに
2020年1月時点でわずか3人という超小規模体制でひとつひとつ手作業で再構築されるレディメイドのリメイクアイテムの数々は勿論超希少にして超高額。
しかしながら大量生産・大量消費に疑問が呈され始めてきたこのSDGsの時代において、サスティナブルと希少性を両立したレディメイドはぜひとも抑えておきたいブランドとなっています。
2021年2月27日発売のナイキとのコラボレーションをきっかけに、これまで以上の大ブレイク間違いなしのレディメイドの今後には注視を続けておいた方が良さそうです。