2010年代後半、世界中のスニーカーヘッズが日々熱狂の渦に巻かれたスニーカーブームにおいて、その中心を作ったのは間違いなくオフホワイト(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)と、ナイキ(Nike)の伝説的なコラボレーションコレクション、「The Ten」コレクションだと言えるでしょう。
ナイキの歴史に残る名作スニーカー10種を、オフホワイトのデザイナーであるヴァージル・アブローがDIY精神溢れるクリエイションでリメイクしたこのコレクションは、残念ながら2019年に惜しまれつつも終了してしまいましたが、その後もナイキとオフホワイトは不定期にコラボレーションプロダクトをリリースし続けております。
今回の記事では、そんなThe Tenコレクション以外の同社のコラボレーションスニーカーを一挙にご紹介致します。
なお、The Tenコレクションでリリースされたスニーカーたちについては、下記の記事で5,000字超の文章と共に詳しく紹介しております。
是非本記事と合わせてご覧下さい。
■MERCURIAL VAPOR 360(マーキュリアルヴェイパー 360)
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The Tenコレクションの第二弾が不定期リリースされていた最中である2018年、ロシアで開催されたサッカーW杯を記念して4月にリリースされたサッカースパイクが本作です。
バスケットボールシューズやスケートシューズと異なり普段履きが不可能な本作はストリートでの知名度は低く、本品を巷のリセールショップで見かけることはほとんどありません。
オールオレンジが目を引く本品には白、青、黄色の大きなドットがそれぞれ1つずつプリントされ、そのどれもがサッカーにおいてボールに足を当てるうえでの最適な箇所に配置されています。
■ZOOM FLY MERCURIAL (ズーム フライ マーキュリアル)
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前項でご紹介したマーキュリアルヴェイパー 360に続き、2018年ロシアW杯を記念した本作は、アッパーのデザインを前作から踏襲しつつ、全体の造形はThe Tenにおいてもフィーチャーしたランニングシューズの名作、ズームフライのそれを使用。
また、マーキュリアルヴェイパー 360でリリースしたオレンジと共に、ブラックカラーも同時発売しました。
The Tenシリーズ同様、アッパーのサイドにはモデルとなったスニーカーのリリース年やオフホワイトとのコラボである旨の記載、そしてソールにはオフホワイトの代名詞の一つでもある引用符と共に「FOAM」の文字がプリントされています。
■AIR FORCE 1(エアフォース1)
出典:snkrdunk
出典:sneakernews
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ナイキのバスケットシューズとして初めてエアソールを搭載した名作スニーカー、エアフォース 1は、それまで「靴下を二重に履く」「試合中に何度も足のテーピングを巻き直す」といった涙ぐましい努力をもってしても防げなかった、バスケットボール選手たちの靴ずれや足のマメ問題を解決した画期的な1足でした。
そんなエアフォース 1のローカットVerは、現代においてストリートスタイルの定番アイテムとして、多くの人々の足元を飾っています。
The Tenコレクションにおいても勿論ラインナップに入っていたエアフォース 1ですが、同モデルのオフホワイトとのコラボレーションはThe Tenコレクションに留まらず、2020年9月現在で、特別モデルが別途3種類リリースされています。
デザイナー、ヒップホップアーティスト、プロデューサーなどマルチに活躍することで知られるファレル・ウィリアムスと、世界を代表する現代アーティスト村上隆がホストを務める世界最大のスニーカー/ストリートファッションの祭典、コンプレックスコンでは白地のアッパーにミルク色のソール、そしてオフホワイトおなじみのタグまで白く染められたオールホワイトのエアフォース 1がリリース。
続いて2018年にはヴァージル本人の個展「FIGURES OF SPEECH」開催を記念して、同展が開かれたMoMA(ニューヨーク近代美術館)限定でブラックのモデルが発売。
そして2019年にはMCA (シカゴ現代美術館)にて「FIGURES OF SPEECH」を開催する最中、鮮やかなブルーの限定エアフォースワンがゲリラリリースされました。
なお、これら3つのエアフォース 1は、限定モデルであることの証か、全てスウッシュが銀色になっているのが大きな特徴です。
■AIR ZOOM TERRA KIGER(エアズーム テラ カイガー)
出典:sneakernews
現在バージョン5までアップデートされ、流線型の無駄のないフォルムと高い通気性が多くのファンを集めるランニングシューズ、テラ カイガーをフィーチャーした本モデルは、白、緑、黒の3モデルで展開。
The Tenコレクションの終了後最初のナイキ×オフホワイトコラボだったこともあってか大きな注目を集めましたが、本来のテラ カイガーには無かったスパイクを思わせるトゲトゲしたソールや、未完成品にも見える前衛的なアッパーがあまりにも上級者向けなデザインだったこともあり、ストリートキッズたちからの評価は芳しくありませんでした。
ただ、本作で登場した「アッパーにシューレースホール以外の穴を複数開け、靴紐の上から別の紐を通すデザイン」は、後述のヴェイパーストリートやダンク ローにおいても転用されました。
■VAPOR STREET(ヴェイパーストリート)
出典:sneakerfiles
ツァイガルニック効果を期待してか、ある意味未完成にも思えるクリエイションが特徴となっている本スニーカーは、アッパーをあえて包装フィルムの如きビニールを被せ、テラ カイガー同様に、シューレースの上から別途飾り紐を通したデザインを施しています。
そんな前衛的過ぎるクリエイションからか、テラカイガーと同じく人気の出なかった本作ですが、3色展開のうちブラック×ピンクなどは比較的日常ファッションにも取り入れやすい色彩ですので、個人的にはオススメしたい一足となっています。
■DUNK LOW(ダンク ロー)
出典:flipboard
近年復刻や新色展開も多く、ストリートシーンにおける人気も絶大なナイキの名作スニーカー、ダンクのローカットモデルにフィーチャーした本作は、オフホワイトのデザイナーであり、自身も無類のスニーカーヘッズであるヴァージル・アブローが、自身が欲してやまない鮮やかな緑色のダンクが、世界中のリセールショップや古着屋をめぐっても見つからないことから制作されました。
ヴァージルの求めた緑×白と共に、紺×黄、赤×白の3モデル展開でリリースされた本作は、テラカイガーやヴェイパーストリート同様、シューレース以外に追加で飾り紐が付けられたデザインとなっていました。
なお、同スニーカーが発売された週に日本を訪れていたヴァージルは、運命の悪戯かどれだけ探しても見つからなかったビンテージの緑色のダンクをこのタイミングでスニーカーショップで発見してしまったそうです。
■AIR JORDAN5(エア ジョーダン5)
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ナイキの伝説的デザイナー、ティンカー・ハットフィールドが戦闘機「ムスタング」とサメの歯をモチーフに作成し人気を呼んだエアジョーダンシリーズ第5弾のスニーカー、エアジョーダン 5。
そんな名作バスケットボールシューズをヴァージルは、アッパーの両サイドに2つずつ、シュータンに1つずつの計10個、解放可能な円状の穴を取り付けた前衛的なデザインを組み込んで発表しました。
通常のスニーカーではあまり見られないサイズの穴があることで、ソックスの色で遊べる仕様になっているのが大きな特徴です。
2020年10月には同モデルの別カラー「Sail」がリリース。
シックなクリームカラーが人気を呼び、前作同様に定価の2倍以上の価格でリセール市場に放出されています。
■WMNS AIR JORDAN 4 SP (ウィメンズ エア ジョーダン4 SP)
エアジョーダン 2、エアジョーダン 3の商業的不振によってシリーズ存続の危機にあったジョーダンシリーズにおいて、その人気から後世のジョーダンシリーズの系譜を守ったと言っても過言では無い名作モデル、エアジョーダン 4。
直近ではシュプリームの創業者が手がけたことで知られる伝説のセレクトショップ、UNIONとのコラボレーションも記憶に新しい本スニーカーを、オールクリーム色でヴァージル流に作り替えたのが本モデルとなっています。
ウィメンズ用とはいえ26-30cmのメンズサイズもしっかり揃っていた本作は、勿論ストリートキッズの間で争奪戦が発生。
なお、本品はリリース時に同編集部でもゲットしており、是非詳細レビューは下記の記事でご覧戴けましたら幸いです。
■AIR RUBBER DUNK(エア ラバーダンク)
エアフォースワンを思わせるローテクなシルエットながら、リフレクティブ素材やプラスチック製のスウッシュが近未来感を醸し出すエア ラバーダンクが2020年10月にリリースされました。
本品は地域別に3色展開でリリースされ、日本を含むアジアではユニバーシティゴールド、ホワイト/ユニバーシティ ブルーは、ヨーロッパ、中東、アフリカ限定で発売。
黒地に蛍光グリーンが眩しいグリーンストライク モデルは北米限定販売となりました。
■Air Zoom Tempo NEXT%(エア ズームテンポ ネクスト%)
史上初の1年延期で開催された東京オリンピックを記念してナイキの技術をふんだんに詰め込んだハイテクモデルが登場。
本アイテムはナイキの軽量ランニングシューズ「ヴェイパーフライ」をさらにアップデートした「エアズーム アルファフライ ネクスト%」をベースにトレーニングシューズとして製造。
アッパーのフライニット素材には手書き風のナイキのスウッシュ、ソールにはオフホワイトらしく引用符に囲まれた「AIR」の文字がプリントされています。
■Dunk Low “Dear Summer” Collection(ダンク ロー ディア サマー コレクション)
以前からその発売が噂されていたコレクションが海外で2021年8月9日よりついにリリース。
空前の大ブームとなっているナイキの人気モデル「ダンク ロー」をベースに50種類ものパターンでオフホワイト流のアップデートを行ったモデルが発売されます。
ナイキの公式アナウンスではSNKRSで「Behind the Design」コンテンツの視聴やSNKRS LIVEセッションの参加、アンケート投票や商品の購入などによって限定アクセスを貰える可能性がアップするとのことです。
■さいごに
2017年にスタートしたThe Tenコレクション以降、ここまで数多くのナイキとのコラボレーションを手掛けているブランドを筆者は他に知りません。
しかもそんなオフホワイトは2013年にスタートしたばかりの新進気鋭のブランドだというからなおさら驚きです。
2018年にはルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターにも就任した、オフホワイトのヴァージル・アブローは、ナイキ以外にもスーツケースの名門リモワや、日用品・家具大手のイケアなどと様々なコラボレーションを繰り返しています。
ファッション業界のみならず、こと「ブランド」ビジネスにおいて今最も注目を集めているヴァージルの今後の活動にも目が離せません。