昨今、ナイキの業績が芳しくありません。
正確に言えば実際の売上の話ではなく、「靴好き」「服好き」の間でナイキを選ぶ人がかなり減っているように感じます。
今回の記事では、短くない時間ナイキを観察してきた筆者がその原因を分析。
ナイキが「オワコン」になった2つの理由を解説します。
■ナイキスニーカーの力の源である「3本の矢」がどれも弱くなった
ナイキの販売するスニーカーは、主に3つに分類可能。
これはナイキのスニーカー戦略の柱であり、私は下記3つを勝手に「3本の矢」と呼んでいます。
①コラボレーション
②最新テクノロジーを使う
③ナイキの歴史遺産を切り売りする
ナイキのスニーカーは基本的にこの3つに基づくか、複数の「矢」の組み合わせ。

出典:sneakerwars
たとえば2024年にリリースされたAIR MAX DNは最新テクノロジーを内蔵した②のタイプ。
これをナイキはリリース直後にストリートブランド、シュプリームとのコラボモデルも超少数限定で発売。
①と②の合わせ技を行うことで新作であるAIR MAX DNへの注目を高めることに成功しています。
しかし、ナイキ最強伝説の柱だったこの3本の矢が、現在急速に力を失いつつあるように思えてなりません。
①のコラボレーションの視点で考えると、2010年代と比較してナイキのコラボモデルが大きな話題となったり高額転売されるケースも少なくなりました。
ナイキの戦略を真似し、他ブランドのコラボモデルがバンバン出るようになった結果、消費者の目線がナイキ一辺倒ではなくなってしまったのです。
②の最新テクノロジーについてはどうでしょうか?
2020年にナイキのCEOに就任(その後2024年に退任)したジョン・ドナホーは自身のコンサル経験からナイキで2億ドルのコスト削減計画を推進。
これが商品イノベーションの遅れを招いたという指摘もなされており、ONやSalomonといった他のテック系スニーカーに「真新しさ」を奪われている印象があります。
そしてなにより、③のナイキの歴史遺産を切り売り。
これは2000年のダンク復刻以降、ナイキにとって大きな武器となっていました。
エアジョーダンの新色や過去作の復刻を繰り返し、少し人気が落ちたらエアフォース1に移行。
その次はダンクに…といった具合に2010年代後半のナイキは焼畑農業のごとく過去の名作シューズにフィーチャーし続けてきました。
しかし、こうした復刻商法にもいずれ消費者は飽きがくるもの。
ユーザーがダンクやジョーダンを知らない世代に移行するまで、この作戦は封印するべきだと言えるでしょう。
■ショップの「棚」を失ったナイキの自滅

出典:liputan6
ナイキの低迷を促進した2つめの理由は、ズバリ直営店以外でナイキの販売数が減ったこと。
しかもこれは「ナイキが売れなくなったから靴屋がナイキの取り扱いを減らした」のではなく、「ナイキが靴屋から商品の多くを引き上げた結果、他社にシェアを奪われた」というある意味自滅的な失敗でした。
ジョン・ドナホーは2020年にナイキCEOに就任すると、デジタル販売を増やし卸売パートナーを減らすという政策を実施。
これによって短期的な利益は上がったものの、ナイキ直営店「以外」のスニーカーショップにおいては恐ろしい事態となってしまいました。
2010〜2020年代のスニーカーブームを支えてきたのは間違いなくナイキ。

出典:somezup
スニーカーショップの壁に取り付けられた棚には、エアジョーダンやダンク、ナイキのコラボシューズが数多く並べられていました。
しかし、ジョン・ドナホー体制に変わったナイキは、多くのセレクトショップやスニーカーストアへのナイキシューズ卸しを削減。
その結果、余った棚スペースには当然他社のスニーカーが並ぶこととなります。
昔はナイキ一色だったあの棚からごっそりナイキスニーカーが消え、代わりにONやHOKA、ニューバランス、サロモンなどのシューズが並ぶようになったら人々はどう感じるでしょうか?
「ああ、ナイキは人気が落ちてショップの取り扱いが減ったんだろうな」と誰もが思うのではないでしょうか?
奇しくも皆がナイキに「飽きはじめていた」時期に他ブランドのスニーカーが大量に提案されるようになった。
これはナイキの低迷を加速させる大失態だったと言わざるをえません。
■さいごに
今回、ナイキが低迷した原因を2つに分けて考察しました。
しかし人気というのは良い時期もあれば悪い時期もあるもの。
ナイキの歴史を紐解いてみても、1980年代に低迷してからエアジョーダンで息を吹き返し、1997年ごろからまた低迷するも復刻やコラボで再び人気に、そして2010年代には空前のスニーカーブームを引っ張る存在としてナイキがありました。
今後もかならずどこかでナイキが復活する。私はそう確信しています。
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