今の若いファッション好きの間で、最も勢いがあるブランドといえばNEEDLES(ニードルズ)でしょう。
新作が登場するたびに争奪戦が繰り広げられるトラックパンツやデザイン性の高さや抜け感が今っぽいモヘアカーディガンなど、名作と言えるアイテムも数多く存在しています。
今回はそんなNEEDLESをファッションアーカイブ.comが徹底解説。
NEEDLESのデザイナーである清水慶三氏の生い立ちからブランドの歴史、特徴、そして実際に購入したトラックパンツの着こなしも含め、NEEDLESの魅力を深掘りします。
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目次
- ■NEEDLES(ニードルズ)のデザイナー、清水慶三とはどんな人物?
- ■NEEDLES (ニードルズ)とはどんなブランド?
- ■NEEDLES (ニードルズ)のトラックパンツを履いてみた!
- ■さいごに
■NEEDLES(ニードルズ)のデザイナー、清水慶三とはどんな人物?
出典:nepenthes
・服好きな家庭に生まれ育つも、ファッション専門学校退学に
NEEDLESの創設者清水慶三氏は1958年山梨県生まれ。
服にこだわりがありスーツを仕立てに伊勢丹へ通う父や、洋裁が得意で服を手作りすることもあった母の元で育ちます。
中学生の時に兄の持っていた雑誌「メンズクラブ」をきっかけにアイビーファッションやアメリカンファッション傾倒。
山梨の実家から原宿やアメ横に通い、バイト代を全て服につぎ込む学生時代を過ごします。
高校を卒業するとメンズファッション専門学校に入学するも、なんと試験日に遅刻したことからたった3ヶ月で退学に。
同校の授業では1分でも遅刻すると教室に入ることができないため、試験を逃した清水氏が夏休みに実家に戻ると、無常にも退学通知が届いていたそうです。
しかしこれをきっかけに伊勢丹 紳士別館などでのアルバイトで授業料を稼ぎながら、文化服装学院に改めて入学することとなります。
・日本でナイキを初めて手がけたショップを立ち上げ
出典:goo
文化服装学院を卒業するとインポート(輸入)の仕事をすべく、セレクトショップ経営や靴のインポートを手がけるファッション系の会社に入社。
イタリアンカジュアルやアメカジを手がけるNamsbのスタッフからのちに自由が丘店店長にまで抜擢された清水氏でしたが、2年後に転機が訪れます。
同社の別のセレクトショップ、ユニオンスクエアの閉店に伴い、空いた物件で何かできないかと社長が社内公募をかけたのです。
アメリカンワークウェアを手がける店舗をやりたいと手を挙げた清水慶三氏は1982年にRedwoodをオープン。
のちにセレクトショップ、ネペンテスを立ち上げる仲間となる鈴木大器氏(現ENGINEERED GARMENTS デザイナー)ともこのRedwoodで邂逅。
Redwoodは軍もののBDUパンツやCHAMPIONのリバースウィーブといったアイテムが売れに売れ、人気ショップへと成長。
なんと、ナイキ(NIKE)を洋服屋で取扱ったのも日本ではRedwoodが初めてだったのです。
当時本社のレギュレーションで、卸し先はスポーツショップのみとされていたナイキ。
マイケル・ジョーダンが活躍し始めた1980年代後半、Redwoodによく来ていたナイキスタッフが居たことをきっかけに、ジョーダンをRedwoodに置くことが出来たそうです。
あの山本耀司も足繁く通った名店Redwoodでしたが、清水氏は29歳で独立をこころざし1988年にネペンテスを立ち上げることとなります。
・伝説のショップ「ネペンテス」からNEEDLESまで
出典:nepenthes
食虫植物の代表格ウツボカズラを意味する「ネペンテス(NEPENTHES)」と名付けられたこのショップは、清水氏のアメリカンカルチャーへの深い造詣と愛を詰め込み1988年に開店。
Redwood時代のスタッフである鈴木大器氏と共にアメリカでのバイイングを年に何度も行い、当初は現地から持ち帰ったインポートアイテムをセレクトしたショップとして人気を博していました。
しかし、90年代に入りアメリカの工場が次々と閉鎖し生産拠点がアジアに移りだすと、バイイングだけの商売が難しい状況に。
また、この頃からネペンテスのスタイルを真似するセレクトショップが増えてきたことから、他のショップとの差別化が急務でした。
こうした経緯からネペンテスは自社オリジナル商品を日本国内生産でリリースすることに。
これが1995年にスタートするオリジナルブランド「NEEDLES (ニードルズ)」となるのです。
その後も2003年にSOUTH2 WEST8(サウス2 ウエスト8)、2017年にAïE (エーアイイー)など、ネペンテスを起点としたオリジナルブランドを次々と立ち上げ。
また、清水慶三氏の長年のパートナーである鈴木大器氏はネペンテスブランドの1つとして1999年にENGINEERED GARMENTS (エンジニアードガーメンツ)をスタート。
US在住の鈴木氏は日本人でありながらMADE IN USにこだわり、ENGINEERED GARMENTSはどこよりもアメリカらしいファッションを作り続けています。
なお、2019年にはユニクロとコラボレーションを果たしたことで、一般層にその名は広く知れ渡ることとなりました。
■NEEDLES (ニードルズ)とはどんなブランド?
出典:nepenthes
洋服の縫製に不可欠な「針」、そして「Need-less(必要以上はいらない)」を意味するNEEDLES (ニードルズ)は清水慶三氏が1995年にネペンテスからスタートしたオリジナルブランド。
アメカジやデザイナーズブランド、ヨーロッパのインポートなど、清水氏が触れてきた洋服たちのエッセンスを独特のバランスでまとめ、日本国内生産にこだわったNEEDLESはまさに唯一無二。
ブランドのトレードマークはバタフライのマークとなっており、アイコニックなこのデザインを街中で見かける機会はきっと少なく無いはずです。
NEEDLES (ニードルズ)の数あるアイテムの中でも特に人気なのはカーディガンやトラックパンツ。
毛足が長くルーズな印象を与えがちなモヘアカーディガンを大人な雰囲気に仕上げる技術は流石の一言。
出典:nepenthes
また、もはやブランドの顔となったトラックパンツは様々なシルエット、カラーリングで毎シーズンリリースされ、発売のたびに争奪戦が繰り広げられるアイテムとなっています。
以降の記事では、2022年秋冬シーズンのトラックパンツをファッションアーカイブ.comで購入。
実際に着用してサイズ感や太さ、着こなしを検証致します。
■NEEDLES (ニードルズ)のトラックパンツを履いてみた!
出典:nepenthes
NEEDLES のトラックパンツはブランドがスタートして13年が経った2008年に初登場。
清水慶三氏がアメリカ・バークレー出張時に古着屋で見かけた子供用トラックスーツから着想され、そこにアディダスのようなワンポイントロゴをつけたトラックパンツを作ることを思い立ったそうです。
清水氏は映画「パピヨン(※蝶の刺青をした男の脱獄を描いた名作)」が好きだったことからワンポイントの刺繍には蝶のマークを採用。
今やNEEDLESの顔とも言える蝶のロゴは、トラックパンツと共に生まれたのです。
※2008年に作られた最初のNEEDLESトラックパンツ
出典:nepenthes
なお、ニードルズのトラックパンツのサイドラインは目の荒い編み目のテープを使用。
通常のスポーツウェアのような高速編み機によるサイドラインと異なる雰囲気を持ったデザインは、日本の工場のたったひとつの古い編み機で製造されています。
清水氏は過去にインタビューで、この機械が壊れた場合トラックパンツが作れなくなってしまう可能性があるとまで話しています。
・NEEDLESのトラックパンツの種類
現在作られているNEEDLESのトラックパンツは、全部で5種類のシルエットが存在。
スタンダードなトラックパンツのシルエットとなる「ストレート」や腿から膝にかけて細くなり、膝から再び広がってゆく「ナロー」シルエット。より裾が広がったデザインとなる「ブーツカット」やスポーツライクなリブとチャックが付いた「ジップド」。
そしてNEEDLESが得意とするワイドパンツのデザインをトラックパンツに落とし込んだ「ヒザデル(H・D)」シルエットの5種類が展開されています。
自身ファッションスタイルや好みに合わせてシルエットを選べるNEEDLESのトラックパンツは唯一無二だと言えるでしょう。
・NEEDLES トラックパンツ着こなし3選
筆者は2022年秋冬シーズンのNEEDLESのトラックパンツの中からTAUPE (トープ)カラーのストレートシルエットのアイテムを購入。
「トラックパンツ」というスポーティーな印象とは裏腹に様々なファッションアイテムに違和感なくマッチするこのパンツを以下の通り3パターン着こなしてみました。
ちなみに筆者は164cm 65kgとあまり高くない身長。
NEEDLESのトラックパンツではXSでちょうどよいサイズ感となりました。
コーデ①ではさらりとした質感の白シャツにマルジェラのタビブーツを着用。
ブーツというドレスなアイテムながら、不思議とトラックパンツとの相性が良いように思えます。
コーデ②ではよりカジュアルにシュプリームのロンTとニューバランスのシューズを合わせてみました。
少し腰履き気味にすることで足元に溜まりができ、スニーカーを嫌味なく目立たせることが出来ました。
コーデ③ではエルメスのビンテージアロハシャツをニードルズのトラックパンツでタックインし、パンツをより目立たせるコーデにしています。足元はアディダスのYEEZY SLIDEを着用しリゾート感を損なわないようにしてみました。
このように、様々なシューズやトップスと合わせやすいのがNEEDLESのトラックパンツの大きな魅力。
シルエットやカラーリングによっても無限の可能性をもったこのパンツは、ファッション好きでなくとも1本はワードローブに置いておきたいアイテムです。
■さいごに
今回の記事では、NEEDLESの魅力についてデザイナーの生い立ちからブランドの歴史、そして着用レビューも含めてご紹介致しました。
芸能人やセレブリティからも愛されるNEEDLESには今回ご紹介しきれなかった魅力的なアイテムが他にも多数存在。
是非ご自身でもネペンテス店舗や各セレクトショップなどで手に取っていただきたいです。
本サイト「ファッションアーカイブ.com」では様々なデザイナーの経歴やブランドの歴史、魅力を詳しく解説。是非他の記事もお楽しみいただければ幸いです。