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Supreme Italia徹底解説!合法的な偽物ブランドの驚愕の実態!

あなたはシュプリームイタリア(Supreme Italia)というフェイク(偽物)ブランドをご存知でしょうか。

世界中で大人気を誇るストリートブランド「シュプリーム」の偽物(本物のシュプリームには存在しないデザインのアイテムから、本物と見比べても分からない精巧なフェイク品まで)を、日本やアメリカなどを除く世界中に販売している彼らの行為は、なんと合法的な行為として多くの国で認められているというのをご存知だったでしょうか。

彼らの作るフェイク品はブランドとして多くの国で商標登録がなされており、その合法性を争い本家シュプリームと争った裁判では、最高裁判所で勝訴を勝ち取ってさえいます。

今回の記事では、この偽ブランドが世間を賑わせてきたいくつかの事件の紹介と共に、シュプリームイタリアがいかにして偽造品の販売を合法化させたのか、その手口に迫ります。

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■ファッション業界の新しい問題「リーガルフェイク」について

シュプリームイタリアについて理解する上では、まず近年ファッション業界における一つの大きな問題となっている「リーガルフェイク」について説明する必要があるでしょう。

リーガルフェイク(Legal fakes)とは、直訳すると「合法的な偽物」。
その名の通り、法的に認められた偽物のことを指します。

例えばある「A」というブランドが海外展開を行おうとした際、リーガルフェイクを目論む組織は「A」よりも先にその国で「A」の商標登録を行なってしまいます。

これにより、本家本元のブランドがいざその国でビジネスを始めようとしたときには、既に当該組織にブランドの商標権が取られており、なおかつ「A」を騙った偽物の商品が合法的に販売されているという状況が発生してしまいます。

現在、いくつかのブランドにおいてこのリーガルフェイクの問題が発生しており、後述するシュプリームだけでなく、オフホワイトの前身となったパイレックスビジョン(Pyrex Vision)、近年Nextシュプリームとして注目を集めるパレス(Palace)、また、ヴェトモン(Vetements)やキス(Kith)などの人気ブランドもその被害に遭っています。

このリーガルフェイクについては、ブランドが本来保有すべき権利が損なわれるのみならず、同ブランドの特定の国における展開を不当に阻む問題として、ファッション業界から改善への声が挙げられています。

■シュプリームイタリアの始動

当然、商標登録を司る各国の組織(日本であれば特許庁)も、よく調べもせずに先着順で申請を通すわけではありません。

しかし、同国での知名度や商品の流通状況などを踏まえ判断が下される商標登録において、イタリア特許商標庁は大きな過ちを犯してしまいました。

2015年に本家シュプリームの親会社であるChapter 4 Corp.がイタリアにおけるシュプリームの商標申請を行ないましたが、特許商標庁はこれを却下してしまったのです。
商標は国ごとに登録する必要があり、イタリアなどの一部の規制当局は、申請時に他の誰かが同様の商標の要求を提出したかどうかを確認しないという悪しき慣習があります。
これを逆手に取り、シュプリームの当時の親会社であるChapter 4 Corp.が商標を申請する前に何者かがイタリアにおける「Supreme」の商標を取得していたのです。

その僅か1ヶ月後、イタリアのバルレッタでシュプリームイタリアは産声を上げ、フェイク商品の生産を始めました。
2016年1月14日にはフィレンツェのセレクトショップにてフェイク品の販売を開始。

ドーバーストリートマーケットを除き、当時世界に11店舗しかない正規店でのみ販売を行なっていた本家シュプリームはイタリアの多くの小売業者やセレクトショップから知名度が低く、結果として南イタリアのバルレッタで生産されるシュプリームイタリアのフェイク品はあっという間にイタリア全土に拡散されてしまいました。

多くの小売業者やセレクトショップは、自身がフェイク品を販売しているという認識も無いまま、シュプリームイタリアの商品を取り扱い続けました。

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■本家シュプリームによる訴訟とその後の顛末

2017年、本家シュプリームの親会社であるChapter 4 Corp.はシュプリームイタリアの親会社であるInternational Brand Firm(IBF)と、生産会社であるTrade Direct Srlを訴訟。

その結果シュプリームイタリアは同国の不当競争法に違反するとの判決がミラノ裁判所によって下され、12万点ものシュプリームイタリアのフェイク品が警察によって押収されました。

2018年5月、これ以上のフェイク品流通を抑えるべく本家シュプリームは、EU全体でシュプリームおよびそのボックスロゴデザインの商標を登録しようと欧州特許庁(EUIPO)へ申請を行いますが、なんと申請を却下されてしまいます。

EUIPOによる「独創性を欠いており、商標保護の対象外である」とのコメントは直ちにシュプリームイタリアの親会社であるIBFの広報部門によって拡散され、その結果イタリア南部のトラーニ裁判所は、前述のミラノ裁判所の決定を覆し、警察によって差し押さえられたシュプリームイタリアのフェイク品のリリースを命じました。

一方、時を同じくしてスペインでは、IBFが所有するElechim Sports SLがシュプリームスペイン(Supreme Spain)の商標の登録に成功し、なんと本家シュプリームがスペインで事業を行うことを違法にしました。

シュプリームスペインはマドリード、バルセロナ、イビサ、フォルメンテラにショップをオープン。

これに反発した本家シュプリームはIBF及びElechim Sportsを訴えますが、バルセロナのカタロニア裁判所はこれを棄却。

スペインにおいて「フェイク品が販売を許され、正規品が販売されることを違法とする」という異常事態が起きました。

■シュプリームイタリアの野望

スペインにおける成功に味をしめたシュプリームイタリアはその後、世界知的所有権機関 (World Intellectual Property Organization WIPO)で、アジア市場における「シュプリーム」の商標登録を行なったことを発表。

その結果、中国や、既に商品を合法的に展開しているスペインにおいて「シュプリーム“イタリア”」の商品であることを明記せずとも、シュプリームのフェイク品を合法的に販売できるようになりました(当然、本家シュプリームの店舗が存在するアメリカや日本などにおいては適用されていません)

シュプリームイタリアの戦略は2020年までは残念ながら非常にうまくいっておりました。
同社は今後世界中に70の“合法的なシュプリームのフェイク品を販売する店舗”をオープンする計画まで立てており、その企みは成功直前まで進んでいたといっても過言ではないでしょう。
しかし、これを書いている2021年7月現在、彼らの企みは急速に瓦解し始めています。

■シュプリームイタリアの首謀者が懲役刑と賠償金支払いを命じられる

2021年6月25日、シュプリームイタリアとシュプリームスペインの商標登録を持ち、7年に渡って「リーガルフェイク」を悪用してきたInternational Brand Firm(IBF)と、その経営者であるミケーレ・ディ・ピエロ、そして彼の息子のマルチェロ・ディ・ピエロに懲役刑と本家シュプリームへの賠償命令が下されました。
ミケーレには8年間の懲役、24歳のマルチェロには3年の懲役が言い渡され、750万ポンド(11.5億円)の損害賠償支払いを命じられたものの、2人は法廷に姿を表さず、逮捕状は判決後に再発行されました。
また、判決が言い渡されるとミケーレは「シュプリームの法的攻撃は、『登録商標の偽造に関する不条理で根拠のない、卑劣な主張』を含む『非常に重大で不当な攻撃』に相当する」と声明を発表。
今後も断固として本家シュプリームと戦っていく構えを見せました。

本家シュプリームはというと、本裁判の直近でそれまでシュプリームイタリアが保有していたシンガポール、スペイン、イスラエルにおける「シュプリーム」の商標無効化に成功。
5月にはシュプリームイタリアの「お膝元」であるイタリア・ミラノに世界13店舗目となる路面店をスタート。
引き続きシュプリームイタリアがイタリア、スペイン、サンマリノ、チュニジアなどで商標を保持し続けていることを考えると、こちらも法的な綱渡りをしながら徹底抗戦の構えをとっています。

今回、ロンドンの裁判所でマーティン・ベドー裁判官が言い渡した判決はシュプリームイタリアの撲滅に向けて、大きな一歩となったことは間違いありません。
しかし、前述の通り「リーガルフェイク」の問題の根は深く、シュプリームのフェイク品が法の名の下に跋扈する時代は、もう少しだけ続いてゆくかもしれません。

■フェイク品に対するリテラシーを持つということ

では、我々はシュプリームイタリアが行う合法的なフェイク品販売に対し、なす術はないのでしょうか。

実は近年、かつてフェイク品が横行し「偽物といえば」というイメージまで染み付いた中国において、シュプリームイタリアは苦戦を強いられています。

2018年12月、サムスン中国において発表され大きな話題となったシュプリームイタリアとサムスンのコラボレーションは、中国国内からも多くの非難が寄せられ中止となりました。

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また、2019年にシュプリームイタリアは上海に2店舗のフラグシップストアを開店しましたが、開店イベントに出席したいくつかの中国のストリートファッション系のメディアに対し、weiboやwechatといったネット上で非難が殺到。

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同店舗に対しても現地のストリートキッズを中心に数多くの非難が殺到した結果、あっという間に閉店を余儀なくされています。

かつて「安ければ偽物でも問題ない」と、数々のフェイク品を生産、消費してきた中国において、若い世代を中心にリテラシーの著しい上昇が見られることは非常に喜ばしい状況だと言えるでしょう。

特許庁やWIPOにリテラシーが無く、規制どころかフェイク品販売のお墨付きまで与えてしまっている現状においては、消費者側からフェイク品に対し積極的な非難の声を上げ続けることが、リーガルフェイクへの唯一の対抗策なのかもしれません。

■さいごに

シュプリームイタリアの行うリーガルフェイクは、単なる偽物販売ではありません。

商品生産のみならず、本家シュプリームが行うマーケティング戦略、ブランド戦略までもコピーし、「製品を複製ではなく、ブランド全体を乗っ取る」ことを目指しています。

彼らの目的が怪しい路地裏で細々とフェイク品を売るのでは無いことは、上海の店舗の内装の完成度を見ていただければ一目瞭然でしょう。

世界中で絶大な人気と需要を誇る本家シュプリームが、今日においてたった5カ国13店舗にしか展開をしないのは、店舗乱立によるブランド価値低下を恐れているだけでなく、シュプリームイタリアによる法を盾にした妨害があったこともご理解いただけたと思います。

我々は今後もシュプリームイタリアの動向を注視しつつ、フェイク品に対して「No」の声を上げ続ける必要があることは間違いありません。

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