ストリートファッションブランドの雄、シュプリーム(Supreme)。
その人気は最盛期と比べると少し落ち着いたものの、未だ発売後即完売するアイテムも珍しくありません。
毎シーズン様々なアイテムをリリースしている同ブランドですが、時には何らかの理由で発売が中止される商品も存在しています。
今回の記事では、そんなシュプリームの発売中止アイテムを総まとめ。
なぜリリースされなかったのかも含めて徹底解説致します。
ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- ■Supreme × VANS × Nate Lowman
- ■Supreme Candy Tee
- ■Supreme × Arthur Jafa
- ■Supreme Louis Vuitton
- ■Supreme Hells Angels Tee
- ■おまけ:Blessings Ripstop shirt
- ■さいごに
■Supreme × VANS × Nate Lowman
出典:hypebeast
毎シーズン継続して行われているシュプリームとヴァンズ(VANS)のコラボレーション。
2022年7月にリリースが予定されていた同コラボでは、Skate Grosso Mid(スケートグロッソミッド)にネイト・ロウマンの弾痕アートを施したアイテムがスタンバイ。
この弾痕のデザインはシュプリームの様々な店舗デザインや過去のアイテムにも採用されているアートワークとなっています。
※シュプリーム渋谷店
出典:sonar
しかし、このアイテムは残念ながら7月に発売されることがないままキャンセルに。
理由については明かされていないものの、「弾痕デザインがアメリカの銃乱射を想起させるから」との説も。
アメリカでは2022年だけで600件以上発生しており、その件数は年々上がる一方。
そんな情勢ゆえに、シュプリームとヴァンズがこうしたデザインのアイテムをリリースすることに及び腰となったのかもしれません。
■Supreme Candy Tee
出典:stockx
2015年SSシーズンでリリースされたこのCandy Teeは、日本でのみ未発売だったアイテム。
一目で不二家のペコちゃんを想起させるデザインとなるこちらのTシャツ、どうやら同社からの許可を得ずにシュプリームが商品化したようで、日本ではリリースが認められませんでした。
不二家のペコちゃんといえば、カーネルサンダース(ケンタッキーフライドチキン)と並び、日本で最初期の立体商標登録がなされたコンテンツ。
著作権問題には人一倍敏感だったということなのでしょう。
出典:yahoo
なお、ペコちゃんの元ネタとなったのがアメリカのバーズアイオレンジジュースのメリーちゃんであることを考えると少し複雑…
ただ、シュプリームはアイテム名をオレンジジュースではなく“Candy” Teeとしており、不二家を意識していることは間違いありません。
■Supreme × Arthur Jafa
出典:nytimes
2023年8月、シュプリームのクリエイティブディレクターだったトレマイン・エモリーが突然退任。
その原因とされたのがシュプリームとアーサー・ジャファ(Arthur Jafa)のコラボレーションでした。
トレマインがコラボを画策したのはアーサーが手がけた「Ex-Slave Gordon (2017)」と「I Don’t Care About Your Past, I Just Want Our Love to Last, (2018)」という2つの作品。
ブラックカルチャーに寄り添った作風であるアーサーですが、鞭で打たれた背中の傷を見せる元奴隷や、リンチされ吊るされた黒人と、それを囲んで笑顔を見せる白人のスナップをアパレルアイテムにするのはかなりリスキー。
同コラボを進めようとしたトレマインに対し、シュプリームの創業者ジェームズ・ジェビアがNoを突きつけたこと。
その際にトレマインに相談なく同作品をプロジェクトから排除したことをトレマインは「組織的な人種差別」と糾弾。
鳴物入りで就任した新クリエイティブディレクターはわずか1年半でその役目を降りることとなりました。
シュプリームによればアーサー・ジャファのコラボそのものはキャンセルされていないとのことですが、本コラボが今後実現する可能性はほとんど無いと言えるでしょう。
なお、トレマイン・エモリーの退任についてはこちらの記事にて10,000字超の大ボリュームで解説中。
気になった方はぜひ合わせてご覧ください。
■Supreme Louis Vuitton
出典:thefader
ファッション史に残る名コラボと言われたシュプリーム×ルイヴィトンのコラボレーション。
しかし、実はコラボが実現した2017年より遡ること17年、シュプリームは2000年に一度ルイヴィトンのモノグラムの使用を画策していたことはあまり知られていません。
ルイヴィトンおよびその親会社であるLVMHの許可なく制作されたこのアイテムたち。
当然LVMHは激怒し、これらの“勝手にコラボ”アイテムの発売中止と、在庫の焼却を通達しました。
こうした経緯をふまえると、その17年後にルイヴィトンが正式なコラボレーションをシュプリームに打診したことは、非常に感慨深く感じます。
■Supreme Hells Angels Tee
これまで、数々の企業や団体・ブランドのパロディTシャツを無許可で製作してきたシュプリーム。
中でも最も危険な賭けだったのがこのヘルズエンジェルスTeeだと言えるでしょう。
70年以上の歴史を持つバイカーギャング集団、ヘルズ・エンジェルス (Hells Angels)は、長年にわたって数多くの非合法・反体制活動を行ってきた組織。
2002年FWシーズン、シュプリームはそんな彼らのシンボルマーク「デスヘッド」をプリントしたTシャツを無許可で発売。
シュプリームNY店のスタッフによれば、これを聞きつけたヘルズ・エンジェルスのメンバーが店舗を訪れ、商品の発売停止を求めたとのこと。
場合によっては訴訟沙汰だけでなく、より暴力的な事態に発展する可能性があったと言えるでしょう。
結果、シュプリームは商品を販売しない旨を ”約束” した後、この商品をカウンター下でこっそり販売することに。
当時のシュプリームの図太さや命知らずさが窺えます。
■おまけ:Blessings Ripstop shirt
最後にご紹介するのは2021年SSシーズンにて発売されたこのBlessings Ripstop shirt。
2021年SSシーズンのプレビューとルックブックが公開されこのシャツジャケットがお披露目されると、タイ国立仏教局がシュプリームに抗議。
シュプリームがシャツジャケットに使用したのはタイの高僧、故ルアン・ポー・クーン僧侶の画像。
ルアン・ポー・クーン氏が長を勤めていたナコンラチャシマ州の寺院ワットバンライは「氏の画像はシュプリームが無断で使用して良いものでは無い」として、訴訟を起こす構えを見せます。
しかし、検証を重ねるうちに寺院側も写真の所有権や著作権に関する明確なものを持っていないことが判明。
証拠集めに奔走する寺院を尻目に、2021年5月シュプリームはアイテムの発売を強行。瞬く間に完売となりました。
■さいごに
今回の記事では、何らかの理由で発売がキャンセルされたシュプリームのアイテムについてご紹介しました。
本サイトでは他にも様々なシュプリームに関する紹介記事や解説を掲載中。
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