現在でもカルト的な人気を誇る天才デザイナー、マルタン・マルジェラ。
特にマルジェラ人気の高い日本では熱烈な愛好家が多数おり、彼が手がけたアーカイブ作品が現在でも高値で取引されています。
そんなマルタン・マルジェラは名ブランド「メゾン マルジェラ」のみならず、過去にいくつかのブランドのデザインを担当。
今回の記事では、そんなマルタン・マルジェラが手がけたブランドやアイテムをどこよりも詳しく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- ■天才デザイナー、マルタン・マルジェラとはどんな人物?
- ■マルタン・マルジェラが手がけたブランド①:メゾン マルタン マルジェラ
- ■マルタン・マルジェラが手がけたブランド②:エルメス
- ■マルタン・マルジェラが手がけたブランド③:アレグリ
- ■マルタン・マルジェラが手がけたブランド④:リーバイスレッド
- ■マルタン・マルジェラの現在
- ■さいごに
■天才デザイナー、マルタン・マルジェラとはどんな人物?
マルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は1957年4月9日にベルギーのリンブルフの村で出生。
ドレスメーカーだった祖母とブランド「クレージュ」のショーを見たことをきっかけでファッションデザイナーを志します。
マルタン・マルジェラは1977年に世界トップの名門服飾/芸術専門学校であるアントワープ王立芸術学院へ入学。
※マルジェラとゴルチエ

出典:pinterest
79年にアントワープを卒業すると、ジャン=ポール・ゴルチエのアトリエに就職。
彼の元で、のちの「マルジェラらしさ」の原点となるようなゴルチエイズムを継承し、4年間の修行を経てマルタンは1988年に自身のブランド、メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)をスタートします。

出典:modescape
メゾンの成功や以降の章でご紹介する他ブランドのデザインも手がけるなど、名デザイナーとしてのキャリアを歩んでいたマルタン・マルジェラでしたが、2000年代後半には、彼がいつの間にか姿を消しているのではという噂がファッション業界で流れるように。
そして、元々メディアの場に顔を出すことのなかったマルタン・マルジェラは、そのまま消えるようにファッション業界から去ってしまったのです。
■マルタン・マルジェラが手がけたブランド①:メゾン マルタン マルジェラ

出典:geeksblog
1988年にマルタン・マルジェラがジェニー・メイレンスと共にスタートしたメゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)。
当時何より新しかったのは、デザイナーであるマルタン・マルジェラが自身のショーを含む公の場にほとんど姿を表さなかったこと。
ランウェイ終わりの挨拶にも現れず、インタビューすらもFAXを使って書面でやりとりするという徹底的な匿名性。
当時のファッション業界のトレンド、すなわちヴェルサーチェやカール・ラガーファエルドといったデザイナーの知名度先行型なブランド運営に真っ向から反するようなこのスタイルは、マルジェラの持つ高いクリエイションから滲み出る自信からくるものだったのかもしれません。
2008年にマルタン・マルジェラがブランドを去った後もジョン・ガリアーノ、グレン・マーティンスといった名デザイナーがディレクションを担当し、現在でも高い人気を誇っています。
ブランド マルジェラが優れていた要因のひとつに、「ロゴ」ではなく「デザイン」でそのブランドらしさを強く打ち出すことに成功した点があると言えるでしょう。
ハの字ライダース、タビブーツ、ペンキデニム、そして首元に施された4つのステッチ。

出典:aria
こうした名品のみならず、「オーバーサイズ」「インサイドアウト」「トロンプルイユ」といった現在のファッションにおける“当たり前”を次々と考案(ゴルチエの影響も多数ありますがマスに広めたのはマルジェラ)。
「誰かが僕の服を手に取って、誰が作ったか知らないままに『素敵だ』と言って欲しい」と語るマルタン・マルジェラの精神性は、後述する他の彼が手がけたブランドにも受け継がれています。
■マルタン・マルジェラが手がけたブランド②:エルメス
マルタン・マルジェラの名をより一層著名にした出来事といえば、1998年のエルメスのレディースプレタポルテ就任でしょう。
エルメス(Hermès)といえば、言わずと知れたファッションブランドの王様的存在。
職人気質と伝統の粋を極めるエルメスは現在でもLVMHやケリングといったファッションコングロマリットの傘下に入ることなく独自のクリエイションを展開。
ブランド価値は、ルイヴィトンやグッチといった多くのラグジュアリーブランドたちと比較しても頭ひとつ抜けていることは間違いありません。
マルタン・マルジェラは、そんなエルメスのクリエイションを1998年から2004年にかけて自身のブランドと並行して担当。
この時期のエルメスのアイテムはマルジェラ期と呼ばれ、アーカイブアイテムは現在でも大人気。
中にはマルジェラが担当していなかったエルメスの名作ジュエリー「シェーヌダンクル」でさえも、その時期生産されたモデルにマルジェラ期の名を冠する不届き者が居るほど…
マルジェラ期ではドゥブルトゥールと呼ばれるバンドを二重に巻いた時計や、女性が脱ぐときに髪が乱れないよう、深く切り込まれた胸元が特徴的なヴァルーズなど、多くの名作アイテムを生み出しました。
■マルタン・マルジェラが手がけたブランド③:アレグリ

出典:pcmind
マルタン・マルジェラが手がけたブランドとしてあまり知られていないのがイタリアのファッションブランド、Allegri(アレグリ)。
1970年代にレインコートやアウターウェアからスタートした本ブランドをマルタン・マルジェラは1992-1998年にかけて担当。
エルメスのマルジェラ期と比べてもそこまで値が張っていないことに加え、自身のブランドであるメゾンマルタンマルジェラの前にマルタンが「メンズ」を手がけていたブランドでもあります。
気になる方はこの時期のアレグリアーカイブをディグってみてはいかがでしょうか?
■マルタン・マルジェラが手がけたブランド④:リーバイスレッド

確定情報ではないものの、マルタン・マルジェラが携わったと長年噂されているのが1999年にスタートしたリーバイスレッド(Levi’s Red)。
デニムの王様リーバイスが革新的なデザインを求めて立ち上げたヨーロッパラインであるリーバイスレッドでは、まず「Twisted RED」と呼ばれるツイストシームを採用した限定モデルがヨーロッパで先行発売され、当時の立体裁断ブームに火をつけた名作となります。
湾曲しつつも足を綺麗に見せるこのデニム、シルエットの美しさや90年代後半のメゾンマルタンマルジェラのアーティザナルにリーバイスの再構築デニムがあったことなどから、「マルタンが手掛けたのでは」と業界では囁かれています。
■マルタン・マルジェラの現在

出典:brutus
ファッションデザイナーを「引退」した現在のマルタン・マルジェラは、現代アーティストとして不定期に作品を発表しています。
これまでと同じくメディア露出を一切行わず、黙々と作品を作るすがたはファンとしては嬉しいものの、いつかはファッションの世界にカムバックを果たして欲しいところ。
なお、彼が手がけたアート作品は一般人でも購入が可能となっております。
■さいごに
今回の記事では、マルタン・マルジェラが手がけたブランドについてご紹介いたしました。
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