スニーカーの王様、ナイキ(Nike)。
スポーツブランドとして長年トップに君臨し、数々の選手の足元をナイキのスニーカーが飾ってきました。
当然ファッションアイテムやコレクションとしてナイキのスニーカーを求める人も多数。
中にはレアモデルを巡って大きなトラブルに発展することも少なくありません。
今回の記事では、ナイキのレアスニーカーを巡って発生した5つの事件をご紹介。
どれもスニーカーヘッズの熱量が暴走し、大きな騒ぎとなったものばかりです。
ぜひ、最後までご覧ください。
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目次
- ■2005年2月:ピジョンダンク暴動
- ■2012年2月:エアフォームポジットワン“ギャラクシー”暴動
- ■2014年4月:ナイキ × シュプリーム暴動
- ■2014年12月:エアジョーダン11銃殺事件
- ■2018年1月:ナイキ × リーバイス暴動
- ■さいごに
■2005年2月:ピジョンダンク暴動
2005年、ニューヨークに店舗を構えるショップSTAPLEがナイキとコラボレーション。
スケートシューズ、SBダンクの特別なモデルをリリースすることとなりました。
色の異なるグレーカラーを組み合わせ、オレンジと白で引き締めたこのダンクはNYの街を飛び交う鳩を表現。
ヒールサイドの鳩の刺繍も相まって、キュートなデザインとなっています。
STAPLEにて本モデルの発売がアナウンスされると、店舗前にはスニーカーヘッズが殺到。
「150足のみ」と噂された限定モデルを求めて、凍えるような寒さの中何日も店舗前で野営した強者も居たほどです。
発売当日、半ば暴動と化した店舗前の様子を聞きつけたニューヨーク市警が出動し、逮捕者は出なかったものの一時手錠を掛けられたヘッズがいた模様。
その様子は大きく新聞で報道され、「スニーカー暴動」「ナイフやバットの所持」といった物々しい単語によって、スニーカーヘッズ達の熱量が広く世間に知れ渡る結果となりました。
新聞ではインタビューを受けたヘッズのユニークな一言で締め括られています。
彼曰く、「あるスニーカーヘッズの足元に、本物の鳩が ”お土産” を残していくのを見た」とのこと…
同モデルの発売は、世間に”スニーカーヘッズ”の存在を広く知らしめる結果となりました。
そんないわくつきのジェフ・ステイプル × ナイキのコラボレーションは、2017年に第2弾 “Black Pigeon” 、2019年に第3弾 “Panda Pigeon” がリリース。
特に第3弾の “Panda Pigeon” では、かつて不採用となったカラーバージョンを採用。
アウトソールの裏側には初代SB Pigeon発売時に書かれた暴動記事の見出しをコラージュし、当時の衝撃を伝えるデザインとなっています。
■2012年2月:エアフォームポジットワン“ギャラクシー”暴動
ナイキが1997年にリリースした異色のバスケットボールシューズ、エアフォームポジットワン。
液体をイメージした流線型のポリウレタンアッパーは近未来的で、当時リリースされていたバッシュの中でも一際異彩を放っていました。
オーランド・マジックの名ポイントガード、ペニー・ハーダウェイ(アンファニー・ハーダウェイ)のシグネチャーシューズとしても知られ、スニーカーヘッズからも人気が高かった本モデル。
その人気ぶりゆえ、いっときは新色がリリースされるたびにスニーカーを巡って各地で小競り合いが発生していたシューズでもあります。
そんなフォームポジットワンの中でも、一際悪名高いのが2012年2月にリリースされたNike Air Foamposite One NRG Galaxy。
本作は毎年2月に行われるNBAのお祭り「オールスターゲーム」の2012年記念モデル。
※この年のオールスターゲームの様子
この年の開催地だったフロリダ州オーランドの地元チームで長年活躍したハーダウェイのシグネチャーシューズであるという理由から制作されました。
フォームポジットワンとして初めて、硬いポリウレタンのアッパーにプリントを施したこのシューズ。
NASAのケネディー宇宙センターを擁するオーランドらしく、ギャラクシー(銀河)の名の通り宇宙に輝く星々が描かれたスニーカーとなっています。
この”ギャラクシー”エア フォームポジット ワン、その美しさゆえに大きな注目を集め、発売が行われる数少ないスニーカーショップに人々が殺到。
オーランドのショッピングモールでは、このスニーカーの発売を求めて集まった群衆が半ば暴徒化し、暴動用装備を纏った警官が100人以上投入されたと報じられています。
同様の騒動が同じくスニーカーがリリースされたワシントンDCやマサチューセッツ州などでも発生。
はては、インターネット上で着用画像を投稿した人への脅迫事案まで起きる、異様なまでの加熱ぶりとなったのです。
また、ニューヨークのスニーカーショップ「フットロッカー」では、暴動を懸念して店舗での発売を中止すると発表。
しかし、当時同店舗に入荷していた”ギャラクシー”の多くが、のちにバックドアを通じて転売ヤーに流れたとのリークが流出し、大きな批判を呼びました。
■2014年4月:ナイキ × シュプリーム暴動
出典:buyma
2014年、シュプリームとナイキはコラボスニーカー、Supreme × Nike Air Foamposite 1の発売を発表。
前述の事件と同様に、人気の高いフォームポジットワンがリリースされるということで注目を集めます。
しかも、大人気ストリートブランドシュプリーム(Supreme)とのコラボだというのだからさあ大変。
ヘッズやシュプリームファンはスニーカーを手に入れようと、発売日数日前からソーホーのシュプリーム店舗の前で野営を開始。
群衆は日に日に増え、最終的に車道にまで及びました。
騒ぎを収めるべく、ついにはNYPD(ニューヨーク市警)が出動。
暴動鎮圧服を着た警察官や、NYPDのヘリコプターが上空でホバリングしているのを見たという話まで出たのだから驚きです。
NYPDは最終的にシュプリームに対し、安全上の懸念を理由に同スニーカーの発売中止を勧告。
シュプリームは店舗発売の中止を張り紙で出し、同アイテムがオンラインでの販売となる旨を発表しました。
■2014年12月:エアジョーダン11銃殺事件
マイケル・ジョーダンの『スーツ姿に似合うように』という注文のもと、ティンカー・ハットフィールドがデザインしたエアジョーダン11。
光沢感のあるパテントレザーのシックさはフォーマルな装いにもマッチし、歴代のジョーダンシリーズの中でも屈指の人気を誇る銘品となっています。
そんなエアジョーダン11は人気の高さゆえにヘッズの熱量が閾値を超えることも多く、過去にはシューズをめぐって幾度となく凄惨な事件が発生しているモデルです。
2014年12月、16歳のジャワード・ジャバー少年は友人らと共に新作エアジョーダン11を手に入れるべく出発。
この日オハイオ州モンゴメリー郡のデイトン・モールでは、Air Jordan 11 “Legend Blue”を購入しようと、多くの人が店前に行列を作っていました。
しかし、彼らが到着する前にスニーカー購入の行列は打ち切り。
どうしてもスニーカーを諦めることが出来なかったジャワード少年たちは、所持していた拳銃で”Legend Blue”の購入者から靴を奪い取ることを決意します。
彼らにとって不幸だったのは、ターゲットとして選ばれた男性2人も拳銃を所持していたこと。
ジャワード・ジャバー少年らが銃を取り出すや否や、相手も拳銃を取り出し発砲。
これによってジャワード少年は死亡し、彼と共に武装強盗を試みた2人の少年も逮捕されました。
少年らに反撃した男性はのちに正当防衛が認められ、不起訴となっています。
ちなみに前週には、同じくオハイオ州でエアジョーダン11 “Legend Blue”をめぐって事件が発生。
リリースにあたって抽選券の配布を発表した店に群衆が殺到し、一時暴動のような事態となったのです。
当初、ショッピングモールの外で待機していた群衆のために現地警察は整列用のバリケードを設置。
しかし、増えすぎた群衆の一部が警官の制止もきかずバリケードを破壊。
事態を収束すべく、警官らが群衆に催涙スプレーを浴びせかける結果となりました。
そのクリーンな見た目と裏腹に血塗られた悲劇を巻き起こしたこのシューズは、2021年にローカットモデルとして復刻しています。
■2018年1月:ナイキ × リーバイス暴動
2018年1月20日、デニムの王様リーバイス(Levi’s)はナイキのジョーダンブランドとコラボし、デニム素材で作られたエアジョーダン4や、別注のデニムジャケットを発売。
スニーカーブーム真っ只中にドロップされたハイプなコラボモデルということもあり、多くの注目を集めました。
しかし発売当日、数少ない発売店舗だったリーバイス原宿では販売方法をめぐって暴動に近い騒ぎに。
店舗側のお粗末な対応は大きな批判を集める結果となりました。
発売日の朝、リーバイス原宿店の前は139足46着という少なすぎる在庫を求める人々でごったがえし、店前から続く行列の人数は8,000人に及んだと言われています。
騒ぎを聞きつけた原宿警察署の指導もあり、店舗は抽選前倒しを敢行。
当たりくじの入った箱から紙を引くオールドスタイルな抽選が8:30ごろから開始されるも、当然ながら8,000人分もくじが用意されているはずもなく、「当選者が出切った」ことを理由に抽選は早々に打ち切り。
行列に参加した人々の多くが、抽選にすら参加することのないまま帰路に着くこととなったのです。
しかし、問題となったのはここから。
なんとリーバイス原宿は抽選の不公平さを鑑みたのか、アイテムの販売中止を発表。
激怒した当選者たちが店前に押し寄せ、店員に詰め寄る結果となったのです。
リーバイス側は当選者へのお詫びとして5,000円を支払うと発表するも彼らが納得するはずもなく、半ば店前は暴動の様な事態に。
焦ったリーバイス原宿は発売中止を撤回し、さらなる混乱を誘発。
スニーカー史に残る騒動となりました。
なお、本コラボアイテムはatmosやTokyo23でも発売されましたが、こちらはスムーズに販売が行われた模様。
ドレスコードによってそもそもの行列の母数が抑えられていたことや、行列の捌き方に一日の長があるスタッフが揃っていたからだと言えるでしょう。
出典:brandbuyers
ちなみにリリースされた激レアのリーバイスAJ4ですが、アッパーの赤いピスネームに「LEVI’S」の文字が入っているものと「®」だけになっているものの2種類があり、「LEVI’S」の文字が入っているタグの方がレアだった模様。
事件も相まって二重三重にレアモデルとなってしまった本スニーカーは、現在でも10万円以上の価格で取引されています。
■さいごに
今回の記事では、ナイキのスニーカーを巡って起きた事件について解説しました。
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