「LVMH モエ・ヘネシー・ルイヴィトン」(通称:LVMH)は、ルイヴィトンやディオールなど、世界に名だたるファッションブランド、ドンペリやヘネシーのような酒造ブランドなど、計75のブランドを擁する世界最大級のアパレルコングロマリットです。
コングロマリット(conglomerate)とは、直接の関係を持たない複数の業種、業務、ブランドが一同に介した企業体のことを指します。
ファッション業界においては、カルティエやダンヒルを擁するリシュモン、グッチやバレンシアガ、プーマなどを擁するケリング、そしてLVMHの3つが御三家コングロマリットとして凌ぎを削っています。
そんな御三家の中でも最大級である6兆円の売り上げ(2019年度)を誇り、ファッション業界のみならず世界中のビジネスシーンにおける多大な影響力を持つLVMHグループの総帥を務めるベルナール・アルノーの戦略や歴史を、本記事にてご紹介致します。
■LVMHグループの保有するブランド
LVMHを知らなくてもルイヴィトンを知らない方はほとんど居ないでしょう。
同様にディオールやセリーヌ、ジバンシィやKENZOといったラグジュアリーブランド、はてはドンペリの愛称で知られるDom Pérignonやヘネシーといった高級酒ブランド、そして世界で最も人気を誇るスーツケースメーカーであるリモワや時計大手のタグホイヤーなど、世界で知らぬ人の居ない多くのブランドを擁するLVMHは、実に75ものブランドを保有しています。
なお、LVMHはトップ主導による激烈な買収攻勢でこれらの多くのブランドを手中に収めてきましたが、グッチやエルメスなど、いくつかのトップブランドについては買収に失敗しています。
■LVMHグループの歴史
-カリスマCEO -ベルナール・アルノー
長女であるデルフィン・アルノー(Delphine Arnault)は、グループの主幹ブランドであるルイヴィトン製品を管轄すると共に、既にLVMHの執行委員会に名を連ねており、時期総帥を有力視されています。
-アントワーヌ・アルノー-
アレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)はベルナールの2番目の妻であるヘレン・メルシエ(Helene Mercier)の息子であり、高級スーツケースブランドであるリモワ(rimowa)のCEOを務めています。
友人であり、米スナップチャットの最高責任者を務めるエヴァン・シュピーゲル(Evan Thomas Spiegel)から「常にブランドとその表現方法を考えており非常に創造的な男」と評される彼は、近年シュプリームやオフホワイトといったトップストリートブランドとリモワのコラボを実現し、従来のリモワファンのみならず、世界中のストリートキッズを魅了しています。
※2021年1月12日追記
近年ファッション業界を賑わせていたLVMHグループのティファニー(Tiffany & Co.)の買収が2021年1月についに完了。
同社のグループ入りに際し、LVMHは8日に新人事を発表。
アレクサンドル・アルノーがティファニーのコミュニケーション部門のエクゼクティブバイスプレジデントに就任することが発表されました。
-フレデリック・アルノー-
5兄弟の末っ子であるジャン・アルノー(Jean Arnault)は、その若さからか、兄弟のうち唯一LVMHグループに参画しておりません。
■さいごに
ベルナール・アルノーは、その冷徹なまでの買収攻勢と、買収後の不採算事業や部門の徹底した整理によって各社の企業価値を高め、グループを巨大にしてきた人物です。
現在既に70を超えていることから、将来的にLVMHを率いる人材に育て上げるべく、近年自身の子供を次々とグループに参画させています。
同族経営に対し否定的な方もいらっしゃるでしょうが、自身を世界トップ3の大富豪まで引き上げ、世界最大のアパレルコングロマリットを一代で築きあげた男のそばに生まれた時から居るということは、LVMHに身を置く上でどんな経験や知見にも及ばないアドバンテージだとも言えるでしょう。
アルノー一族の率いるLVMHグループの今後にも目が離せません。