2010年代から現在に至るまでのファッションシーンを振り返った時、「コラボレーションスニーカー」はそのうちの大きな1つの流れとしてファッション史に刻まれていることでしょう。
オフホワイト(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)やトラヴィス・スコット(Travis Scott)とナイキ(Nike)のコラボレーションスニーカーや、アディダス(adidas)とカニエ・ウェスト(Kanye West)がタッグを組んだ「Yeezy」シリーズは、その希少性からリセール市場での2次流通価格の高騰も含めて大きな話題を集め、世界各地で争奪戦が繰り広げられました。
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こうしたコラボレーションプロダクトを中心に、スニーカーはまさしくファッションにおけるマストバイアイテムとしてトレンドの中心にいたと言っても過言ではないでしょう。
しかし、そんなスニーカーブームもそろそろ陰りが見えています。
スニーカーショップアトモス(atmos)代表の本明秀文氏は「ダンクが売れるとスニーカーブームの終焉が近い」とインタビューで語っており、筆者の体感ではまさしくその通りの状況が2021年末の現在起こっています。
また、ファッショントレンドの始発駅とも言うべき各ファッションブランドのランウェイでは、それまで多くのモデルの足元を飾っていたスニーカーが、今シーズンではことごとく革靴に切り替わっていたのも印象に残っています。
これから数年にわたって「冬の時代」が予想されるスニーカー業界ですが、その「最後」を締め括るのにぴったりなビッグコラボが2022年初頭に控えています。
今回の記事では、そんなスニーカーブームの「最後の大花火」とも言えるコラボレーション、ルイヴィトン×ナイキのエアフォース1コラボについて分析します。
■ナイキのエアフォース1 生誕40周年
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1982年に登場したエアフォース1は、当時のバッシュとしては珍しい高級なフルグレインレザーを使い、「エア」システムによる高いクッショニング性と足首をサポートするベルトの安定性から、多くのバスケ選手から愛される1足となりました。
アメリカ大統領専用機の名を冠するこのバスケットシューズは1986年に後継モデルとしてエアフォース2がリリース。
しかしバスケットボールファンやストリートキッズを中心に販売終了となったエアフォース1の復刻を望む声が多数あったことから、ボルチモア地区にある3つのシューズショップ「シンデレラ・シューズ」「チャーリー・ルドー・スポーツ」「ダウンタウン・ロッカールーム」の3店舗でのみ復活販売され、多くのファンがシューズを求めて店に訪れるようになりました。
この人気を受けナイキは88年から正式な復刻を開始し、90年代にはボルチモア地区以外での販売網も確立させたのです。
その後、エアフォース1は次第にバスケットボールシューズからファッションシューズへとその役割を変化
。特に、着脱が容易なローカットモデルのエアフォース1はそのミニマルな見た目から、どんなコーディネートにもマッチする優等生として現代においても絶大な人気を誇っています。
「景気が悪くなると、何にでもマッチする白のエアフォース1だけが売れる」というスニーカー業界の格言があるほど、エアフォース1はスニーカーの王道としてその人気を保ち続けています。
そんなエアフォース1は、2022年に生誕40周年という節目を迎えます。
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■ヴァージル・アブローの早すぎる死去
出典:curatedmag
2021年11月28日、ファッション業界は大きな悲しみに包まれました。
ラグジュアリー・ストリートの代表的ブランド「オフホワイト」の創設者にして現ルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターを務めるヴァージル・アブローが心臓血管肉腫によって41歳の若さでこの世を去ったのです。
2014年からわずか数年足らずでオフホワイトをトップブランドに押し上げ、黒人としては初のルイヴィトンのアーティスティックディレクターに就任したヴァージルは、まさしく2010年代のファッションシーンを牽引していた人物だと言えるでしょう。
中でも、彼のキャリアを確固たるものにしたのが2017年11月にスタートしたナイキとオフホワイトのコラボレーション「THE TEN」コレクション。
立ち上げ5年にも満たない新興ブランドとナイキの大型コラボという異質性もさることながら、そのデザインの洗練さに人々は魅了され、その後のスニーカーブームを牽引する存在となりました。
そんなヴァージルと親交が深かったデザイナーがキム・ジョーンズ(Kim Jones)。
裏原宿文化に精通し、ストリートファッションへの造詣が深い彼はルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターとしてルイヴィトン×シュプリームのコラボレーションを実現。
出典:highsnobiety
ファッション史に残る伝説のコラボレーションを終えた彼は、後継にヴァージルを指名すると自身はディオール(Dior)のメンズアーティスティックディレクターに就任しました。
そんな経緯で2018年よりルイヴィトンをディレクションすることとなったヴァージルでしたが、オフホワイトで培ったストリートの文脈をルイヴィトンに華麗に落とし込み絶大な人気を集めます。
ルイヴィトンの伝統的なデザインやモノ作りにストリートカルチャーや多様性を組み込んだアイテムはまさしく時代を反映するアイテムとして多くのファンから支持を得ました。
■ルイヴィトン2022年春夏コレクション ナイキコラボ
人気絶頂にあったヴァージル率いるルイヴィトン。
彼の突然で早すぎる死によってラストコレクションとなるのが2022年春夏コレクションです。
そこではまさにヴァージル節全開とも呼ぶべきコラボレーション、すなわちルイヴィトン×ナイキというビッグコラボがスタンバイしています。
生誕40周年を迎えるナイキのエアフォース1にフォーカスした同コレクション。
ここからは、事前のリークをベースに、発売が予定されているアイテムをご紹介致します。
・リーク① ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 mid
出典:sneakernews
・リーク② ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:sneakernews
・リーク③ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:sneakernews
・リーク④ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:sneakernews
・リーク⑤ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:sneakernews
・リーク⑥ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:sneakernews
・リーク⑦ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:sneakernews
・リーク⑧ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
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・リーク⑨ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
・リーク⑩ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:8469sneakers
・リーク⑪ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:8469sneakers
・リーク⑫ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:8469sneakers
・リーク⑬ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:8469sneakers
・リーク⑭ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:8469sneakers
・リーク⑮ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:8469sneakers
・リーク⑯ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:8469sneakers
・リーク⑰ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:sneakerfiles
・リーク⑱ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 mid
sneakerfiles
・リーク⑲ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
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・リーク⑳ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:complex
・リーク㉑ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 mid
出典:complex
・リーク㉒ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 mid
出典:complex
・リーク㉓ ルイヴィトン×ナイキ エアフォース1 low
出典:esquire
■さいごに
2010年代のファッション業界はインスタグラムによるわかりやすさ重視のファッションスタイル、そして射幸心を煽るビッグブランド同士のコラボレーションが栄華を極めた時代でした。
一目でどこのブランドのアイテムか分かるアイコニックなロゴや意匠、ストリートファッション、そしてスニーカーをメインコンテンツとしたこれらのトレンドを牽引していたのは、間違いなくヴァージル・アブローでした。
そんな彼の早すぎる死去は、まさしく一つの時代の終わりだと言えるでしょう。
ヴァージル最後の遺産とも言えるこのルイヴィトン×ナイキのコラボレーションスニーカーは、きっと多くのファッショニスタにとっての「アイコン」として輝き続けるはずです。