1996年より少年ジャンプにて連載が開始された遊☆戯☆王。
1999年に原作で人気を博したゲーム「マジック&ウィザーズ」をホビー化させ「遊戯王OCG」としてコナミより発売し、以来四半世紀以上ユーザーに愛されるカードゲームとなりました。
そんな遊戯王の長い歴史の中では当然のように様々な事件が発生してきています。
今回はその中でも有名な3つの事件をご紹介します。
◾︎東京ドーム事件
まず最初の遊戯王における事件としてご紹介するのはあまりにも有名な事件である東京ドーム事件です。
1999年2月4日に遊戯王OCGが発売されて以降、当時の子供達を中心に社会現象となった遊戯王OCG。
リリースするパックは悉くが入手困難というレベルで非常に人気な商品でした。
そんな遊戯王は初の大型イベントを子供達の一大イベントである「夏休み」期間に開催を決定します。
かくして1999年8月26日にノリに乗っていたコナミは「遊戯王デュエルモンスターズ決闘者伝説 in TOKYO DOME」を開催しました。
この時のイベント内容としては初のOCGの全国大会やこのイベントのみで販売されるという「PREMIUM PACK」を販売するといったイベント内容が告知されていました。
この限定商品の中には原作でもキーカードの一枚であったエクゾディアの最後のパーツが封入されていたりと遊戯王ファン必見の封入内容となっていました。
その結果全国大会のプロモーションカードは勿論、当時流行の最先端であった遊戯王OCGの「限定」商品の告知があった事もあり、東京ドームのキャパ人数である5万人を超えた人数が殺到しました。
出典:x
当時の新聞にも掲載されており、機動隊まで出動したとのこと。
筆者はこのイベントに参加はしていなかったものの、ニュースや人伝に話題になったことを鮮明に覚えています。
当然このような状況で物販を行えるはずもなく、イベント自体が中止となってしまいました。
この頃はまだスマホは当たり前ですが存在すらしておらず、インターネットでの通信手段も発展途上であったことから相当な混乱があったと思われます。
全国大会の予選すらもろくに完遂すること無くイベントはその人気ぶりを伺うことはできたものの、当事者たちにとっては悪夢のようなイベントとなってしまいました。
なお2024年に四半世紀を祝う東京ドームイベントが開催されており、スマホの普及や大型イベントのノウハウの蓄積もあってか比較的スムーズにイベントが進行していたように思えます。
何はともあれ遊戯王における最初の大きな事件でした。
◾︎アッパーデック事件
出典:upperdeck
今や世界各国に遊戯王は展開されており世界中にユーザーがいます。
世界各国への販路としてリリース当初はローカライズの為に現地の法人に委託して販売していた時期がありました。
2008年頃まで主に北米地域の遊戯王の海外展開を委託されて運営を行っていた「アッパーデック社」もその一社です。
この会社、元々は北米地域で野球カードやアイスホッケーの選手のカードの製造・販売を行っていた企業でしたが、遊戯王もその主力商品の一つとして展開されることになります。
しかし2024年現在、北米の販路はコナミが一手に引き受けており、アッパーデック社は手が出せない状況になっています。
「アッパーデック事件」と呼ばれるほどの騒動があったのですが、一体何があったのでしょうか?
元々遊戯王の北米展開は先述した通りアッパーデック社が委託されて運営してていました。
コナミが運営する「遊戯王OCG」ではなく「遊戯王TCG」として展開されており、似て非なる展開がなされていました。
これはどういうことかというと例えば
・制限カード等のルールが一部違う
・そもそものパックの値段が違う(日本は1パック150円ベースでしたがUSでは6ドル辺りで販売されていたり)
・ボックスのレアカードの封入率が違う
といった具合に基本ベースは一緒なのですが商品展開が違っていました。
最初こそは大人しかったものの遊戯王が人気になるにつれアッパーデック社は好き放題商品に手を加えていきます。
一番不味かったのがやはりレアカードの封入率です。
日本の商品なので当たり前ですが新カードは数ヶ月先に日本で最初にリリースされます。
そして数ヶ月立ってから北米で展開されるのですが、この時に日本版ではレア(1ボックスに1枚は入っているレアリティ)だったカードがシークレットレア(数ボックスに1枚の封入率 北米版のボックス価格は100ドルを超えます)に格上げされていることが多々ありました。
これらの格上げは日本の競技シーンで使用が多くなされたいわばデッキに必須級・あるいはカードパワーが高いカードが多かった印象です。
有名なカードで言うとダーク・アームド・ドラゴンでしょうか。
日本版ではレアカードで封入されており数百円レベルのカードでしたが、実戦級のカードでした。
このカードは北米版のパックにはシークレットレアで封入されており数百ドルで取引されるという異例の事態となっています。
海外版のユーザーはまともなデッキを組むのに1000ドルはゆうに超えると言うレベルのレアリティ上げを強要されると言う事態が日常茶飯事でした。
これだけにとどまらず、アッパーデック社は「公式で偽造カード」を作成するという暴挙に出てしまいます。
公式のパック等に封入されているカードでは無く、工場で大量にレアカードを「コナミに無断」で製造して社員が一般のカードショップに持ち込むと言う事件が発生してしまいます。
これによってアッパーデック社は私腹を肥やしていたのです。
公式が使用する機械で製造しているので本物のカードではあるものの、正式な販路でリリースされていないので偽造品と言う訳のわからないカードを生産していました。(流出カードと同じようなカードと言えばいいでしょうか)
本物と区別が着くようにある程度仕様が変更されてリリースされてはいるものの、公式が作っているので本物のカードであることは間違い無く非常にセンシティブな事件となっています。
※公式がグールズ
出典:高橋和希 遊☆戯☆王 コミックス16巻より
このように数々の事件を起こしており、暴走とも取れる行為を度々行っていたことからコナミとついに法廷でデュエルすることになります。
勿論勝者はコナミとなり現在ではアッパーデック社は和解は行われたものの、遊戯王に手が出せない事態となってしまっています。
◾︎リンクショック事件
出典:カードラッシュ
2017年に遊戯王は第10期目の遊戯王の商品展開を開始しました。
この時に「リンク召喚」と言う新しい召喚方法を導入、それに加えて新マスタールールと言う大元のルール変更を行うことを決定しており、プレイヤーは新しい展開に胸を高鳴らせていました。
しかし、このルール変更はルールそのものが完全に壊れており「リンクショック事件」と呼ばれるあまりにも黒歴史な事件に発展してしまうことになりました。
10期を始めるにあたって「リンク召喚」と呼ばれる新しい召喚方法を広めるのと同時に、従来の高速化している環境を咎める為にルール自体にメスを入れようと思ったコナミは思い切ってルールを一新することを宣言しました。
この新しいルールは平たく言えば「今までリリースされた数多のカードがゴミクズ」になるルール変更でした。
このルール変更は当たり前のように引退者が続出した上に、遊戯王を専門に扱う多くのショップが取扱中止を宣言する事態へと発展していくことになります。
寧ろなんでこのままいけると思ったのか・・・
当時のコナミがいかに殿様商売だったかがよくわかるルール変更でした。
結果的に遊戯王は前年比30パーセント以上も売上を減らし、遊戯王の取扱ショップを一掃し、プレイヤーも一掃すると言う革新的な「一新」を行うことに成功しました。
その後11期にてルールを元に近い形に戻したものの、この時期に減らしたものは数多く、今だにプレイヤーやショップから恨まれている「コナミが最大級にやらかした」事件となっています。
◾︎さいごに
以上、遊戯王界隈で起こった3つの事件について解説してきました。
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