アウトドアブランドの中でも近年ジワジワと人気が広がっているのがアークテリクス(Arc’teryx)。
ノースフェイス(The North Face)やパタゴニア(Patagonia)といった他のアウトドアブランドよりも一段高めの値段設定ながら、マンティスと呼ばれるバックパックやダウンジャケットを街中で見かけない日はありません。
そんなわけで、今回の記事では今更聞けないアークテリクスの歴史や人気の理由をご紹介。
ラグジュアリーなアウトドアアイテムを多数展開する本ブランドの魅力を深掘り致します!
■アークテリクスとはどんなブランド?
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アークテリクス(Arc’teryx)は、カナダのブリティッシュコロンビア州 ノースバンクーバーで設立されたアウトドアウェア・スポーツ用品会社。
創設者であるデイブ・レーン(Dave Lane)とジェレミー・ガード (Jeremy Guard)は、元々クライミングの必需品であるハーネスをロックソリッド(Rock Solid)という会社で製造していました。
ロックソリッドのハーネスがクライマーから支持を集めると、1989年にアウトドア用品ブランドとしてアークテリクス(Arc’teryx)を立ち上げ。
かつて始祖鳥が崖などに張り付いて生活をしていた姿をクライマーに重ねたこと、そして恐竜が始祖鳥を通して鳥類へと進化したように「アウトドアにおける人類の進化」をテーマに始祖鳥の名を冠したアークテリクス。
ロゴには中生代ジュラ紀(1億9500万 — 1億3500万年前)の始祖鳥の標本のうち、もっとも状態がいいとされる通称「ベルリン標本」をモデルに使用しています。
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■人気の理由① 素材へのこだわり
・ブランド最初期からゴアテックスに着目
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創業者であるデイブ・レーンとジェレミー・ガードがアークテリクスを立ち上げると、山岳地帯での使用に耐えうる素材メーカーとのパートナーシップを模索。
その際に主要なパートナーとして契約に至ったのがあのゴアテックス手がけるWLゴア&アソシエイツ社です。
今では様々な会社がゴアテックスと似たな防水透湿性素材の開発に成功していますが、アークテリクスは現在でもゴアテックスをメインで採用。
ゴア社にはアークテリクス専門のスタッフが常駐して開発に取り組んでいるそうです。
・東レのナイロンを活用
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ゴア社のゴアテックスを除くと、近年では東レの素材も活用。
商品タグに「ARATO」もしくは「TYONO」と記載された青色の小さなタグが付いたものは東レのファブリックを使ったアイテムです。
特に「ARATO」は超軽量でありながら高強度のナイロン素材で、冬山の厳しい環境下でも使用に耐えうるダウンジャケットなどに採用されています。
■人気の理由② デザインと技術力の両立
・専門のカラーチームを設置
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アークテリクスが人気を集める理由のひとつにその卓越したデザイン性があるのはまちがいありません。
アークテリクスではアイテムのカラーリングは全て自然界にある色のみで構成。
そのこだわりは甚大で、デザインチームに新しいカラーを開発するための色彩デザイン部門“カラーチーム”を設けていることでも知られています。
カラーチームのオフィスには、特別なライトを備えた大きなスペースを用意。
様々な環境での色の見え方を検証し、アウトドアブランドの中でも随一のデザイン力を誇っています。
・止水ジッパーの開発でアウトドア業界を変えた
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今でこそアウトドアやアパレル業界では当たり前となった「止水ジッパー」は実はアークテリクスによる開発。
1999年にアークテリクスが導入した止水ジッパー「WaterTightジッパー」はジップ部分からの水の侵入を防ぐ構造で、アウトドア業界に旋風を巻き起こしました。
そして、その後はWaterTightジッパーでは防ぎきれないジップ上部の水の侵入をも防ぐ「RSジッパー」も開発。よりシビアな環境下で使用するウェア類に採用されています。
・米軍が採用する技術力とデザイン
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ブランド立ち上げから10年余りが経った2004年春、アークテリクスは米国海軍のバトルパック製造受注コンペで他社をさしおいて受注。
米軍が自国以外の会社にパック製作を発注するという前代未聞の結果にアパレル業界は驚嘆しました。
最終的に米国海軍が購入したアークテリクスのバックパックは合計20万個。
こうした経緯もありアークテリクスのバックパックはブランドのアイコン的なアイテムとなっています。
■人気の理由③ 海外セレブ、有名人の着用
・トラヴィス・スコット
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自身もブランド手がけ、ナイキとのコラボでスニーカー界に旋風を巻き起こしたラッパーのトラヴィス・スコット。
ダークブラウンやグレーといった自然に近い中間色を好むトラヴィスにとってアークテリクスのカラーは大好物。
こちらのスナップではオールブルーのコーディネートでアークテリクスのアイテムを着用しています。
・ヘンリー王子
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2020年3月31日をもって、イギリス王室の公務を引退し離脱したヘンリー王子。
メーガン妃との結婚を機に始まった数々の騒動や暴露、スキャンダルは現在も英王室で尾を引き、常に話題の中心となっている人物です。
そんなヘンリー王子はアークテリクスのダウンジャケットを着用。
ロイヤルワラント(英国王室御用達)ではないアークテリクスを着用するということは、それだけアークテリクスを気に入っている証とも言えるでしょう。
・ヴァージル・アブロー
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オフホワイト(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)を数年でトップブランドに押し上げ、ルイヴィトンの黒人初メンズアーティスティックディレクターをつとめた故ヴァージル・アブロー。
NIGOと共にスナップされたこの日は自身が手がけたナイキの青いエアフォース1と合わせるようにアークテリクスの青いジャケットを着用していました。
■さいごに
今回の記事ではアウトドアブランド「アークテリクス」について解説致しました。
他のアウトドアブランドより高めの値段設定とそれに見合った高級感を持ったアークテリクスは、メジャーなアウトドアブランドとは一味違ったアイテムを求める層にぴったりです。
ファッションアーカイブ.comでは他にも様々なブランドの歴史や人気の理由をご紹介。気になった方は是非他の記事もご覧いただけますと幸いです。