近年ますます人気が高まっているワークウェアブランドの雄、カーハート(Carhartt)。
しかし、日本のセレクトショップや正規店で販売されている新品はほぼ全てカーハートWIP(Carhartt WIP)という別ラインのアイテム。
トレンドを意識したファッションライクなカーハートWIPと本来のワークウェアらしい質実剛健な本家USカーハートとは、価格もシルエットも細かな意匠も全てが異なっています。
そこで今回の記事では、「どちらを買えばいいの?」「比較してから買いたい」といった
声にお応えし、両者の違いをどこよりも詳しく徹底比較。
ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- ■カーハートのアクティブジャケットで検証
- ■US vs WIP検証①:価格と製造国
- ■US vs WIP検証②:着丈や身幅
- ■US vs WIP検証③:タグとドローコード
- ■US vs WIP検証④:ジップ
- ■US vs WIP検証⑤:ポケットの仕様
- ■US vs WIP検証⑥:リブ
- ■US vs WIP検証⑦:キルティング
- ■さいごに
■カーハートのアクティブジャケットで検証
比較対象とするのは2025年に発売50周年を迎えたカーハートの大人気商品、アクティブジャケット。
デザインはジップフーディーでありながら、頑丈な12オンスダック生地を使用したタフなアウターです。
アクティブジャケットには裏地がキルトライニング仕様のものや起毛感のあるフランネル生地のもの、春夏用のメッシュ仕様のものなどいくつか種類がありますが、今回は最もスタンダードなキルトライニングのアイテムで比較をいたします。
また、USカーハートの中でも現行品はJ130とJ140の2種類があり、袖リブの仕様や着丈などに差異があります。
加えて近年古着市場でも争奪戦となっているUSEDのアクティブジャケットは年代によってジップなどをはじめディティールは様々。
そこで今回の記事ではUSカーハート側はJ130のMサイズ、カーハートWIPは2025年発売のOG ACTIVE JACKETのMサイズをベースに比較検証いたします。
■US vs WIP検証①:価格と製造国
USカーハートJ130は正規販売がなく並行輸入品となるため売主によって価格は変動しますが、2025年12月時点で25,000円~30,000円程度。
製造国はメキシコ。
カーハートWIPのOG ACTIVE JACKETは定価47,300円で、製造国はパキスタンとなっています。
■US vs WIP検証②:着丈や身幅
皆様が1番気になっているであろうアクティブジャケットのサイズ感検証。
販売サイトでは
・USカーハート Mサイズ:着丈73cm 身幅64cm
・カーハートWIP Mサイズ:着丈72cm 身幅66cm
と記載されており、ちまたでよく言われる「カーハートWIPはファッションを意識して細身のシルエット」という言説が嘘であることがわかります。
しかも、サイトに掲載されているサイズ表記に違和感があり、実際に巻き尺で測るとUSカーハート75cmに対しカーハートWIPは70cmとかなり差がある結果に。
各種ECサイトでの記載サイズは実際のものと振れ幅がある結果となりました。
つまり、カーハートWIPの方はトレンドの短丈を意識しつつ、よりボリューム感のあるシルエットだと言えるでしょう。
■US vs WIP検証③:タグとドローコード
USカーハートとカーハートWIPを見分ける1番わかりやすい特徴は背中のタグ表記。
USカーハートは品番や「ハードワーカーのために作られています」といった記載があるのに対し、カーハートWIPはシンプルなブランドネームとサイズ表記のみの記載。
また、フード部分を絞る紐については顕著な違いが見受けられました。
長さや素材が一目で違っており、USカーハートにはドローコードに起毛感がありません。
加えてカーハートWIPの方は一般的なフーディーのようにフードの外側に紐を通す穴が取り付けられているのに対し、USカーハートはフードの内側に配置。
これは機械作業をする際などに首元から垂れたドローコードが巻き込まれたりしないようにする配慮だと考えられるでしょう。
■US vs WIP検証④:ジップ
USカーハートとカーハートWIPのジップは同じYKK製で形も同一。
しかし写真の通り色もデザインも差異があります。
USは銀色、WIPは金色のジップとなっており、表面の「carhartt」の刻印の向きが逆。
裏面はWIPが同じ「carhartt」の刻印なのに対し、USカーハートでは指のグリップがより実用的な滑り止めデザインとなっています。
なお、これはあくまで現行品のUSカーハートの話。
古着屋などで流通しているアクティブジャケットは年代や生産国によってジップの形もデザインも様々なものがあるため、これを見て本物か偽物かを判断するのは難しいと言えるでしょう。
■US vs WIP検証⑤:ポケットの仕様
個人的にびっくりしたのが両方のアクティブジャケットを着くらべてポケットに手を入れた時の感覚。
カーハートWIPは通常のダック生地がポケット内部全面にも使われているのに対し、USカーハートは手の甲側が起毛感のある温かいフランネル素材、手のひら側がベタつかないダック生地となっています。
しかも指先部分にはフランネル素材の上から薄いキャンバス生地をさらに重ね貼りしている手の込みよう。
冬場に手をポケットに突っ込んだ時、指先にささくれがあるとフランネル素材では引っかかって痛いもの。
これをあらかじめ防止する気の利かせっぷりには感服しました。
また、内ポケットはカーハートWIPが左側にマジックテープ仕様のものがひとつあるだけなのに対し、USカーハートは右側にマジックテープポケット、左側に斜めジップつきの内ポケットが配置されています。
WIPの方が倍近く高い値段設定なのにポケットだけで見るならUSカーハートの圧勝じゃないか…
■US vs WIP検証⑥:リブ
今回比較用に使っているUSカーハートのJ130アクティブジャケットはリブが袖の中に隠れているタイプ。
対してOG ACTIVE JACKETが参照したのはリブが袖先に直接取り付けられたJ140タイプのデザインだと言えるでしょう。
ファッション性としてはリブが露出している方がすっきりとした印象。
しかし実際に作業着としてアクティブジャケットを使う場合は、やはりハードな作業を続けるとリブ部分の擦れやほつれが気になるもの。
ここを12オンスの頑健なダック生地で防護するJ130の袖先のデザインはリアルなワークウェア感があります。
■US vs WIP検証⑦:キルティング
最後に比較するのはアクティブジャケットの暖かさを保証する裏地のキルティング部分。
こちらはUSカーハートもカーハートWIPもダウンに代わる軽量で保温性に優れた3Mシンサレート素材を採用しています。
■さいごに
以上がUS企画のカーハートとヨーロッパ企画のファッションラインであるカーハートWIPの比較となります。
価格面やシルエットだけでなく、細かな部分でかなりの違いがあることがお分かりいただけましたでしょうか?
本記事がアクティブジャケットを購入する上での参考になれたのであれば幸いです。
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