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【強烈】MSCHF(ミスチーフ)とはどんなブランド? バズを産み続ける謎のアート集団の正体

MSCHF ミスチーフ とは

様々なブランドが日々生まれ、消えてゆくファッション業界。
コロナ禍や戦争の影響からコスト高にも見舞われ、消費者の財布の紐は一段ときつく閉まっているようにも感じます。

各ブランドが生き残りをかけてしのぎを削るなか、出すアイテムが度々ネット上で話題を集め、完売を繰り返しているブランドがあります。
今回ご紹介するブランドはMSCHF(ミスチーフ)
彼らが発表するプロダクト、例えば鉄腕アトムの足を模したブーツやヒトの血液を混入したナイキのスニーカーなどは、良くも悪くも人々の注目を集めるものばかり。

この記事ではそんな謎のアート集団MSCHFを徹底解剖します。
ぜひ最後までご覧ください!

■MSCHFとはどんなブランド?

2016年にニューヨークのブルックリンで立ち上がったMSCHF
創業者は元BuzzFeed のガブリエル・ウェイリー(Gabriel Whaley)
『Mischief(いたずら)』から名をとったこのアート集団は、ネット上で不定期に様々なプロダクトやファッションアイテムを発売しています。
“インターネット界のバンクシー”の異名を持つ彼らが手がけるのは、ブランド名の通りいたずら心に溢れたアイテムばかり。

例えばこのシューズは両サイドから足を入れることが出来る不思議な構造となっており、そのデザインはまさに奇抜そのもの。
こうしたアイテムたちはリリースのたびにネット上で話題となっており、TikTokやTwitterを中心に大きなバズを生み出しています。

■MSCHFの手がける奇抜なアイテムたち

そんなMSCHFがこれまでにリリースしてきたプロダクトの中から、本記事では3つピックアップしてご紹介。

・BIG RED BOOT


日本においてMSCHFの名を広く知らしめたプロダクトといえばこちらのブーツ。
国民的アニメ『鉄腕アトム』の足を模したこのブーツはInstagramやTikTokでインフルエンサーが着用する姿が大バズり。
EVA素材を使っているものの、TikTokの動画などを見る限り履き心地や脱ぎ履きの利便性は低そう…

・Satan Shoes

MSCHFと人気ラッパー「リル ナズ X」がコラボし作られたのがこちらのサタン シューズ(Satan Shoes)
ナイキのエアマックス97を無許可でカスタマイズしたこのスニーカーは、通常であれば空気が入っているエアソール部分になんとMSCHFスタッフの血液が入っているというもの。
混入されている液体のほとんどは赤インクで、実際の血液は1足あたり1滴程度とのことですが、これがかなり波紋を呼びナイキも激怒
最終的にはMSCHFが自主回収することで和解となりました。

・トレーディングカード

MSCHFはスニーカーやアパレルアイテム以外にも多様なプロダクトをリリース。
こちらのトレーディングカードのパックには色々な『カード』がランダムに封入。
パックの中に入れられたカードはどこの誰とも知れない人の運転免許証から実際に使えるAmazonギフトカード、果てはマクドナルド社の社員証まで様々。
MSCHFはこのアイテムを「他人の財布を漁るときの覗き見的な楽しさ」をコンセプトにした、と語っています。

今回ご紹介したアイテム以外にも、MSCHFでは様々なプロダクトを不定期に発表。
危険なコンピューターウイルスを感染させまくったパソコンや、ビルケンシュトックのサンダルにエルメスのバーキンを分解して組み込んだシューズなど、彼らの遊び心は止まることを知りません。
気になる方はこちらの公式サイトにて、これまでにリリースされたMSCHFのアイテムを見ることが可能です。

■MSCHFは訴訟を恐れない

MSCHFが人々を熱狂させる大きな理由には、他ブランドからの訴訟を恐れないアナーキーな活動っぷりがあることは間違い無いでしょう。
先述のサタン シューズや、同じくソールに「聖水」を詰めたジーザス シューズ(Jesus Shoes)などはナイキからの訴訟問題に発展。
シュプリームやKITH、オフホワイトやBAPEなど、10のブランドの生地を切り張りし1枚のTシャツに組み直したアイテムを販売した際は、その恐れ知らずさに世界が驚きました。
こうした訴訟リスクをMSCHFのCEOであるガブリエル・ウェイリーは全く気にしていません。
それどころか、「大企業からの訴訟はMSCHFの認知を拡大させるので歓迎する」とまで豪語。
こうした姿勢は他ブランドとの「勝手にコラボ」を乱発していた初期のシュプリームの面影を感じさせます。

ジェームズジェビア シュプリーム
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また、MSCHFのスタイルが支持を集めていることに気がついた他ブランドは、次第に彼らのサンプリングを許容しだす動きも見せています。

こちらのMSCHFのシューズはVANSのOld Skoolをグニャグニャに曲げたようなデザインが特徴的。
デザイン元であるVANSは当初MSCHFに対する訴訟を進めていましたが、なんと驚きの和解案を提示。
以下の3つの提案を飲むのであれば、MSCHFによるスニーカーの販売を認めるとしたのです。

・売上の50%の譲渡
・今後のVANSとMSCHFの正式なコラボ
・MSCHFが今回作ったスニーカーのうち4足をVANS側に譲渡

こうした動きはVANSのような大企業には普通ありえない提案。
しかし、VANS側からすれば、ここで大人の対応をすることで自社のイメージアップにもつながると考えたのかも知れません。

■MSCHFのこれから

ここまでMSCHFについて解説しましたが、今後このブランドはどのように成長してゆくのでしょうか。
MSCHFのガブリエルは多くのアドバイザーやコンサルタントから「MSCHFは他のブランドのようにブランドロゴや代表的なプロダクトを作るべきだ」と進言されたようです。
確かに、MSCHFにはシュプリームのボックスロゴのようなキャッチーなロゴや、ニードルズでいうところのトラックジャケットのような、代表的なプロダクトはありません。

しかし、MSCHFが新アイテムを発表するとき、実は必ず合わせて消費者に提示されているものがあります。
ファンから「マニフェスト」と呼ばれるこのレターは、『MSCHFがなぜこのアイテムを作ったのか』をユーザーに説明するためのもの。
例えば10のストリートブランドの生地を切り貼りしたTシャツを販売した際には、ストリートファッション界のコラボレーションの氾濫に関する提言を記載。
前後どちらからでも履ける靴をリリースした理由は、どうやら「生きるためには前に進まなければならないが、時には人生を振り返ることも必要」だと説きたかったからのようです。

こうしたMSCHFからのメッセージは、他のブランドが年に2回 “今季のテーマ”として掲げるコンセプト以上にユーザーに響いていそう。 
ガブリエル・ウェイリーはインタビューにて、「プロダクトではなく『ブランド』のファンを集められれば、我々は何をやっても許されるようになる」と述べています。

■さいごに

今回の記事では、エキセントリックな謎のアート集団、MSCHF(ミスチーフ)についてご紹介致しました。
ふざけたアイテムに隠された強烈なメッセージを読み解くうちに、あなたもきっとこのミステリアスなブランドが好きになっているはず。

本サイト、FashionArchive.comでは他にも様々なブランドの歴史やデザイナーの来歴をご紹介。
是非他の記事もチェック頂けましたら幸いです。


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しゅー
2022年まで約6年間にわたって大手IT系企業に在籍。ファッションブランドやゲーム会社のマーケティング、カスタマーエクスペリエンス強化、海外進出を支援。Supreme、スニーカー、ラグジュアリーストリートが大好物。