スイス発の歴史ある時計メーカーであるロレックス(ROLEX)。
すでに創業から100年以上経っている老舗メーカーで今も世界中に根強いファンがいます。
そんなロレックスですが、その長い歴史の中で様々なモデルを生産してきました。
その中でも「カンジャー(Khanjar)」と呼ばれるモデルを皆さんはご存知でしょうか。
今回はカンジャーとは一体どんなモデルでどんな経緯で誕生したのかを解説します。
是非最後までご覧ください。
■カーブース・ビン・サイードについて
カーブース・ビン・サイードの生い立ち
出典:britannica
まずロレックスのカンジャーモデルを知るには、「カーブース・ビン・サイード」という人物を知る所から始まります。
カーブース・ビン・サイードは1940年11月18日に誕生しました。
父親はサイード・ビン・タイムールという第13代スルターン(オマーン国の君主)です。
サイード・ビン・タイムールは鎖国的な政治をしていましたが、反対に息子のカーブースはイギリスやドイツといった国々で青年期を過ごします。
1966年にカーブースは帰国しましたが、サイード・ビン・タイムールによって軟禁状態となります。
軟禁状態のカーブースはオマーンの歴史や背景にあるイスラム教について深く勉強したそうです。
その後、1970年7月23日にイギリスの協力を経てクーデターを起こし、父であるサイードを追放し自身が君主となりました。
翌年には絶対君主制を維持しつつも国連に加盟を果たし、海外との交流を深めていくこととなります。
カーブース・ビン・サイードの外交戦術
さて、カーブース・ビン・サイードは前述のように先代のサイード・ビン・タイムールとは違い、外交的な政治をすることとなりました。
その中の一つに外国の高官に豪華な時計を贈ることをするようになったそうです。
その時計こそが、ロレックスの「カンジャー」になります。
なお側近やオマーン国の兵隊などカーブース・ビン・サイードの周囲にいた方や国家に従事した方にも配られているようですが正確な配布数等はわかっていません。
どちらにせよ配布数は極少数かつ入手条件も極めて限定的であったことは間違いありません。
その証拠に、後述する文字盤に刻印のあるカンジャーに関してはオークションに出る数は極めて少なく、金額も数千万円のものばかりです。
■ロレックス Khanjarとは
カンジャーの意味
さて、ロレックスのカンジャーが誕生した理由がわかったところでカンジャーの時計自体にフォーカスしていきましょう。
まず名前のカンジャーとはオマーン公式の王家の紋章を指します。
伝統的な太刀を交差させたものにベルトをあしらったデザインの紋章です。
このロゴはオマーン国の国旗にも採用されています。
カンジャーのロレックスはこのロゴが基本的にはアワーマーカーの6時の上に刻まれていることが多いです。
2種類のカンジャー
カンジャーのロレックスですが、文字盤にカンジャーのロゴがあるものと裏蓋に刻印されたものと大まかに2種類存在します。
文字盤に刻まれているものは前述したように一般的に流通していないもので、オークション等で高値で取引されることが多いです。
※2016年に香港のオークションで落札された文字盤にカンジャーのあるRef.1665。落札価格は日本円で約8000万円。
出典:phillips
こちらはほぼ見かけない幻の逸品といっても差し支えないでしょう。
日本国内の中古市場ではほとんど見ることはできないと言っても良いでしょう。
※裏蓋に刻印されているタイプ
出典:ribero-watch
一方で、裏蓋に刻印されたものは一般流通しているロレックスの時計でオマーン国の正規店で販売されているモデルに刻印されているとのこと。
裏蓋に刻印されいるタイプは基本的には文字盤の方には刻印されていませんが、こちらも紛れもない本物のロレックス カンジャーです。
オマーン国に現在存在するロレックス正規店は2店舗ありますので、こちらで購入することができれば裏蓋に刻印されているモデルは入手できると噂されています。
実際に日本の並行市場でも見かけること自体は可能で、筆者も何回かみているので流通数はそれなりにあるのは間違いないでしょう。
Khimji’s Watches店舗情報
住所:Al Ufouq Building, Ground 2, Building No.: 2825 Way No.: 3036 OM, 133, Oman
Khimji’s Watches Mall of Oman店舗情報
住所:Level 3, Zone B, Bawshar St, Muscat 113, Oman
■ロレックス カンジャーモデル実機
ここまでロレックス カンジャーについて解説してきました。
ここからは実際のロレックス ロレックス カンジャーモデルを見ていきましょう。
ロレックス カンジャー デイトナ Ref.116520
出典:phillips
まずはロレックスの中でも王道のデイトナ Ref.116520の裏蓋刻印のカンジャーです。
2011年製造の個体で、このデイトナの2024年現在の相場が300万円に対し、落札価格は800万円というプレミア価格となりました。
裏蓋刻印のカンジャーの付属品の箱にもカンジャーの刻印がなされており非常に価値のあるものとなっています。
出典:phillips
ロレックス カンジャー デイトナ Ref.6265
出典:phillips
続けてご紹介するのはリファレンスが違うものの同じデイトナです。
こちらのデイトナは先述した文字盤に刻印されているカンジャーとなります。
デイトナに関してはサブダイヤルの位置に刻印されており、唯一無二のデザインとなっています。
リファレンス違いもありますが、文字盤に刻印されているタイプということでこちらの落札価格は約5000万円となりました。
もはや一般人に届く価格では無く、どれだけ珍しいかがわかるモデルです。
■さいごに
以上、ロレックスのカンジャーについて解説してきました。
ロレックスには今回解説したカンジャー以外にも、公式で発表していない裏モデルがいくつもあります。
こういったモデルを探してみるのもロレックスの楽しみ方の一つではないでしょうか。
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