ナイキとトム・サックスが制作するスニーカー、マーズヤード。
2012年にマーズヤード1.0が発売されて以降、これらのスニーカーは常にヘッズからの羨望の的だったと言って良いでしょう。
マーズヤードはそのデザインや機能性、そしてなにより数の少なさゆえに2次流通市場で時に100万円を超える価格で取引されることも。
そんな名作スニーカーの最新作、マーズヤード3.0が2025年に発売。
今回の記事ではスニーカー史に残る激レアシューズを定価で購入するまでの記録をお届け!
歴代マーズヤードの歴史や、実物レビュー、どうやって購入したかなどをまとめて解説いたします!
ぜひ最後までご覧ください。
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目次
- ■マーズヤードとは?誕生の経緯と歴代モデル解説
- ■今回発売のマーズヤード3.0とは
- ■ISRUアプリを50日間欠かさずにやってみた
- ■徹底検証!アプリで何ポイント取った人が購入できた?
- ■マーズヤード3.0が届いた!徹底レビュー!
- ■さいごに
■マーズヤードとは?誕生の経緯と歴代モデル解説

マーズヤード(Mars Yard)シリーズは、現代アーティストであるトム・サックス(Tom Sachs)が2012年にナイキとコラボレーションした際にスタートしたスニーカーシリーズ。
2009年、トム・サックスがインタビューの中でナイキ製品を批判しているのを読んだナイキCEO(当時)のマーク・パーカーが、
「だったらより良いシューズをデザインしてみろ」
と挑発したことをきっかけに両者のコラボレーションがスタートしたそう。

後に「マーズヤード1.0」と称されることとなるこちらのスニーカーは、ナイキクラフト(Nike Craft)と名付けられた、機能性と芸術性を兼ね備えたコンセプトで制作。
宇宙飛行をイメージしたサックスのアート作品「Space Program」と連動する形で発表されました。
同シューズは汚れたり傷がつくことを厭わずに履き込むことを推奨しており、ある意味レアスニーカーを綺麗なまま保存するハイプスニーカーカルチャーのアンチテーゼとも言えるでしょう。
以降、マーズヤードは耐久性や素材などをアップデートしながらコンスタントにアップグレード。
発売のたびに大きな話題を集めています。
以下、各モデルの概要です。
・マーズヤード1.0
出典:buyma
マーズヤード1.0は、火星探査ローバーのエアバッグを発明したことで知られるNASAのエンジニア、Tommaso Rivelliniの協力のもと制作。
素材も同エアバッグに使われていたヴェクトランファブリックを採用。
展覧会に合わせて限定リリースされるも、その数量の少なさゆえ“伝説のスニーカー”に。
現在2次流通市場ではサイズによっては600万円以上で出品されているものまであります。
残念ながら耐久性に課題があり、アウトソールが簡単に割れるなどの指摘があったよう。
こうした点は後述するマーズヤード2.0にて改善されています。
・マーズヤード2.0
出典:stockx
ナイキとトム・サックスが制作した伝説のスニーカーが5年の時を経てついに一般販売。
2017年7月にリリースされたマーズヤード2.0は、前作「1.0」で課題となっていた強度や通気性といった課題を解決。
火星探査ローバーのエアバッグに使われていたヴェクトランファブリックは使用を続けると脆さが露呈したためポリエステルに変更。
アッパーもメッシュ素材を使ったより通気性の高いモデルになりました。
生産数は引き続き非常に少なく、現在でも高いリセール価格を誇っています。
・マーズヤードオーバーシューズ

2018年(日本では2019年4月)にリリースされたのが、宇宙飛行士のブーツのように白いカバーを被せたマーズヤードオーバーシューズ。
マーズヤード本体を船の帆にも使われるダイニーマと呼ばれる強力な繊維を使用したナイロン布で覆い、撥水性と防寒性を向上したモデルとなります。

袋状のアッパーや水色のアウトソールはシューズ本体にくっついているものの、買ったユーザーは無理矢理引き剥がしてマーズヤードを取り出して履く人も続出。
そのピーキーな見た目や59,400円という価格も含め話題を集めました。
・マーズヤード2.5
出典:youtube
一般販売はされず、テスターとしてごく少数の人に配られたのがマーズヤード2.5。
黒いトゥキャップとアウトソールカバーが先端に追加されたのが特徴で、トム・サックスの「ナイキクラフト」プロジェクトがウェアテスターを2020年に募集。
希望者はインスタグラムにトムサックスをタグづけした上で参加を希望する理由などを1分で語る動画を投稿することが必要。
しかもテスター期間終了後はシューズが回収されることが義務付けられていたため、市場に出回ることのないまさに“幻”のシューズだったと言えるでしょう。
■今回発売のマーズヤード3.0とは
出典:uniontokyo
2025年発売の最新作、マーズヤード3.0(Mars Yard 3.0)はどんなモデルなのでしょうか?
外観はテストモデルだったマーズヤード2.5同様に黒のトゥキャップがついたデザイン。
天然ラバー製のアウトソールの中にはカーボンファイバープレートを内蔵。
これまでのマーズヤードのデザインを踏襲しつつ、トム曰く
「このシューズはこれまでのマーズ ヤード シューズに似ていますが、まったく異なるものです。ツーリング、ミッドソール、アウトソール、トゥクリップ、ヒールクリップ、そして履き心地のすべてが新しくなっています。梱包についても同じです。 一見以前のバージョンと同じですが、再利用を意識して完全に一から作り直しています。」
とのこと。
なお、購入にあたっては2025年7月に配信されたios/Androidアプリ「I.S.R.U」をダウンロードし、そのタスクを毎日こなすことが必要。
次章ではこのISRUアプリを実際に続け、スニーカーをゲットするまでの記録をお送りします。
■ISRUアプリを50日間欠かさずにやってみた

2025年7月17日、ナイキはトム・サックスと共にI.S.R.Uというアプリケーションを配信開始。
このアプリは「サマーキャンプ」と称して50日間様々なデイリーチャレンジをユーザーに行わせるプログラム。
アプリの名称でもある「ISRU(In-Situ Resource Utilization)」とは宇宙開発分野で使われる用語で、現地の資源を利用する方法の意。
高級なトレーニング機材や場所を選ぶイベントなどではなく、誰でも身の回りにあるものだけで参加可能なプログラムを提供したトム・サックスらしい名称となっています。
アプリでやることといえば、
①毎日タスクをクリアし、その証拠写真をアップロード。週に1つタスクが追加される
②期間中に配信される動画(全7つ)を見てクイズに回答。
③自身のアクティビティに関する1分程度の動画制作
の3つ。
これらをこなすとポイントが加算され、最終的にISRUをダウンロードした人全員の中でポイント上位だった人のみがマーズヤード3.0の優先購入権を得る、という仕組みになっていました。
ポイントの入手方法は、以下の通り。
- アプリダウンロードによるポイント付与
- 1日1回タスクを1つこなすごとにもらえる1ポイント
- デイリータスクの継続ボーナスポイント
- 全7回のクイズに回答し、正答数に応じてポイント付与
- クイズの全問正解ボーナスポイント
- 製作した動画の優秀作品ボーナスポイント
自身が今全体の上位何%にいるかをアプリでチェックしながら、上記のポイントをこつこつ貯める、というものでした。

かくして、激レアシューズの入手を目指してひと夏のプログラムがスタート。
毎日その日の予定を書き出して記録したり、寝る前に読んだ本の写真を撮ったりといったデイリータスクをこなしながら、1ヶ月半にわたってISRUアプリを毎日開き続けました。

その結果
・50日間欠かさず全タスクを実施し記録
・クイズは全7回中6回で全問正解(最終回のクイズのみ誤タップで1問不正解…)
を成し遂げ、最終ポイントは1332点、全ユーザー中上位1%という結果を得ることができました。
「上位何%までが購入可能なのか不明」「スニーカーの足数も不明」「アプリ内の文言が全て英語」「毎日継続する厳しさ」「クイズ回答のための動画が長すぎる」「一度ポイントを取り損ねると心が折れる」といったハードルの高さゆえ、ここまで自分が上位に食い込めたのかもしれません。
■徹底検証!アプリで何ポイント取った人が購入できた?

かくして迎えたマーズヤード発売日当日。
当初9月5日と言われていた発売日は9月12日に延期。
しかし9月12日当日は、自分に購入権があるのか確認しようとISRUアプリにユーザーが殺到。

結果アプリのサーバーがダウンし、実際に購入権利のメールが届いたのは9月13日の14時ごろとなりました。
マーズヤード3.0の販売にあたり、トム・サックスはインスタグラム上で新たな声明を発表。
当初予定していなかった追加生産を実施することとし、今回販売分には満たなくともポイント上位者には別途2026年発送予定にて追加生産分の受注を受け付けると述べました。
ISRUサマーキャンプのポイント上位者には
①購入先リンク(登録していたマイサイズ)
②購入先リンク(自分が希望するサイズではない)
③追加生産分の購入リンク(2026年発送)
のいずれかが送付。

私も無事①の購入リンクをメールで受領し、マイサイズのマーズヤード3.0をゲットすることができました。
なお、どの程度のポイントでこれらが振り分けられたのかを確かめるべく私のXアカウントにてアンケートを実施したところ、報告のあったポイント数の上限と下限は以下のような結果となりました(明らかな嘘と思われる回答は除外)
①1335pt~1299pt
②1230pt
③1225pt~675pt
(なお、外れ値として「700ptで①だった」と報告を下さった方もおりました。
本人曰く小さめサイズであるUS7をマイサイズとしていたとのこと)

つまり、どうやらアプリ上でのポイント数が上位1割の人がマーズヤード3.0を入手。
そしてその他上位3割までの方が追加生産分の購入権利を得ることができたようです。
なお、アプリ上で事前にシューズサイズを登録する時に「Exactly(ぴったり)」以外の選択をしていた方には、そのシューズサイズの在庫数の兼ね合いから、自身のサイズより少し大きめ、もしくは小さめをまわされた可能性もあります。
■マーズヤード3.0が届いた!徹底レビュー!
商品が届き次第追記いたします。
今しばらくお待ちください。
■さいごに
今回の記事ではマーズヤード3.0とその入手までの記録、実際の購入者に関する分析などをいたしました。
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