カニエ・ウェストやジャスティン・ビーバー、G-DRAGONなど、時代を築いたスターの中には「ファッションアイコン」と呼ばれる人たちが稀に登場します。
世界中から自身のファッションに対して常に注目を浴びる彼らは着るもの全てのブランド価値が上がるとまで言われており、彼らファッションアイコンの着用によって知名度や希少価値が上がり人気となったブランドも数多く存在します(アンチソーシャルソーシャルクラブなどが典型的な例です)
インスタグラム全盛の時代において、ますますファッションアイコンの存在感が増している近年、最も注目を集める人は誰かと問われれば、それはビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)を置いて他に居ないでしょう。
2020年のグラミー賞で最年少18歳にして、主要4部門を制覇し、世界の音楽シーンを牽引している存在と言っても過言ではない彼女。
歌声や曲調もさることながら、彼女のファッションは登場以来、数多くの人々の注目を集めてきました。
自身の体型を覆い隠すようなオーバーサイズアイテムを多用する彼女は、カスタムブランドからストリートブランド、ラグジュアリーブランドまで、様々なタイプの服を独特のセンスで着こなしています。
今回はそんな彼女のファッションをインスタグラムを元にいくつかご紹介致します。
① 全身グッチに、ナイキ×オフホワイトのエアフォース1
ネットフリックスの大ヒットドラマ「13の理由」のシーズン2にて劇中歌を歌手のカリードと共に提供したビリーアイリッシュ。
提供曲「Lovely」をリリースする直前にアップされたこの投稿ではパーカー、ハーフパンツ、リュックサック、靴下をグッチの特徴的なモノグラムを前面に押し出したアイテムで統一し、靴のみをナイキとオフホワイトのコラボシリーズ「The TEN」のエアフォース1で締めています。
なお、ビリーは大のスニーカーファンですが、レディースモデルのスニーカーについてははっきり「嫌い」と述べており、メンズのスニーカー、それもサイズの大きい物に詰め物をして履くことが多いことでも知られています。
② マスタードカラーで統一したスタイル
これまたグッチの全身に使って足元をナイキのスニーカーで捉えたスタイル。
まず目を引くのは靴も含め全身をマスタードカラーで統一していることですが、よくよく目を凝らすと随所に彼女の独特のファッションセンスが透けて見えます。
例えば腕や首から垂れ下がったチェーン。
一見過度な装飾にも見えますが、アイテムの意匠を揃えているため不思議とごちゃついた印象を受けません。
それもそのはず、腰の位置にあるグッチのショルダーバックは従来の肩掛け紐を外し、チェーンに付け替えられています。
全身のコーディネートからみればメガネもバッグも「アクセサリー」のひとつ。
随所までこだわる彼女のスタイルが伺えます。
そんな統一感のあるこのファッションですが、実は左右で違うスニーカーを履くことで適度な抜け感を演出しています。
右足はエアジョーダン13、左足はエアモアアップテンポと、異なる2種類のナイキのバスケットボールシューズを履いていますが、色味を合わせているからか、不思議と違和感を感じません。
③ 村上隆×VANSのセットアップスタイル
大阪のゲームセンターでスナップされたこのスタイルは、おそらく彼女の楽曲「you should see me in a crown」のミュージックビデオ撮影に向けて来日した際に撮った写真でしょう。
同曲では日本を代表する現代アーティスト村上隆とコラボレーションし、ビリーが歌い踊る姿をモーションキャプチャーで撮影し、その動きに村上のスタジオがアニメーションをつける形で製作されました。
そんな背景もあってか、その日の彼女の服装は村上隆で統一。
2015年に発売された村上隆とVANSのコラボTシャツを羽織り、ショートパンツ、スニーカーも村上隆の「お花」が散りばめられたスタイルになっています。
なお、ショートパンツとスニーカーは一般に流通したアイテムではないため、カスタムで作った可能性があります。
ビリー・アイリッシュのこの「オリジナル」セットアップは、彼女の代表曲「Bad Guy」のミュージックビデオにおいてもその姿を確認することができます。
④ シュプリーム×ノースフェイスを使った蛍光グリーンのコーデ
この頃から自身のスタンダードカラーとして蛍光グリーンの服装を多用するようになったビリー。
彼女のファッションの定番とも言えるダボダボのTシャツにショートパンツを合わせたスタイルに、シュプリームとノースフェイスの2018年SSコレクションのコーチジャケットとバゲットハットを合わせて着用しています。
余談ですが、蛇柄で統一されたこのコレクションでは、従来と異なりフリースジャケットやマウンテンパーカーといった防寒アイテムが出ず、その代わりに歴代のコラボで初めてテントが発売されたことでも話題を呼びました。
現在のリセール相場もそこまで値上がりしておらず、メルカリやStock Xで狙ってみるのも良いでしょう。
⑤ バーバリーの総柄シャツを使ったスタイル
ジバンシイのリカルド・ティッシが2018年より手掛けるバーバリーは、ブランドを代表するノバチェックを前面に押し出したアイテムをこれまで以上に出しており、これまでブランドのターゲット層ではなかったミレニアル世代を虜にしました。
2019年末にAMERICAN MUSIC AWARDSでバーバリーのハーフジップのシャツで登場したビリーのスタイルはたちまち人気になり、今季のバーバリーの売り上げを大きく促進していることでしょう。
⑥ オマケ ユニクロ×グッチのカスタムフリース
最後にご紹介するのはこちら。
著名人がスニーカーに関する自身のエピソードを話した後に、自腹でプレミアスニーカーを購入するCOMPLEXの名物番組「Sneaker Shopping With Complex」で、2019年3月にビリーが出演した回は、スニーカーよりもその日ビリーが着用していた洋服に注目が集まりました。
それもそのはず、首元と胸ポケットにグッチのモノグラムが配置されたフリースジャケットは、正規品ではないカスタムアイテム。
なんとユニクロの定番フリースジャケットにグッチの布地をカスタムして作った特注品だったのです。
Vandy the Pinkという名のカスタムアイテムブランドの商品を時折着用するビリー。
カルバンクラインなどの一流ブランドともコラボを行い、ファッションアイコンとしても大きな影響力を持つビリーが、時にはブランドを敵に回す場合もあるカスタムブランドを忖度なく着る姿は、彼女の服に対する妥協のないこだわりが透けて見えます。
なお、余談ですが世界に数着しか存在しないこのカスタムフリースのうち1枚は、筆者が運良く手に入れることが出来ました。
着用して銀座や表参道を歩く勇気はまだ無いため、もっぱら寒い日のコンビニ用に使っています(笑)